護衛役 黎
大変遅くなった上、内容の薄さ、高校に入り余計に忙しくなった・・・・学校ってやだわ。
「大月さんと付き合う事になったぁ!?」
胡桃の母、優子と話をした後に黎は家に帰り、一応彼女なので真っ先に胡桃の家で起きた事を伝えると電話越しでもわかる感情が荒々しい声音に変わっていた。
「俺らの事は全部お見通しだったらしい」
「で、付き合うの?大月さんと」
実際、その質問に関しては黎はまだ悩んでいた。
確かに胡桃は大切な幼馴染みだ、そんな大切な幼馴染みに政略結婚などしてほしいなど、全く思わない。
政略結婚を少しでも避ける為、黎が一定の期間付き合い、わずかな時間稼ぎにでもなりたい、黎はそう思っていた。
だがしかし、現状黎には仮の彼女、瑞姫がいる、その瑞姫も母親に会う為、黎が必要な状況。
瑞姫は黎以外の彼氏は絶対に受け付けないと言っていたので、黎以外に頼める男性はいない。
ここでもし胡桃と一定の期間、付き合えば胡桃を狙う輩に対抗する事ができる。
胡桃の幼馴染みというステータスに加え、同じ学校の同じクラスで、黎は気づいて無いだろうが胡桃は黎にデレデレだ。
「胡桃も救いたい、けどな、お前も救ってやりたいんだよ」
「っ!」
瑞姫が黎の言葉を聞いた瞬間、顔を真っ赤にして、顔を枕に埋めながら悶える。
何の気無く、言った一言でノックアウト寸前の瑞姫、だがそんな事を知らない黎は言葉を続けた。
「もう一度優子さんに電話して、どうすれば良いか相談してみる、あと、お前の彼氏は辞めないからな」
プツッと切れた電話を瑞姫の放り投げ、赤面しながらバカ、と数回繰り返し言った。
その後、胡桃の母優子と話し、黎は胡桃の護衛役となり、瑞姫とは変わらずカップルのままだ。
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翌日、カップルになったことにより、黎は歌乃に加え瑞姫と三人で学校に登校していた。
歌乃は瑞姫が来た事により少し不機嫌だったのは言うまでも無い。三人が学校の校門をくぐろうとすると、黎達とは逆方向から胡桃が歩いてくる。
「お、おはよう、黎」
胡桃は表情豊かな方では無い、それは幼少期からいつもポーカーフェイスで、何を考えているのかわからない子だった。
だが、ある事がきっかけで黎と話す時は少しポーカーフェイスが崩れ、少しはにかんだ表情になる頻度が高くなる。
胡桃が黎と合流した瞬間に瑞姫と歌乃の表情は少しムスッとした表情に変わり、歌乃と瑞姫は黎との距離を少し詰める。
「お、おう胡桃、おはよう」
「今日から、よろしく」
胡桃は恥ずかしかったのか、足早に校門をくぐり抜けていき、去っていった。