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夕飯は無し

右の奥歯にようじが刺さったので初投稿です(めっちゃ痛い)

一通りの処理が終わり、エリスは夕飯まで部室で待機してほしいと告げると、4人は大人しく部室に籠って今回の事件の発端から結末まで話し終えた。

あれこれと意見があったが、追ってきた奴らが何者なのか…リザードマンの運転手が無事なのか分からないまま、時間が刻一刻と過ぎていった。


ふと、丸山は話を置いて今夜の夕飯は何の料理になるか予想を立て始めた。

初日は白菜と刻み人参のオリーブオイル炒めと魚肉ハンバーグの盛り合わせだった。

昼間は吉岡もエリスの手伝いをしながら各部屋に昼食を持っていった。

昼食の献立は国産大豆を使った揚げ出し豆腐とあさりの味噌汁だ。

夕飯はどんなメニューになるのか、食いしん坊の丸山にとっての楽しみの一つであった。


「今夜の夕飯は何ですかね?昨日が白菜と刻み人参のオリーブオイル炒めと魚肉ハンバーグの盛り合わせで…お昼ご飯が揚げ出し豆腐とあさりの味噌汁だったので…夕飯は洋食風の料理になりますかね?」


「俺はそろそろ肉料理が食べたいですよ…ながべる牛丼屋の酢醤油とおろし大根のメガ盛りが恋しくなってきた…」


「わかる、俺は白髪ねぎと甘いオニオンスープセットが好きだわ」


「なんかこの世界だと牛や豚の獣人…あと鳥人がいる影響で肉料理が殆ど無いですよね…部長が設定したんですか?」


「俺はそんな設定なんぞしていないわ、流石にそんな細かい設定が出来るなら変更しているわ…でも鮪が食べれるならそれでいいじゃないか…エリスさんの料理最高だろ、もうエリスさん食べたいぐらいだよ」


「おい吉岡、それは性的な意味で言っているのか?」


「…ハッ?!俺はいつの間にそんなことを?!」


「いや、今言っただろうが…」


吉岡の冗談とも本気ともとれない茶番を他所に、部室のドアを叩く音が聞こえる。


「ドアの鍵なら開けてますよ、どうぞ」


吉岡が声を掛けるとエリスが部室に入ってきた。

だが、エリスの着ている恰好を見て、歴史研究部のメンバーは衝撃を受ける。


そこにはどう見ても宿の女将ではなく、軍の将校のようなガチガチの軍服をエリスが着ていたからだ。

紺色で統一された軍服、ホルダーには本物とおもしき拳銃が入っている。

エリスの後ろにはMP18のような短機関銃を抱えたエリスと同じ軍服を着た兵士達が続々と入り込んだ。


「ファッ?!なんだこれは?!恐ろしいなぁ…エリスさん、その恰好で部室に入るなんて不法侵入ですよ不法侵入!!!」


「不法侵入どころの問題じゃないんですが部長…エリスさん、これはどういうことか説明していただけますでしょうか?」


佐々木が呆れながらも吉岡を制止させて、エリスに尋ねる。


「ごめんなさいね佐々木さん…詳しいことはお話できませんが、これからあなた達の身柄を首都に移します。これに抵抗したりした場合は強制的に身柄を拘束するようにとの通達がありましたので…ご同行お願いいたします」


エリスの目が鋭く一同に突き刺さる。

吉岡はエリスが一般人ではなく、諜報などを担っている機関や組織の者だと薄々だが気が付いていた。

というのも、宿の手伝いをしている中では健気に振る舞っていたシェリーだが、ある部屋だけは吉岡にやらなくていいと釘を刺して別の部屋の掃除を任せて欲しいと言われたからである。


その部屋を少しだけ、ほんの僅かであったがシェリーが清掃用具をその部屋に入れた瞬間に部屋の奥が見れたのだ。

そこには宿には似つかわしくない大型の機械が幾つもあった。

恐らく、防諜目的の部屋か何かかと思ったが確信できるものがなかったので吉岡は気がつかないふりをしていただけだった。


首都に身柄を移す…。

吉岡達が持ち込んだパソコンも丁重に包装された上で一緒に首都まで持っていかされるようだ。

これからどうなるか見当もつかないまま、吉岡達は防弾ガラスを張り付けたバスに乗せられて、エリスの監視の下、急きょ横浜を発ったのである。

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