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不器用なふたり  作者: いしかわ
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6、小宮山新一

6、小宮山新一



福島綾香。

元先輩、現彼女。

偶然の再会から何回か食事に誘い、交際を申し込んだ。

その時彼女は泣き笑いの表情。


「俺に付き合ってって言われるの、嫌でした?なんで泣くんですか?」


自分は正直に言うと大分軽い気持ちで伝えたのだ。

高校在学中は彼女がいたが卒業してから自然消滅し、それから今まで恋人が出来なかった。

専門学校で、仲間から彼女との話を聞くたび淋しい思いをしてきたというのもあって、早く相手をつくりたかった。

もちろん焦りだけでの告白ではないし、福島先輩は綺麗で何より性格が魅力的だった。

うなずきながら話を聞く所、目をみて話す所、話の内容にもこうありたい、こうしたいという意志がある所。

真っ直ぐな人。そして、

自分に対しての好意を感じた。

これは何となくで確信ではない。

ただ、そんなに好きでもない人と、普通こうして何回も会ってはくれないだろうと言う考えから。


「ううん。ただ、嬉しくて。

小宮山君とあの日偶然再会して、こんなに早く付き合うことになるなんて思ってなかったから…。」

「あぁ、早すぎましたよね!すみません!」

「ちがうよ。私も小宮山君の事が好きだったの。だから嬉しかった…。」


彼女の言葉に驚いた。確かに再会した時から好意は感じていたけれど、本気で自分を好きだとは思っていなかった。

告白された。今は恋人いないし悪くないかも、という程度。

自分のように…。


「え、いつから…ですか?」

「高校生の頃から」

「…すみません。全く気がつきませんでした。」


そんなに前から?二人で話した事もなかったのに…。


「なんで、どこが…自分のどこが好きだったんですか?」


そう尋ねると彼女は少し困ったような顔をしてから笑った。


「きっかけなんて些細な事だよね。何でも。

気が付いたら意識しちゃってた。目で追ってた。変かな。」

「そんなこと、ないです…。」

「これから宜しくね。小宮山君。」


照れながら笑う彼女を、可愛いと思った。お互い相手の事はよく知らない。これから知っていけばいい。


「新一って、呼んで下さいこれからは。…彼氏だし。」

「私の事も綾香って言って。敬語も禁止!」

「宜しく。…綾香」


専門学校に入学して初めての秋、彼女が出来た。




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