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不器用なふたり  作者: いしかわ
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3、先輩

3、先輩



小宮山君はかわいい後輩。


彼氏にするタイプじゃあないよね、って高校の時は友達と話していた。

そんな話になったのも彼が私を好きかもしれないと後輩に言われたから。




「絶対、小宮山君福島先輩のこと好きですよ~!だっていつも話してる時にこにこしてますもん!」

「そうかな。私以外の先輩ともよく一緒にいるじゃない。」


学校の帰り、一つ下の後輩とカフェに来ていた。

特に話すことがあったわけでもなく、ただたまたま帰りが一緒になっただけ。

とりとめのない話をしながら珈琲を喉に流し込む。

本当は苦い物は苦手だったけど、目の前に座っている、ふんわりとした長い黒髪を上着の袖から少しだけ出した細い指先でくるくると弄りながら、肘をつき甘いラテをちびちびと飲む後輩の前では、何だか格好つけたい気分になったのだ。


「確かに福島先輩以外とも話してますけど、小宮山君髪長くて真面目な人が好きって言ってましたもん。」

「だからって私?いやー私茶髪だし、校則守るタイプじゃないよ。

どちらかって言うと愛梨ちゃんの方が近いでしょ。」


すると彼女は一瞬驚いたように目を大きくし、視線を少し斜め下に移動したがすぐにこちらを向いて困ったように笑った。


「そんなことないですよー。私はただの友達です!よくメスゴリラってかわかわれてるんですよ?そんなに太ってないし!ぽっちゃりしてるだけなのに!」


明るく笑う後輩が何を考えてるのか分からなかったが、私は本当に彼女の方がもてているからそういった。

噂ではまだ入って数ヶ月だが、何人からか想いを伝えられているらしい。

しかしなかなか首を縦に振らないため、すでに好きな人がいるのではないかと言われていた。

全く言い寄られない自分とは正反対な彼女に、先輩惚れられてますよ、と言われても素直に聞き入ることが出来ない。


「小宮山君と二人きりで話した事もないし、そんな風に思った事もないな。」

「そうですかー。じゃあもしも付き合って下さいって言われたらどうします?」

「えーうーん…どうだろ。わかんない。あまり男として見てなかったからさ。」


考えたことがなかった。本当にただの何人もいる後輩の一人。

いきなり聞かれても困る。

ただ、そろそろ恋愛したいと感じていたし、好意を寄せられているかもしれないと知った今、今後彼を意識せずにはいられない。

彼女は、私と彼をくっつけたいのだろうか。

実は彼から相談を受けているのだろうか。


そんなことを考えているうちに辺りは日が沈みかけていた。


「そろそろ出ようか。愛梨ちゃんの家どの辺だっけ。私はここから電車ですぐだけど。」

「私もすぐです。バスで20分位。」

「そっか。じゃあ駅まで一緒に行こうか。」

「福島先輩今日はありがとうございました。小宮山君に告白されたら教えて下さいね!」

「いやいやないから!」


そのまま駅まで歩きわかれた。

帰りの電車の座席に座りながら考えていたことは、小宮山の事。

本当に単純だ。








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