心·技·体
土手のグラウンドはうちの野球部が特別に自分の野球場として使っていて、部室も器材も全て部室代わりに使っている倉庫の中や側に置いてある。トレーニングルームが満員の時にはいつもその設備を借りて筋肉を鍛えている。
日本人は筋肉を軽視しすぎている。やれ見せ筋だ、やれ脳筋だと騒ぐばかりでヒョロガリな奴が多すぎる。剣道の世界でもそうである。竹刀を振り下ろすのも、素早く突くのも、全て筋肉が動くから出来るのである。瞬発的なスポーツにおいて良い筋肉はバネがあって、大きくて、しっかりしている。大きな筋肉には大きなパワーが宿る。大きなパワーはスピードにも関係してくる。短距離走の選手がムキムキなのはそのためだ。
だが日本の武道はそのことを昔から軽視してきた。いかに無駄な力を抜いて、必要な所で必要なだけ力を入れる。体全体を上手く使って一瞬の勝負をする。腰と腹を中心に考える日本の武道と、各筋肉の動きにフォーカスする西洋の近代スポーツは根本の考え方が違っているのだ。
しかし今の時代、そのどちらもうまく利用した方がより良い結果を生むことになるのだと思っている。各筋肉を成長させることで身体を形成し、腰と腹を中心に必要な所で必要なだけ力を使う技術を身につけ、おまけに精神面でも成長できる、心·技·体のバランスを高めることを大事にしたい。あまりにも技術に重点を起きすぎている今の状態では大きく成長できない。だからこそ俺は――
めぇーん!
一本!
試合後、俺はこっぴどく怒られた。
試合に集中していない。頭の中が雑念だらけ。もっと心から試合に臨まなければならない。心·技·体の心が恐ろしく足りていない。だそうだ。
ということで、今日は精神統一のために素振りではなく筋トレを潰れるまでやってやる!
土手が真っ暗になるまでバーベルを握り続けた。




