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一つ目の依頼をクリアーした!

町民も騎士も、全員が彫像のように固まった。


「あっ……ああああああああ!?」


「キスですって!?」


「や、やっちまった……」


「ゆ、ゆうしゃさま、だいたん…」


「そこだ、隙を見せたね!」


 硬直した状況を押しのけるように、オドの魔法が炸裂した。


「うわあああああああああああ!!!」


「そ、そうだった!勇者様を援護するぞ!」

 

 騎士たちが悲鳴を上げて吹きとぶ。リアネーや住民たちが次々にトレリャの元にに雪崩れ込む。

 そこで彼女たちが見たのは、赤面する二人の男だった。


「うわああああああああああああ……ファーストキスが……こんな……あんまりだ……」


 ショックのあまりうずくまって、隠した顔を赤くしているのは俺だ。


「これが……勇者様の唇……甘く、柔らかく……まるで、瑞々しい果実のようですな……」


 何かに目覚めて顔を真っ赤にしているのがトレリャだ。

 

 その光景に全員が面食らったが、リアネーは早かった。


「と、とにかく手を押さえるわ!」


 瞬く間にトレリャの指輪を抜き取り、彼を後ろ手に縛った。彼はほとんど抵抗しなかった。夢心地と言った様子で、ぼんやり虚空を見つめていた。


「……トレリャ……どうしてこんなことに……」


 後から追いついてきたステラが絶句する。反乱を咎めているのか、トレリャの突然の陥落に驚いているのか。まあ、おそらく両方だろう。


「やれやれ……ようやく戦いは終わったか。ステラ、後の処理は任せてもいいか?」


「わかりました。トレリャ、長の名においてあなたを拘束します。連れて行ってください」


 倒れた騎士たちも住民によって縛られていた。トレリャは彼らの列に混ざり、連行されていく。


「勇者……様」


 去り際にトレリャが俺に話しかけてきた。ほっとしていた俺は急に話しかけられ、少しどきっとした。


「な、なんだ!?」


「私は今まで何か間違っていたのかもしれんませんな。この世で一番大切な物は、力だと決めつけていた。しかし今では力よりも尊いものが、有るような気がするのですな」


「……あえて聞いてやる。それは一体何なんだ?」


「……それは、愛ですな。あなた様の唇は、柔らかかった。そしてその可憐なお姿……少年でありながら、少女のような魅力を兼ね備えている……まさに、私の理想ですな」

 

 彼は酷く赤面した。なんか視線がこわい。


「あの一瞬で、私はあなた様を愛してしまった。今はこの罪を悔い改めますな。だが、私は絶対に戻ってきますな。そしてあなた様に思いを伝えますな」


「あ、ああああああああぁぁぁぁぁぁ……」


 返事のつもりが、フェードアウトする悲鳴を上げてしまう俺。


「レイくん、やったね! 彼氏ゲットかな? そのまま結婚まで行っちゃったりして!」


「トレリャは罪人ですので、罪は償わなくてはなりません。ですが出所後はもう何もありませんし、もしよろしければ婚姻の準備をこちらで行っても良いですよ」


「ゆ、ゆうしゃさまケッコンするの!? おめでとう!」


「人間ってのはわからないね。だけどこのババも、今は祝福してやろうかね」


「うう……お前……立派になりやがって……」


 リアネーたちも、その気になってしまった。終いには戦いを終えた周りの住民たちから「バンザイ! 勇者様バンザイ!」「勇者様の婚約祝いだ!」という声まで上がり始めた。


「お前ら……何勘違いしてやがるんだ……」


 俺は大きく息を吸い込むと、生まれてから一番の大声で叫んだ。


「ちがあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~うッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」




 その日は宴が催された。勿論俺の婚約パーティではない。事件を解決してくれたという事で、村人たちが感謝の気持ちを示してくれたのだ。


「勇者様、冒険者様! じゃんじゃん食べてください!」


「おっ、相変わらず美味そうだな! いただきまーす!」


「おっ、レイくんいい食べっぷり! いっぱい食べて、大きくなってね!」


「料理美味しいから許す! 子供扱い許す!」


 料理を堪能する俺の周りに、人々が集まってきた。悪口を言っていた民たちがみんな口々に「悪かった」「ごめんなさい」「すまない」と、俺に謝ってきた。

 

「まあ、いいよ。もう陰口は止めるんだぞ。あとこれからも美味い料理を作れよ。それで、許してやる」


 一仕事終えて肩の荷が下りていたこともあり、俺は全員を許してやった。


「レイさん、この度は本当にありがとうございました」


「おお、ステラか。こっちこそ助かったよ。この服、随分と役に立ったしなあ」


 俺はアイドル服を見る。すっかり体になじんでしまっており、恥ずかしさももはや感じない。


「それは本当によかったです。ということは、これからも着続けてくれるということですね?」


「ああ、もちろん。この服も、俺の頼れる相棒さ」


「よかった……本当によかった……これで女装した男子がこの世に一人増えました……ふひひひっ」


「やっぱ脱ごうかな」


「ごめんなさい冗談です」

昨日は更新できませんでした、申し訳ございません。毎日更新は難しいものですね……これから隔日更新になるかもしれません。なるべくつづけられるようにがんばります。

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