プロローグ
「お前が、魔王だな!?」
「…はあ?」
平和すぎる日常。賑やかな学校。灰色の校舎。
その平和の象徴の灰色の校舎の裏に呼び出された途端、私はビシッという効果音とともにそう言われた。
えーと、今西暦何年だったかな。&ここは地球だった気がする。
「…ゲームのやりすぎだな、杉なんとやら」
「杉本だ!!」
「ああ、どうでもいい」
果たして、地球に魔王っていたかな。勇者すらいなかった気がするんだが。
二次元だな。二次元行ってこい杉本。
「お前…この世界に何しに来た! 地球を制圧する気か!!」
……頭大丈夫か。
しかも、こいつ真剣な顔してる。
「…何で私を魔王扱いする? 理由を教えてほしいものだが」
水無月 紫音、至って平凡な女子高生。
何故その女子高生を魔王扱いするのか。
うん、私には全く分からないな。
「それは、俺が勇者だからだっ!」
…誰か、救急車呼んでやってくれ。頭のイタイ子がいる。
「魔王よ、さっさと自分の世界に帰れ! ゆ、勇者に恋したなんて言い訳は通用しな「死ね(バッゴーン)」グフォアッ!!」
つい、殴ってしまった。
あー、バカがうつらないといいが。
「そ…その破壊力、やはり魔王だな!」
…もう無視しようか、どうしようか。
救えないバカだな。
帰ろう。付き合ってる時間が勿体ない。
私は踵を返し、校舎の中へと戻っていこうとした。
「ま…待て! 悪は俺が成敗する…っ」
「黙って寝てろ、カス」
そう言って蹴った途端、自称勇者はパタッと倒れ、動かなくなった。
…力尽きたか。
しかし、証拠もなく人を魔王扱いするとは最低な奴だ。
しかもか弱き女子高生を。
…うん?
…いや、まあ…確かに、私は魔王なんだが。