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エッセイらしき何か 「ゴブリンについての考察」

作者: アマラ

あの、最初に言っとくんですけども。

あくまでジョーク的なものですので、ガチにならないでください。

怖いし。

 ゴブリンをご存じだろうか。

 緑色でなんか腰布とかまいてて、棒とか持ってる雑魚キャラ扱いのアレである。

「いや、そもそもゴブリンとはヨーロッパの民間伝承の~」とか言い始めるとクソややこしくなるので、誠に勝手ながらここでは「ゴブリン=ジャパニーズカルチャーの緑のニクイあんちくしょう」とさせていただきたい。


 さて。

 ゴブリンと言えば、どんな姿で、どんな行動をするものを思い浮かべるだろうか。

 緑色で腰布を巻いていて、武器を手に、あるいは素手で襲い掛かってくる。

 集団、または単体で行動し、性格は比較的獰猛。

 人間を見つけるや攻撃的に襲い掛かってくる。

 こういった特性は作品ごとによって異なるわけだが、おおよそはそんなところではなかろうか。

 体格が小さく、訓練した人間よりは非力そうと言うところから、様々な作品でゴブリンは登場する。

 人間ではないので、読者、ゲームプレイヤーなどに、倒すことによる忌避感を与えにくいからだろうか。

 RPGや、昨今のライトノベルの最初の敵として登場することも少なくない。


 このように、ゴブリンは日本に置い元々の「民間伝承」とは違った存在感を発揮している。

 もはや、独自のキャラクター性を持った存在と言ってもいいだろう。

 日本のサブカルチャーに触れた人の多くは、「ゴブリン」と聞けば「緑色の小鬼然とした外見の存在」を思い浮かべることだろうと、筆者は考えている。


 私は日本、とりわけタマゾンと呼ばれる地域に住んでおり、ライトノベルを書いて暮らしている。

 ジャンルはもっぱらファンタジーで、やはりゴブリンとは切っても切れない関係だ。

 そういった気持ちがあるからか、私はよくゴブリンを物語に登場させている。

 どのような生態を持っているかなど、世界観や物語を考慮し、その都度設定して登場させているのだが。

 なぜか、「アマラさんならではの変な設定」のゴブリン、と言われることが多い。

 私はあまりそういったことを意識しているわけではないのだが、そういわれるのだからそう感じる人がいるのは間違いないだろう。

 そこに面白みを見出してくれる方も多いそうで、これは大変に有難いことだ。

 変わった設定、独自の色というのは、小説を書くものにとって強い武器であるだろう。

 それを持っていると言われるというのは、非常に喜ばしいことである。


 とはいえ。

 変わっているというのは、いわゆる「普通」と言うものがある前提において成り立つものだ。

 少なくとも、筆者はそう思っている。

 ほかの多くの例がある中で、ほかとは違う特色があるからこそ、「変わっている」と言うのは成り立つのだ。

 私が武器が「アマラさんならではの変な設定」であるならば、その武器をより強固なものにしていく必要があるだろう。

 そのために必要なことは様々あるだろうが、その一つ「普通」を知ることではなかろうか。

 常識を知ることで非常識を知る。

 という言葉をどっかで聞いたような覚えがあるのだが、これはそれに近い気がする。


 そんな訳で、今回はゴブリンついて。

 おおよそ皆が持つであろう共通認識がどのようなものなのかを、考察したいと思う。




 さて、そんな訳なので、しつこいようではあるのだが、ゴブリンの一般的と思われる特徴を上げていこう。

 事前に言っておくが、あくまで筆者である「アマラ」が一般的と判断している特徴であるというのを、ご注意願いたい。


 まず、人型であり小柄、武器を持つ器用さを持ちつつ、素手で戦うこともある。

 色は緑で、腰布などを撒いていることも多い。

 単体で行動することもあるが、集団での戦闘も可能。

 人、動物などを襲うケースもある。

 それらのことから、相応のコミュニケーション能力があり、社会性があると考えられる。

