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恋物語の始まりⅡ

少しペースを落としていきます。

最近体調が悪くて・・・

朝日が部屋を照らし、黎はむくりと身体を起こす。

いつもは目覚まし時計の音で起きるのだが、今日は時計が鳴る前に起きたようだ。

時刻は7時。時計が鳴る30分前に起きたようだ。

とりあえずこのままではまた寝てしまうと思った黎は洗面台に行き、顔を洗う。

そしてもう一度自室に戻り、制服に着替える。

黎は基本朝ごはんを食べない為、することもなく、録画していたアニメを消化していた。

アニメを一話分見終わると、あっという間に7時30分。

何をするかなと考えていたとき、家のインターホンが鳴った。

歌乃はもうちょっと遅くに来るから誰だろうと思い、扉を開けると、

「小花衣さんと藤咲さん」

「こんなに早く来て迷惑だったか?」

少し申し訳なさそうに言ってきた瑞姫。

「いや、大丈夫、丁度暇だったし」

黎が笑顔を見せると瑞姫は頬を少し赤く染めた。

「それにしても何でこんな時間なんだ?」

「そ、その・・・」

「瑞姫様は天津さんと少しでも一緒に居たいと言いたいのでしょう」

あまりにも意外な発言に戸惑う黎。

そしてそれを赤面して全力否定する瑞姫。

「な、なななな何を!」

否定しているんだろうが、顔の感じからしてそれは否定ではなく肯定である。

まぁ、鈍感な黎はそんなことにも気づいてないだろうが。

「ち、違う!私は、私は・・・」

言い返そうとしているのだろうが、否定する言葉が見つからない。

「ここで話すのもなんだし、上がって」

とりあえず二人を部屋に上げ、時間になるまで他愛もない会話を楽しんだ。

と、そろそろ歌乃が来る時間だな、と思った時家のインターホンが鳴った。

「お、来たか」

「来た、とは?」

「ん?あぁ、この時間になると歌乃が来てそこから学校に行くんだよ」

「いつから一緒に行ってたんだ?」

「小学校からずっと一緒だから、10年近く一緒に登校してるな、それがどうかしたのか?」

「いや、何でもない」

少し寂しそうな声で言った。

黎がリビングから居なくなると瑞姫の顔が不安そうな表情になった。

(10年、か)

歌乃が10年間、黎と一緒に居ることを考えただけで、胸が張り裂けそうになる。

自分じゃダメなのか、同じ時間を過ごしてない自分じゃ、そう思っただけで言葉にできない気持ちになり、不安感が募る。

「あれ、瑞姫ちゃんに蘭ちゃん、どうしたの?」

「えっ?いや、その・・・」 

瑞姫は本音の胸の奥にしまい、黙りこむ。

「歌乃様こそ、いつもこんな時間から天津さんと一緒にいるんですか?」

どうやら蘭は歌乃のことを歌乃様と呼んでいるようだ。

(いつから歌乃はお嬢様に)

黎の知らない所で、かなり親密な関係になっていたようだ。

「私は黎君の幼馴染みだからね。あ、黎君、朝ごはん作ってあげようか?まだ食べてないでしょ」

「今日はいいよ」

二人の会話を聞いてるだけで、悔しくなったり、悲しくなったり、イライラしたりと、様々な感情が波のように押し寄せてくる。

瑞姫の脳内感情は黎への気持ちでいっぱいだった。

「ちょっと、お手洗いに」

瑞姫がソファから立ち上がり、リビングを出る。

(なんなのよ!なんなのよ!もう!)

いままでにない未知の感情、それがここ一週間、終わりなく押し寄せてくる。

さっきも述べた通り、瑞姫は恋という物を知らなかった。

今通ってる高校は庶民が通う普通の学校だが、中学まで瑞姫が通ってた学校は箱入りのお嬢様ばかりが入る、女子校。

つまり瑞姫は男性と関わる事がなかったのだ。

恋なんぞ瑞姫にとっては縁の無いもの。

でも今の瑞姫の心は好き、このたった一つ気持ちが溢れていた。

「瑞姫様、そろそろ学校に行きましょう」

廊下から蘭の声がして、瑞姫は家を出た。

(積極的に行こう、負けるな、瑞姫!)

と、自分で元気づけていた矢先、

「はい、黎君、今日のお弁当」 

「サンキューな」

またもや黎と歌乃のイチャイチャシーンを見てしまい、イラっと来る瑞姫は黎の頬をつねる。

「痛っ、なんだ?」

「別に」

今度は四人で他愛もない会話をしていると、学校に到着、学校の近くから睨まれていた視線も、より強くなり、黎を襲う。

(今日も視線が痛い!)

少し小走りで、教室に逃げ込む。

まぁ、教室でもさほど視線の痛さは変わらないが、喋り慣れた奴がいるので心なしか安心する。

「お前ばっかり羨ましい!そこ変われ!」

「羨ましいぞ!」「ハーレム容疑で死刑に処す!」

創悟達三人は涙を流している。

「羨ましいとか言うけどな、今日も大変だったんだぞ、どれだけ睨まれたことか」

「そりゃあ、美人の女の子を三人も侍らせているからな、仕方ない」

「侍らせてねーよ」

チラッと歌乃、瑞姫、蘭を見るとほのかに顔を赤くしていた。

「リア充め!爆発しろ!」

と、後ろから歌乃達がやってきて、

「お昼、食べる時は言ってね、私達も一緒に食べるから」

この時の創悟達三人の顔は憎悪と憎しみに満ちた形相だった。


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