黎と胡桃の過去
「よし!」
制服に着替え靴を履いた黎は、玄関で気持ちを引き締め、扉を開けた。
と、家の前でインターホンを押そうとしている金色の髪の少女、瑞姫がいた。
「小花衣・・じゃなくて瑞姫、なんでここに?」
慣れない下の名前で瑞姫に問うと、瑞姫は顔を赤らめ、
「な、何でって・・今日から私はあなたの彼女なんだから・・・迎えに行くのは当然でしょ?」
耳まで真っ赤になった瑞姫を見て黎の方まで赤面してしまう。
平日のこんな時間に外で言った為、周りから殺気を感じる。
「学校に遅れるのもダメだし、もう行くか」
今の黎にはここから少しでも早くこの場から離れたいという感情でいっぱいだった。
「うん」
瑞姫は歩きだした黎の後を半歩遅れて追った。
(やっぱ、緊張する・・・)
黎にとって彼女という存在は初めてなのでどういう話をすればいいかわからない。
すると、黎の左手に何か柔らかくて温かい物が黎の左手を染めた。
ある程度予想はできているが、あえて左手を見てみると、そこにはやはり瑞姫の右手が黎の左手と繋がっていた。
「えっと・・・」
黎は戸惑った様子で瑞姫の方を見ると、異性と手を繋ぐのは初めてなのか、首まで真っ赤だった。
「お母様と会う為なんだから!」
「お、おう」
瑞姫は黎が好きだから付き合っている訳では無い。
彼氏を作るまで帰ってくるな、という瑞姫の母からの命令で付き合っているのだ。
「まさか、手を繋いだまま学校に行くのか?」
もし手を繋いだまま、学校に行く→男子の殺気が凄い→体育の時間にサッカーボールで集中放火をくらう。
という、恐怖のビジョンが見えたのだ。
「当たり前でしょ、早く行きましょ」
瑞姫の即答に何も言えぬまま、黎は学校の門をくぐった。
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いつもよりざわざわとした校門付近を早急に駆け抜け、教室のある二階まで駆け上がった。
ざわざわとしていたのは瑞姫が手を繋いで、学校に当校したからだろう。
学校始まって以来の美少女が彼氏らしき人と手を繋いでいたらざわざわとするのは当たり前だ。
そして黎は瑞姫のことが好きな男子達全員を敵に回した瞬間でもあった。
そして教室の扉を開けると、瑞姫のことが好きだった男子達は撃沈し、女子達は色めきたっていた。
「お、おはよ黎君」
と、先に行っていた歌乃が二人の側に駆け寄った。
見るからに顔が少しひきつっている。
笑顔で挨拶しているがこの顔は作り笑顔、なんてことは黎は微塵も思わず、軽い挨拶を交わし自分の席についた。
「二人での当校はどうでしたか?」
先に学校に来ていた蘭が瑞姫に駆け寄った。
「疲れたし、恥ずかしかった・・・・」
瑞姫はかばんを机の端に引っ掛け、唸った。
「明日からはどうしますか?私も行きましょうか?」
「うーん」
三人だと楽かもしれないが、二人で行きたいという感情も無くはない。
「考えとく」
瑞姫は予鈴が鳴るまで机に突っ伏したままだった。
それは黎も同じで・・・・。
「黎、小花衣さんと付き合えて良かったな!羨ましいぜ、ホント!」
数少ない黎の友達である創悟がニヤニヤした表情で、こっちに向かってきた。
「つ、付き合えたのは良かったけど、朝から殺気が凄い・・・・」
机に頭を突っ伏し、いつものボリュームより低めの声でブツブツと呟いた。
「殺気はまぁ・・・・仕方ないな」
「はぁ・・・・」
重いため息をついてると、予鈴が鳴り担任の教師が入ってきた。
いつも通りの挨拶も今日はいつもよりだるく感じた。
「まず、転校生を紹介するぞ、入って」
いつもより重い頭を上げ、扉を開けて入ってきた人物を見た。
「おぉー」という男子の声と共に、女子達の「可愛い~」が聞こえた。
入ってきたのは艶やかな黒髪が腰まで届くような綺麗な顔立ちをした少女でどちらかと言うと綺麗系の部類に入る少女だった。
スラッと伸びた足はとてもセクシーでニーハイとスカートの間を覗く太ももという絶対領域がとても素晴らしい少女。
魅力的なのは下半身だけではなく、胸も同級生以上に発達しており、その二つの膨らみは男子にとっての理想郷、まさにユートピアだった。
(すげー美人・・・って、え?)
その少女も見ている内に脳内にある過去の記憶が掘り出され、その時の少女の顔と今の顔を照らし合わせると・・・
「・・・・胡桃・・・?」
黎は一人ぽつりと呟いたがこの声は誰にも聞こえず、担任の教師は少女に名前を書くよう、言われ少女は黒板に名前を書いた。
大月胡桃と。
どーもミカエルです。
大変遅れました、ごめんなさぁぁい!
それには理由があったんでホント勘弁してください。
もう少ししたら通常運転に戻ると思います、多分。
受験まじで嫌だぁぁぁぁぁ!