 変種が存在することもあり、ホブゴブリン、ゴブリンシャーマン、ゴブリンマジシャンなどが代表的。

 そういったものが、群、あるいは集団の長になるケースも見受けられる。


 まあ、こんな所だろうか。

 それ以外のところは作品によって違う場合が殆どなので、ほかにも一応思いつくのだが、この程度にしておくことにしよう。

 では、「ゴブリンとはどういう生き物なのか、考察してきたいと思う。


 ほかの動物を襲う。

 ゴブリンの持つ特徴であるわけだが、この理由はどんなものが考えられるだろう。

 もちろんまず最初に多くに人が思いつくのは、食べるため、と言うものだと思われる。

 獲物を襲い、食料とするのだ。 

 だが、動物が動物を襲うケースと言うのは、これに限らない。

 例えば縄張りに侵入されとか、相手に襲われたりした場合だ。

 縄張り、あるいは自分、仲間、子供などの身を護るため、動物は「敵」と戦う。

 ゴブリンはどうだろう。

 多くの場合、ゴブリンは自分から相手に襲い掛かる。

 そして、大体においてその肉を食う。

 多くの作品で、ゴブリンは雑食である場合が多い。

 人間のような見た目であるためなのか、人間同様雑食であるようだ。


 ゴブリンは、一定の社会性を持っている。

 社会性と言うのは国家や村を作るという意味ではなく、「群を作る」と言う意味であると、ココではさせて頂きたい。

 群で行動し、群で狩りを行う。

 近い動物がいるとするならば、やはり人間、あるいは猿の類だろう。

 武器などを持つ能力がある事を考えると、猿よりもやはり人間が近いと考えていいのではないだろうか。

 ならば、ゴブリンの現在の生活は、人類が歩んできた文明発達の歴史の一部を当てはめることができるのではなかろうかと、筆者は考えた。


 よく言われるゴブリンの生活は、狩りと採集によって成り立っていると思われる。

 動物を襲い、木の実などを拾い生活をするわけだ。

 いわゆる「言語」を持ち合わせているかは何とも言えないが、ゴブリンは「声」によってコミュニケーションする作品が多い。

 サルなどの動物も「鳴き声」によってコミュニケーションをとるので、これは不自然ではないだろう。

 むしろ、二足歩行が可能で社会性を持つ動物と考えれば、一種の「言語体系」を持っていると考えることに不思議はないと思われる。


 ゴブリンは、武器を持っている場合もある。

 これはどのように手に入れたのだろうか。

 こん棒などの場合、森の中で拾うことも出来るだろう。

 丸太を持てば武器になるのだから、こんなに簡単なことはない。

 或いは、石などをくくり付ける場合もある。

 自作した武器と言うことだ。

 これは実は、凄まじいことである事に気が付いていない人が多いのではないかと、筆者は思っている。

 武器を作るとき、「紐を結ぶ」と言う動作は不可欠だ。

 だが、紐を結ぶというのはそんなに簡単なことではない。

 指先を繊細に動かし、それでいて力強く紐を持たなければならないのだ。

 地球でこれが可能なのは、人間と一部の類人猿、あとなんかUMAとか程度ではなかろうか。

 そんな難作業を、ゴブリンは「やって当たり前」だと思われていることが多い。

 これは、驚愕すべきことである。


 紐が結べる、と言うことのほかに、ゴブリンが石などを投げる作品も多い。

 やはりこれも驚くべきことだと言っていい。

 ものを投擲し、相手にあてるというのは、凄まじく繊細な力加減を要求される。

 そして、それが可能になれば、ゴブリンは相手に近づくことなく、倒すことまでできるのだ。

 実は、人類がほかの動物を圧倒するに至った理由の一つが、この「投擲能力」によるものだと、ご存じだろうか。

 石や槍などを投げることにより、人類はほかの動物を圧倒。

 さらに集団でこれを行うことで、巨大なマンモスなども倒すことができるようになったのだ。

 ゴブリン達は、その人類と同じ素養を持っているわけである。




 さて。

