お嬢様に告白されましたⅢ
「何とか、振りきったな」
少し息切れしている蘭にお茶を渡す。
「ありがとうございます」
気を失っている瑞姫をソファに運び、毛布をかける。
「怪我とかないか?」
瑞姫はともかく蘭は黎が駆け付けるまで戦っていたのだ、怪我をしていてもおかしくない。
「腕が少し・・・」
左の二の腕が少しあざが出来ていた。
「あいつら、思いっきりよりやがったな・・・」
黎は苦い顔をしながら、蘭を手当てをする。
「あの連中のことを知っているのですか?」
「あぁ、以前も俺の幼馴染みを傷つけやがった」
だが、今日いた連中の中に黎の知ってる奴はいなかった。
「・・・私は失格です、瑞姫様の護衛は出来たものの、あのような輩ごときに怪我をさせられるなんて・・・」
目に涙を溜め、続けて言う。
「私は瑞姫様の護衛、失格です」
「そんなことないと思うぞ?」
「な、何故です!?私は瑞姫様を危険に晒してしまった、こんな護衛失格ですよ」
「実はあいつら、全員が空手や柔道を習っていてな、藤咲さんみたいな護衛でも、勝つのが中々難しいんだよ」
あの軍団はこの辺じゃ有名な輩で、一度、警察が動いたことも。
「でも、私は・・・」
と、倒れていた瑞姫が目を覚まし、辺りを見回す。
「あ、起きたか」
「ここは?」
「俺の家だ、怪我とかないか?」
瑞姫は自分の体を確認するが、それらしき怪我はなかった。
「そうか、私はあの時」
あの時のことを思いだし、最後のほうで少し赤面する。
「何で、顔が赤いんだ?熱でもあるのか?」
瑞姫の額に手を当てる。
「うーん、特に熱はないな・・・」
すると、また顔がボッと赤くなる。
「あの時、私をかばって、その、お姫様抱っこをしてくれたのは、君か?」
「え?そうだけど・・・」
すると、更に顔が赤くなる。
「そ、そうか、感謝する」
「あ、二人とも夕飯はまだか?」
時刻は7時前、そろそろ夕食の時間だ。
「今、作るところなんだが、一緒に食うか?味には自信あるぞ?」
何せずっとひとりですから。
「お言葉は甘えて貰おうかな」
「瑞姫様がいただくのなら私も良いですか?」
「ん?良いぞ」
いつも使ってるエプロンを身に付け、台所に向かう。
「蘭、お母様から言われた任務、すぐに終わるかも知れない」
瑞姫は蘭にしか聞こえない声で言った。
料理を始めて約15分、料理が完成し、食卓に料理を運ぶ。
「できたぞ」
黎が見ていたグロ系アニメを見て、怖がっていた二人を呼ぶ。
3人全員が食卓につく。
「「「いただきます」」」
久しぶりに作った3人分の唐揚げを自分の皿に取り、ごはんと一緒に食べる。
「「美味しい・・・」」
「口にあったか、良かった」
美人二人に美味しいと言われ、少し照れたことを隠し、平常心を保つ。
「どうやってこんな美味しい唐揚げを?」
蘭はこの唐揚げに興味を持ったようだ。
「ちょっと隠し味をな」
「今度教えてくれませんか?」
「あぁ、いいぜ」
気に入ってくれたようで何よりだ。
「「「ごちそうさまでした」」」
「皿洗いなら私がやりましょう」
「一人じゃきついだろ俺もやるよ」
蘭の隣に立ち、黎も食器を洗う。
「私もやる方が良いか?」
瑞姫も立ち上がり、台所に向かう。
「こっちは俺と藤咲さんがやってるから、食卓の机を拭いてくれないか?」
「了解した」
3人で夕食の後始末をして約10分、3人はテレビを見ながら休憩していた。
「さっき見ていたアニメ、怖かったか?」
黎が夕食を作ってる時に二人はグロ系アニメを見ていた。
「す、少しな!」
「アニメでも血は少し怖いです」
二人はグロ系が苦手なようだ。
「じゃあホラーは?」
「だ、大丈夫!」
ホラーなんて平気そうな、蘭は・・・
「わ、私も大丈夫ですよ?」
最初のほう、声が裏返っていた。
「この調子だと、俺が見たかったホラー番組は無理だな」
「だ、大丈夫!見よう!」
「私も、我慢すれば、いける・・・かも」
黎は少しいたずら感覚で、視聴してみた。
今、黎達が見ている番組はフィクションなのだが、とにかく脅かしにくるので、びっくりする、怖い、と反響の良いホラー番組だ。
「「きゃっ!」」
急に画面に霊が出てきて、二人はびっくりし、真ん中にいる瑞姫は右にいる黎に抱きつき、蘭は右にいる瑞姫に抱きつく。
「二人共びびりすぎだろ」
そんなこんなで、ホラー番組を見終わった。