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真の敵を発見した!

 俺達は村へ帰ってきた。

 村の前には、相も変わらずステラとトレリャ、せっかちな人々がたむろしていた。ステラ以外の彼らは勇者などではなく、冒険者の帰りを待ちわびているのが見え見えだった。その証拠に、俺ではなくリアネーをちやほやし始める。


「冒険者様! その表情は……」


「その通り! もうみんな、怯える必要はないよ!」


「流石冒険者様だ!」


「一時はどうなるかと思いましたが、任せてよかったですな。ささ、報酬を用意しておりますので酒場まで来てほしいですな」


 トレリャの手招きをリアネーは拒絶した。


「待ってよ。依頼に成功したのは、私だけの力じゃないのよ? レイくんの力もあってこそだわ」


「……無能勇者が、どう役に立ったというのですな?」


「そうだな……あの狼を大人しくするのに役立ったかな。それと、今からもう一つ役に立たせてもらうがね」


 俺はそこでリアネーの前に進み出た。顔を真っ赤にしたトレリャがきっと俺を睨む。だが俺も一歩も退く気は無い。


「どう役に立つというのですな?」


「トレリャ。あんたの悪事を暴かせてもらう!」


 俺は探偵のように宣言すると、ここにいる民の間にどよめきが走った。


「どうしてあんたは嘘をついた?」


「嘘など……この期に及んで何を意味の分からぬことを。とんでもない言いがかりですな。」


「じゃあどうしてこの街の騎士の鎧が、あの森に残っている?」


 俺は森で見つけた青い金属片を、時代劇で印籠をかざすように見せつけた。へらへらしていたトレリャの顔色が変わった。


「騎士の指揮権を持っているあんた以外に騎士を森に派遣できる奴なんていない。それにこんなものが森に残っているのに、モンスターの情報が何もないわけないだろ」


「それに、この鎧はまだ手入れされてあまり時間が経ってないわ。最近森には近づいてないんじゃなかった? おかしいと思うわ」


 リアネーも俺に加勢し、トレリャを追い詰めはじめる。

 街に帰ってくるまでの間に、俺は彼が怪しいとリアネーによく話しておいた。それだけではなく、散々ひどい事を言われたり、ステラを馬鹿にしたりしたことまで伝えておいた。


 「そ、そんなことを言われてたの!? こんな小さい子にそんな……許せない!」


 リアネーは俺を守ると言ってくれていただけあって、俺以上にこの仕打ちに対して怒ってくれたのだ。その怒り冷めやらぬと言った様子で、言葉を続ける。


「これは私の推理だけど、邪魔をしてきた盗賊もあなたの差し金ね。レイくん一人の時は油断していたけど今度はパーティを組んだから、私達に痕跡を見付けられるのを恐れて雇ってきたに違いないわ。だんまりじゃなくて、何とか言ったらどう!?」


「……それは本当ですか? 冒険者様」


「ええ、本当よ。盗賊ギルドに襲われて、少し面倒くさかったわ」


「そういうわけだ。いい加減観念しろ! トレリャ!」


 いよいよ街の住民たちまでもが疑うような目線でトレリャを見はじめた。劣勢に立たされた彼は暫らく下を向いていたが、何がおかしいのか、突然笑い始めた。


「ど、どうしたのですか……!? トレリャ……!?」


 不気味な笑い声を聞き、ステラの身体がびくりと震える。


「……仕方がありませんな。どこまでも邪魔をしてくれますな、勇者!」


 トレリャの目の色が変わった。この雰囲気は邪悪そのものだ。彼から凄まじい威圧感と敵意が放たれる。


「まったく、大した名推理ですな。だが、お前たちは大事な所を飛ばしているのですな。なぜ私がわざわざ森に騎士を送っていたか、その理由がわかっていませんな」


「まさか……占い師の指輪を……?」


「フフフッ、正解ですな」


 紙芝居では、偉大な占い師は力を指輪に封じ込めたと言っていた。かつて自分の力を憂えたほどの占い師なら、その力も凄まじいに違いない。それが奴の狙いだったのか!?


「あいにく、占い師の指輪はもう手に入れているのですな。これさえあれば私は膨大な魔力と未来を見通す力を手に入れられるのですな!」


「トレリャ、あなたは間違っています! 完全に未来を見通す事などできません! 当たるも八卦当たらぬも八卦、それが占いなのですから!」


「ふん、ならば私が未来を見られるよう、占いの概念そのものを作り変えてやるのですな!そして未来を見通せるこの私こそが、この街の、世界の指導者にふさわしい! ステラ様……いや、ステラ! 魔王が滅び混沌としている今の状況だからこそ、この街には生き抜くための更なる力が必要ですな! お前の生ぬるいやり方などではなく、この私が力で周辺地域を支配下に治めてやるのですな!」


「な、なんですって!?」


「まずはお前たちを」


 指輪に込められた魔力なのか、トレリャの周りに目で見えるほどのエネルギーが、オーロラのように渦巻きはじめる。それと同時に威圧感が質量を持って俺達に降りかかってきたような不快感を感じた。


「うっ、気分が……」


「あ、あがっ」


 近くで膨大な魔力を浴びた住民たちは「圧」に耐え切れず、次々に倒れていく。俺やリアネー、ステラの額にも冷や汗が浮かび始めた。


「く、くそっ……させるか!」


「やらせない! レイくん、私も行く! 絶対に君を守るわ!」


「私も戦います! トレリャ、あなたを止める!」


昨日は多忙につき、更新できておりませんでした。申し訳ございません。

ブックマークも一つ増えました。ありがとうございます。頑張っていくのでよろしくお願いします。

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