 ここまでをまとめると、ゴブリンと言うのはつまり、「小型ながら、太古の人類と同じ程度の能力を持っている存在」と言うことになる。

 言ってみれば、「文明レベルの遅れた、別種の人類」と言ってもよいのではないだろうか。

 今までの歴史の中で、実は「ホモサピエンス」は、そういった存在と対峙してきている。

 古い時代に置いて、人類はほかの種の人類と生存競争を行ってきたのだ。

 そして、現在地球を席巻している人類「ホモサピエンス」は、ほかのすべての「別種の人類」を滅ぼし、頂点に君臨することになったわけである。

 所謂ファンタジーでは、「別種の人類」が多く登場している。

 エルフ、ドワーフ、獣人、有翼人、などなど。

 これらは「人類」「人間」などと呼ばれるものと、同じ、あるいはそれ以上の文明技術を持っていることが多い。

 ファンタジー世界の多くは、「人類がほかの種族を滅ぼしていない」と言うことだろうと、筆者は考える。

 そして。

 ゴブリンとはつまり、「滅ぼされなかった別種の人類」の中の一種なのではないだろうか。

 言葉によるコミュニケーションが可能。

 独自に、ある程度とはいえ、武器などの道具を作ることも出来る。

 群れを作り、長を置き、集団で暮らす。

 多くの人が、国が、ゴブリンを悪しき者として扱う理由も、よくわかる。

 放って置けば、彼らは確実に脅威になりえるのだ。

 恐ろしい存在であるからこそ、蔑み、滅ぼしてより、あるいは滅ぼさなければならない存在として扱うのだろう。

 そうでなければ、何時の日か必ず文化文明を手に入れる。

 人類の敵対種族となりえるのだ。

 そうなったとき、滅びるのはどちらになるだろう。

 摘める芽であれば、早めに摘んだ方がいいと多くの権力者が考えるのは、当然ではなかろうか。

 そうでなくても、ゴブリンと関わる人間にとって、彼らが脅威なのは確かだ。

 ゴブリン達が入れば、獲物がとられてしまう。

 或いは、食料を求めたゴブリン達が、人里に降りてくることもあるはずだ。

 多くの野生動物がそうであるように、楽にえさを手に入れられるとなれば人里を目指すのは当然だろう。

 そこで攻撃をされれば、ゴブリンも当然反撃をすることになる。

 こういったことを繰り返していれば、人間もゴブリンも、自然とお互いを敵視するようになるはずだ。

 きっかけは何であるとか、理由が何であるとかはあるにしても、一度相手を「敵対者だ」と認識した場合。

 もはや戦わずにはいられないのは、一定の知性を持つものの定めだろう。

 ある程度敵対心がかさめば、それは如実に表れてくる。

 もはや戦う理由は置いておかれ、「憎いから戦う」と言うところまで行ってしまう。

 戦って勝てば食べ物などが手に入るというのが、副次的な目的になってしまうほどである。

 ゴブリンにとっても、そうであるかはわからない。

 あくまで生きていくため、食べ物などを手に入れるために戦う場合が多いのではなかろうかと、筆者は考える。

 狩猟採集生活と言うのは大変に厳しく、余計なことに労力をとられれば死につながる場合も多いからだ。

 たいして、人間はどうだろう。

 危険で野蛮な存在と思われるゴブリンが、人里近くに居たらどう対応するか。

 殺処分しよう。

 そう考えるケースが、多いのではないだろうか。

 まして農家や酪農家など、ゴブリンによって被害を被っている人々であれば、なおさらである。


 こう考えていけば、多くの作品においてゴブリンが倒すべき相手となっている理由は、納得がいくと筆者は思っている。

 つまり、ゴブリンと人類は本質的に敵同士であり、相いれない存在なのだ。




 さて、ゴブリンと言う存在について考察したところで、さらに考えを進めていこうと思う。

 幾つかの作品、特にゲーム作品などで、ゴブリンを倒すとお金が出る場合が見受けられる。

 これは、ゴブリンがおお金を持っているということだ。

 作品によっては、「倒すことで国、あるいは何らかの団体から報奨金が出て、それを簡略化しているために倒すと同時にお金を得ている演出になる。実際にはあとで手に入れているのだ」と言うものもある。

