お嬢様に告白されましたⅣ
「そ、それほど怖くなかったな!」
「嘘つけ、さっきからずっと俺のシャツの裾を掴んでるじゃねえか」
しかも、震えてるほどだ。
「藤咲さんは大丈夫か?」
蘭はと言うと・・・
「わ、私は平気ですよ?瑞姫様を守るのが私の使命ですから、幽霊なんて・・・」
「わっ!」
蘭が喋っている途中で黎が急に大声を上げると・・・
「「ひゃっ!」」
蘭はソファにある毛布をかぶり、瑞姫は黎に抱きついた。
「そんなに怖かったのかよ・・・」
と、黎に抱きついていた瑞姫が咄嗟に手を離す。
「ご、ごめん、つい」
「二人は帰らなくて良いのか?親が心配すると思うぞ?」
もう充分遅いのだが・・・
「君には言っておくが、実は私は名門小花衣家の娘でな、この学校に来たのは理由がある」
黎も薄々気付いていたが、小花衣家は日本でも有名な家でいろんな物に携わっている。
「理由って?」
理由を聞くと少し瑞姫の顔が赤くなり・・・
「か、彼氏をつくることだ!」
その瞬間、黎の思考が止まった。
蘭は少し頬を赤らめている。
「・・・は・・・?」
「だ、だから、彼氏を作ることだ!」
「何で彼氏?」
確かに瑞姫も立派な女子高生だが、そんなことをすると、家が・・・
「お母様に言われたのだ、一つ目が男の人に慣れなさい、二つ目が将来のパートナーになる男を捕まえなさい、これができるまでは家に帰って来るなと、言われた」
「それで彼氏を・・・」
「まぁ、こんな理由で、瑞姫様の両親とは会えません」
少し寂しそうな顔をする瑞姫。
「なるほどな」
時刻は8時、瑞姫達は帰る準備をしていた。
家には帰れないが、瑞姫と、蘭が住める用のアパートを借りていて、家に帰るまではそこに住むらしい。
「夜ご飯までいただいて悪かったな」
「あ、送っていくぞ」
わっと、驚かせるだけであんなにびっくりする二人をそのまま帰すのは心配だった。
「良いのか?すまないな」
「護衛はいるが、その護衛も信用ならんしな」
「失礼な!」
蘭の反論は無視し、黎達は家を出て、瑞姫と蘭の家に向かった。
「また、明日な」
「今日はありがとうございました」
二人の家はそれほど遠くなく、以外と黎の家から近かった。
「また明日」