神無月
月曜日は元気が出ない。なんというか、精神力が足りない。
夏休みが終わってすぐっていうこともあるけど、にしても力が入らない。
教室から見える鶫橋をボーッと眺めながら、集中できない授業をなんとかやり過ごす。
世界中で最も長い50分間を過ごしたあとは、唯一の楽しみである休憩時間だ。
「だるかったわぁ」
「なー」
「神無月とか神在月とか知らんわ。漢字が並ぶと自動的に記号に見えてくんねん」
「俺、次の数学がそのパターンだわ」
「あー、よりによって次数学かよ」
上体を起こすことさえ力が入らなくて、鼻を机にめり込ませるくらい突っ込んだ。ひんやりともしてないし、良い匂いもしない。いっそソファとパソコン付きの机だったら良いのに。まぁそうなると確実に寝るけど。
「神無月ねぇ。神様おらへんやんけ」
「なー」
「ま、ここに貧乏神ならおるけどな」
「なー」
「ちゅうことで、1000円貸して」
「それは無理」
「ええやん、今日財布忘れてもうてん。お金ないと昼飯食えへんやん」
「自業自得」
「ケチー」
「ケチだもーん」
肩が凝ってきたのでいったん背伸び。椅子を使って腰も回す。
「ほんま月曜日はみーんな辛気くそうてたまらんわ。神無月やなぁ」
「まだ9月だぞ」
「月曜日はみんな精神力が足らんねん。精神も”神”様ってついとるやんけ。せやから神様の居無い月曜日、略して神無月や。どや!」
「展開が無理やり」
「エラい冷たいなぁ。笑いの神様もおらんなったか」
「お前にいたことないだろ」
「うっさいわ」
「あとどんな神様がいそうかなぁ」
「もうええわ」
耳の奥の方で、どうも、ありがとうございましたーって二人の声が聞こえたような気がする。
始業のチャイムが響いた。