 だが、ココではみのものズバリ、「ゴブリンを倒すとお金が出てくる」と言うことで話を進めたいと思う。


 倒すとお金が出てくるということは、つまるところゴブリンが金を持っているということに他ならない。

 何のためにゴブリンはお金を持っているのだろう。

 人間の町で何かを買うのだろうか。

 だが、先にも述べたようにゴブリンと人類は敵対していることが多い。

 よって、買い物に行くとは少々考えにくかろう。

 かといって、お金を持つ意味がほかにあるだろうか。

 コレクション的な要素で持っている場合もあるかもしれない。

 一定の知性を持っていると仮定されるゴブリンであるから、そういったものを「所有する」と言う楽しみも覚えることもあるだろう。

 しかし、コレクション要素として集めているものを、持ち歩くものだろうか。

 いくらゴブリンとは言え、大事に保管していてもおかしくはないように思う。

 動物が巣にものをため込むように、ゴブリンだって暮らしている場所がある以上、そこに保存しておく方が動きやすいに違いない。

 と言うことは、ゴブリン達は何らかの理由でお金を持ち歩く必要があるのだ。


 さて、いったんお金のことは置いておいて。

 次は、ゴブリン達の優劣の付け方を考えたい。

 これは先の「お金に関するあれこれ」に関わってくるところなので、少々話がとっ散らかることは、ご容赦願いたい。

 筆者は説明をするのがあまり得意ではないのだ。

 まあ、ともかく。

 社会性を持っている以上、序列というのは当然存在するだろう。

 それを証明するように、群でゴブリンが登場する場合、リーダーのような存在がいることが多い。

 では、ゴブリンはどのようにして序列を決めるのだろうか。

 殴り合いだろうか。

 そういう場合もあるだろう。

 多くの動物は、戦いによって序列を決める。

 力が強いものが偉いのだ。

 だが、これでは序列を決める過程において、お互いにけがをする危険が伴う。

 怪我をしないように序列を決める動物というのは、多く存在している。

 お互いの体の大きさを測ったり、怪我の少ない争い方を作り出したりすることによって、序列を決めるのだ。

 これは、群の戦力をケガによって損なわないという意味において、非常に理にかなっている。

 ゴブリン達がそういった、一種知的な方法で序列を決めていたとしても、何ら不思議はないだろうと思う。

 では、戦い以外で、ゴブリンはどんな方法で序列を決めていると考えられるだろう。

 例えば賢さだろうか。

 魔法を使うゴブリンが群れを率いている場合が多いので、これは考えられる。

 賢さが無ければ使えないものが魔法、と言う作品が多いので、ココではそうさせて頂きたい。

 だが、魔法を使うゴブリンが、剣を持つ体格の大きなゴブリンに従っているケースもある。

 暴力によって従えているとも考えられるが、飛び道具を使うものがそうそう負けるモノだろうか。

 カリスマ性、というような心理的な要因も考えられるが、それだけでは説明が付かない場合も多い。

 やはり実力で序列を決めているのでは、と思われる場面も多く見受けられる。

 ということは。

 なにか怪我などが伴わない、安全な形でお互いの実力を測る方法があるのではないか。

 そう、筆者は考えた。

 つまり、体の大きさや、魔力の量(存在する作品であればだが)。

 そういったものを比べたり、競ったりすることで、序列を決めているのではないか。

 これであれば、怪我をすることもなく序列を決めることができる。

 お互いに納得する形であれば、最も理想的ともいえるのではないかと、筆者は考えたわけだ。


 では、ゴブリンが力を比べる方法で、一番現実的なものは何だろう。

 真っ先に思いつくのが、やはり体格の大きさだ。

 これは分かりやすいうえに、容易に実力が分かるので実に現実的だと言える。

 多くの動物も、体の大きさを競うことで優劣を決める。

