一話 衣装にケチをつけられました
一話 衣装にケチをつけられました
エスパーダはあれから自撮りに目覚めたようで、頻繁に要に写真を送ってくる。
要としてはいろいろな表情と格好のエスパーダがいつでも見れて幸せだった。
しかし不満を持っている人物がいた。能だ。
「お義姉様、そんな少年マンガ誌のグラビアみたいなのばかりじゃダメだから、最低でも青年マンガ誌のグラビアレベルに引き上げて」
文句があるのは衣装についてのようだった。要が嬉しくてつい能に見せてしまったせいだろう。能は青年マンガ誌のグラビアをエスパーダに突きつける。エスパーダは難色を示した。
「水着は持ってない」
「じゃあ作ろう。まずは健全なところで白ビキニかな。それから徐々に布の面積を狭めていこう」
「能ちゃんはどうしてセクシー路線にこだわるの? 普通で良いじゃん」
「お兄ちゃんが望んでいるからだよ。ムッツリで言えないっぽいから代わりに言ってるの」
能はドヤ顔をして言った。要は完全に否定できない。宿守要、成人男子。ちゃんと性欲もある。
「セクハラ家族」
要達を避難してくる。要はエスパーダの視線が痛かったが、能は動じた様子もない。
「写真を送ってるのはお義姉様だよ。イヤならやめても良いんだよ。こっちにはウエディングドレスがある」
「卑怯だよ能ちゃん」
「なんとでも言ってちょ。お義姉様には私の服を着るモデルになってもらうから。コスプレ衣装はエロい物がたくさんあるからね」
能は本気だった。エスパーダに気軽に断らせることをさせない気迫が感じられる。
「分かったよ。でもモデル料ちょうだいね」
二人の間で契約が成立したようだ。ケンカしたのも忘れたのかどんな衣装が要に効果的かを話し合っていた。