4、先輩2
4、先輩2
「え~小宮山ぁ?なんでまた。」
後輩、中野愛梨とカフェに行った翌日。
ついポロっと言ってしまった。
「うんいや別に何となく。…どう思う?」
「どうって、うーん…。…ただの後輩。」
あれからずっと考えていた自分が恥ずかしい。
そうだ。自分も友達の立場なら同じ事を言う。昨日の自分がそうだった。だが。
「でもさ、顔はけっこう可愛くない?背低いけどさ。」
「いやーだからって彼氏はないわ!」
目の前で笑い出す友人。
やっと落ち着いたと思ったら、で?とニヤニヤしながらこちらを見つめてきた。
「何?好きなの?」
「いや!私は全然!ただ愛梨ちゃんがあの子は私の事好きだとか言ってたからちょっと考えてみただけ!」
息継ぎ無しに言いきってからしまった、と思う。
これではまるですごく意識してしまっている人だ。別に告白されたわけでもないのに。
「ふーん。やっと綾香にも春が来たってこと?いいんじゃない?聞いてみれば。私の事好きー?って」
「そんなこと…」
きけない、と言おうと視線を友人の足元から顔に移す。
だが目が合わない。彼女の視線は私を通り越していた。
「おーい!小宮山~!」
突然手を振りながら私の後ろに向かって叫び出した友人。
その何か企むような面白そうな表情に嫌な予感を感じた。
後ろからあれ、という声と一人分の足音が近づいてくる。
「一条先輩と…福島先輩?廊下で立ち話ですか?外雪降ってるし、窓際寒くないですか?」
横まできて、声の主友人一条とその相手を確認し少し緊張したように話し掛けてくる。
「全然!それよりさぁ小宮山、綾香の事どう思う?」
「!」
直球。嫌な予感が的中した。小宮山の顔を見られない。とっさにうつむく。
「え…あっと…その…」
ちら、と一条を見ると笑いそうなのを我慢しているようにこちらを見ていた。
少しムッとして小宮山の方をゆっくり向くと、彼も先程の自分のように足元を見ているようだ。
言葉をつまらせているあたり気を遣って悩んでいるのかと思っていると、すぐに間違いに気が付く。
彼の耳が、真っ赤になっていた。
「可愛いと、思います」
言われた瞬間顔があつくなる。
後輩の勘を素直に信用しても良いのかもしれないと思った。
「じゃあさ!付き合っちゃいなよ!」
「はあぁ?!」
一条が小宮山と自分を交互に見ながら笑って言う。
話が飛び過ぎている。
ただ少しだけ、それでもいいと思った。
異性に好かれた記憶がない。恋愛から長く遠ざかっていたが、これからはもっと積極的になろう…
「すみません。俺、付き合っている彼女がいるんです。」