 ゴブリンも、そう考えていいのではないだろうか。

 だが、ココでふと筆者の中に違和感が生まれた。

 ただ体が大きいだけで、人型の動物の優劣を決められるものだろうか。

 筆者が出した答えは、否である。

 例えば、ただ脂肪で体が大きいだけのケース。

 これは身体は確かに大きいが、戦闘力には直結しない。

 それだけを理由に長とするには、いささか障りがあるだろう。

 では、ほかにどんなものがあるか。

 見た目で分かりやすく比べられ、お互い怪我をしない方法。

 ここで、筆者にひらめきが舞い降りた。

 あるではないか。

 平和的で、お互いにけがをせず、実力を比べ合う方法。


 そう。

 ボディービルである。


 己の体を鍛え上げ、肉体を芸術へと昇華する。

 あのボディービルである。

 もちろん、いわゆる人間のボディービルとは少々違うものであるだろう。

 魅せるだけの筋肉では、ゴブリン達にとっては意味が無い。

 実用的で、実践的な筋肉。

 これを鍛え上げ、お互いに誇示し合うのだ。

 当然、ポージングも重要になってくる。

 いかに己の体を大きく見せるポーズをとるか。

 これは、身体の大きさで優劣を競う動物の多くも、様々に工夫するところだ。

 まして知性を持つゴブリン達となれば、当然この「ポージング」にもそれが発揮されることとなる。

 いかに大胆に、それでいて繊細に、おのれが鍛え上げた肉体を見せつけるか。

 それは、なるほど、序列優劣を決めるにふさわしい戦いとなるだろう。

 そもそも、体を鍛えるためには食料を得ることが不可欠だ。

 いくら運動をしたと言っても、栄養を摂取しなければ筋肉は育たない。

 己の体を大きくするためには、栄養補給は不可欠。

 それをするためには、狩りや採集に長けている必要があるだろう。

 序列を上げるには、体を鍛えるだけではなく、栄養も必要。

 栄養を得るためには、狩りや採集に長けていなければならない。

 と言うことはつまり。

 狩りや採集に長け、熱心に体を鍛えるひたむきさがあるものほど、序列が高くなるということだ。

 これは中々に理にかなった考え方ではなかろうか。

 ゴブリンは序列をボディービルでつける。

 多くの作品の平均的なゴブリンは、つまり、ボディービルによって序列をつけているわけだ。


 と。

 ここで、先ほどの「お金」の話に戻りたいと思う。

 ゴブリン達は、何故お金を持っているのか。

 ここまでくれば、およその読者が答えにたどり着いているだろう。

 そう、ゴブリンがお金を持っているのは、どう考えてもあるものを手に入れるためだ。


 プロテインである。


 プロテインを摂取し、より肉体を強固にするため、ゴブリン達はお金を持っているのである。

 だが、そのプロテインはどこから手に入れるのだろう。

 筆者は、エルフなどのいわゆる亜人種が怪しいのではないか、と睨んでいる。

 森に暮らす種族であるにもかかわらず、少々ではあれお金を持っているケースが多く見受けられる亜人種。

 彼らはどこからお金を得たのだろう。

 ゴブリンは人類と敵対している関係上、お金を手に入れる機会が少なくない。

 襲ってきた、あるいはこちから襲った人間がお金を持っていることもあるだろう。

 それを、身ぐるみをはぐ過程で手に入れることがあるはずだ。

 ゴブリンがお金を持っているのは、ある種当然のことな訳である。

 ならば、ゴブリンから亜人種にお金が流れていたとしても、何ら不思議ではないのだろうか。

 むしろ人類文明と接触が少ない亜人種がお金を手に入れる手段として、ゴブリンが介在することはむしろ自然なことと言ってもいいとすら筆者には思える。

 つまり、亜人種はゴブリンを倒すか。

 或いは何らかの取引をすることで、ゴブリンからお金を手に入れているのだ。

 もちろん、戦って手に入れるモノもいるだろう。

 だが、物事は一面的ではなく、様々な考え方で動くものが居るのも事実だ。

