歌乃の決意
「瑞姫様と天津さんが・・・」
黎が歌乃に放課後あったことを喋っていると同時刻、蘭も瑞姫の様子が少し変なことに気づき瑞姫は黎と付き合うことになった事を話していた。
「瑞姫様、それは瑞姫様の本心ですか?それとも家族に早く会いたいが為のフェイクですか?」
蘭の目は真剣だった、以前瑞姫は言っていたのだ。
「お母様に早く会いたい、だから偽の彼氏を作ってそれをお母様に知らせれば、もう一度家に帰れる」と。
「まだ、わからない・・・」
瑞姫は恋をしたことがない、だからまだ黎に対する気持ちが分からないのだ。
「そう、ですか・・・ですがいつか必ずその気持ちに答えを出してくださいね」
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黎が歌乃に放課後あった事を話した夜、歌乃の機嫌は深海のように深く、そして暗かった。
「黎君・・・」
歌乃は黎のことが好きだ、これは瑞姫のように気づいてないわけじゃなく黎に対する気持ちは恋だと確信している。
歌乃はベッドに身を沈め、顔を枕に埋めていた。
さっきから立ち直ろうとしても機嫌はそのままで、涙まで流していた。
「黎君のバカ・・・私のバカ・・・」
止まらない涙、止まらない後悔、色んな感情が歌乃の中で渦巻いていた。
と、部屋の扉がコンコンとノックされ、歌乃の姉である癒乃が入ってきた。
「歌乃、借りてた本返しに来たよ・・・ってどうしたの?」
癒乃は歌乃の元まで行き、歌乃の肩を揺らした。
「おーい、寝てるの?」
「・・・何?」
「あぁ、起きてたのね、この本ここに置いておくね」
癒乃は右手に持っていた本を机に置き帰ろうとしたその時、歌乃が癒乃の手を掴んだ。
「何?」
「お姉ちゃん・・・」
顔を上げ癒乃に今自分が悩んでいる事を全て話した。
恋愛経験豊富(?)な癒乃に聞くと何か得られるんじゃないかと思ったのだ。
「なるほどねぇ、あの黎君が」
「どうすればいいと思う?」
話すときに少し泣きそうになったがなんとかこらえ、癒乃に全てを話した。
「歌乃は黎君と付き合いたいの?どうしたいの?」
「わ、私は黎君と付き合いたい!」
「でも黎君には彼女がいてその彼女は歌乃の友達、つまり黎君と付き合ったら黎君の彼女とは仲良くなれない、逆にその彼女と今まで通りの関係の変わりに黎君のことは諦める、このどっちかしかないよ」
何かを捨てなければ得たい物は手に入れられない。それが癒乃の言いたいことだった。
「私は・・・・」
翌日、静かだった道も徐々に人が増えてくる午前7時30分。
歌乃は黎の家のインターホンを鳴らした。
数十秒後、家の中からドタドタという音がして扉が開いた。
そこには目を擦りながら歌乃の方をみる黎だった。
「おはよ!黎君」
歌乃は決めた、瑞姫の彼氏である黎を奪い取ると。
ミカエルです。
この作品では今年一発目の投稿ですね。
だからといって特に何も変わりませんが。
とりあえず今年もよろしくです。
今年から高校生・・・・・はぁ・・・。