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ゲロ人間  作者: イケサキ
1/2

正義か悪か?!ゲロ人間誕生?!

 雨が降っていた。突然止むと、周りの環境が鮮明になる。

 

 自動車が高速道路を詰まらせていた。


 警笛が鳴り響き、それが雨の音と混ざっている。どこも喧騒に体が染みていた。

 口の中で乾く前の唾液を吐いた。濁って黒い霧が街を覆う。

 唾はそれと似て黒に近かった。


 また雨は降り始める。

 目に余る光景を噛む脆い歯が街を飲み込もうとしていた。

 

 人がいなくなると露出狂の女も楽しめない。女は、自分の目を抉り出して足元に置くと踏んづけた。

「何をしてるんだ?」と、走って逃げている男が立ち止まって聞く。

「なんにも」

 片目から血を流している女はもう片方の眼も抉り出した。その眼は潰さなかった。ぎゅっと握りしめる。女は仰向けになる。雨はまた降っていて、眼窩に溜まり続ける。痛みはつづく。


 肺にためた水を飲み貧困の輪に住む子供たち。肺は母親が死んでから摘出された。汚れた水でも飲まなければ死ぬ、よく何度も聞かされた。その辺りは治安が悪く、犯罪者が多く現れた。しかし法が適用するはずもなく見過ごされていた。今日もまた子供が攫われ、バラバラに臓器が摘出された状態で見つかった。またさっき起こったことだと女児が攫われた。今ごろ口を塞がれているだろうと、人々は思った。


 悲しさより、生きている事の方が重要とされ憐れむ者は誰もいない。


 しかしその中、一人の人間が女児を救った。


 全身がゲロ塗れで目も鼻も口もない。服を着て口だけが空いた覆面をしている人物。噂によると戦うときはゲロを吐くらしい。目撃者も多い。口を揃えて「ゲロを吐いていた」という。


 助かった女児の眼は死んでいた。手遅れだった。

読んでくれてあじゃー

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