 ゴブリンが求めるプロテインと引き換えに、お金を得ようとする亜人種が居たところで、何の不思議もない。

 むしろそう考えた方が、しっくりくると言ってもよい。

 なぜゴブリンがお金を持ち歩いているのか。

 それについて、明確な回答を得ることができるからだ。

 ゴブリンは「プロテインを販売している亜人種」と接触した時の為に、お金を持っている。

 これが、ゴブリンがお金を持っている問題の、一つの解答なのではないだろうか。


 そう考えると、ほかにも納得できるものが出てくる。

 例えば、冒険者とゴブリンが接触した時、ゴブリンが突然騒ぎ出す問題だ。

 これは、ゴブリン達が相手が敵なのか「プロテインを販売している亜人種」なのか判断できず、ゴブリンの言葉で


「あ、すみません、プロテイン買いたいんですけど。今持ち合わせってどのぐらいありますか?」


 と質問していると推測できるのだ。

 お金を持ってうろうろしているのも、おおよそ狩りに出ているとは思えない無防備さで歩き回っている理由も。

 これで説明することができるだろう。

 彼らは狩りや採集目的ではなく、プロテイン目的で歩き回っているのだ。


 そもそもプロテインとは、たんぱく質のことである。

 最近では「タンパク質などを主原料とした、プロテインサプリメント」を指す場合が多いが、ここでいう「プロテイン」もそれのことだと思って頂こう。


 筋肉と言うのは、負荷を掛けられ破壊された後、修復されるとき肥大化していく。

 トレーニングなどの後に接取したたんぱく質は、この「破壊された筋肉の修復」に使われることとなる。

 つまり、トレーニングの直後にプロテインを飲むのは、この破壊された筋肉の修復に必要なたんぱく質を補う目的によるものなのだ。

 当然ゴブリン達の目的も、それになってくるだろう。

 筋肉を肥大化させたいゴブリンは、まず肉体を酷使し、しかる後にプロテインを飲み干すわけだ。

 そして、大きく育て上げた肉体を見せつけることにより、序列を決めるわけである。

 何と言うことだろう。

 多くの作品から導き出される平均的な「ゴブリン」像から、恐ろしいまでに知的で綿密なゴブリンの生態が分かってしまったではないか。

 もちろん様々な見方があるだろうが、これはどの作品においても当たり前にみられるゴブリンの姿なのではないか。

 筆者にはそう思えてならない。




 さて、ここまで書いてきたが、このゴブリンの見方には、一つ重大な問題がある。

 多くの懸命な読者の方々はお気づきだろう。

 そう、どんな亜人種が、どのようにしてプロテインを作っているのか、だ。

 これを解決しない限り、ゴブリンの生態を考察したとは言いにくいのではないだろうか。

 なにしろゴブリンとプロテインは切っても切れない間柄であり。

 プロテインを作る亜人種とも、共存しているからである。

 となれば当然、プロテイン作りの亜人種についても考察しなければならないわけだが。

 それはまた、次の期待とさせていただきたく思う。

そうだね、プロテインだね!

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんという科学的解説。すばらしい。 [一言] 「あ、すみません、プロテイン買いたいんですけど。今持ち合わせってどのぐらいありますか?」 もはやどんな小説を読んでも、ゴブリンが出たら「裏で…
[良い点]  最高です! [気になる点]  ボディビルといえばのコンディションの調整が必要なのですが、ゴブリンの場合はどうなるのでしょうか?。 [一言]  実際に一定のコンデション求めると考えた場合は…
2021/08/05 01:57 退会済み
管理
[良い点] これほど笑顔にさせるエッセイはそうそう無い! [一言] 「いいね!キレてるよ!」 (ゴブリンの褒め言葉)
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