お前は仕事ができていない
「テメェ、ふざけてんのかこの野郎!?忙しいからって間違えていいものなのか!?」
「すみません」
えー。これは……その。いちおー。そのー。
「謝れば済むとでも思っているのか!?こっちは急いでんだよ!!あんたのミスで遅れたんだぞ!責任とれよ!」
「確かに私が最終的に判断しましたよ。違和感がありましたが、仕事どおりにこなしました」
「ふざけてんのか!?今すぐ改善しろ!さっさと行けよ!!」
「すぐにはできませんよ」
非常にねぇー。言いにくいんだよねぇ。
「常識がなってねぇーからこーゆうことすんだよ!!ふざけてんじゃねぇよ!!だから、若いのは使えねぇーんだよ!!」
あー、……こーゆう奴って引き返すことしないんだよな。判断は私がしましたが、その判断がどーして起きた原因。分かってないな。普通の仕事では判断という言葉が発生しないんですよー?この歳でそれすら分かりませんかねー?
「なんだその顔は!?ミスしておいて何してんだよ!!馬鹿にしてんのか、この野郎!?」
ダメだ。ストレートに言った方がいいや。この手の人には教えた方がいい。
問題はちゃんと理解してくれるかどうかなんだよな。
「じゃあ、真っ当な説明に入ります」
「あああぁ!?」
「そもそも、あなたの書類の書き方が間違えてるんです。数字も間違えてるわ、名前も間違えてるわでー。ちゃんと確認しました?私共はこの書類通りに仕事をしたんですよ。違和感があっても、そのとおりに動くのが私達、社蓄なんです」
「はぁ!?」
「裏面を見てください。分かりやすく、書き方の説明も載っています。観てもなかったんですか?」
「ああああぁ!?」
怒りで誤魔化し始めたか。
ならこっちも冷静に愚痴ってもいいな。
「期日を守ってないのはそちらです。祝日出勤になっているの、私なんですよ?休みのところ出てきたんですよ?」
「はああああぁぁ!!?何それーー!?」
「さらに言うと、書類に修正液を沢山使うの止めてくれません?間違えないでください。印刷し直してください」
「間違えたからしょうがねぇーだろ!?」
「結局、間違えてるんですけどー?その間違い通りに仕事をしたから、あなたが私達にクレームを入れたんですよ?普通は、私が言う側ですよ?」
「お前等が無能だからだろう!!分からないのか、この野郎!?」
「………………」
「何も言えねぇだろ!?当然だろ!?俺の言い分が正しいんだよ!」
「違います、あなたにも理解できる言葉や方法を捜してるんです」
こーゆうのは絶対に自分に非はないと決めてるからな。私の方が年下ですから余計に決めてるタイプですか。
あー……時間が掛かりそうだ。祝日なのにー。社蓄に休みはないんだけどさ。
今日は日本酒飲んで眠りたいなぁ。帰るとしますか。
「率直に言います」
「あ?」
「個人営業を止めてください」
「はあぁっ!!?」
「あなたと契約して、こーゆう対応に追われるのなら切った方がマシです。それでは失礼します」
そして、いつもの居酒屋で飲んでいく。
ゴクゴクゴクゴク
「ぷはぁーー……。美味しいー。追加をお願いします」
「祝日で仕事とは災難だな。弓長ー。とでも、言うと思ったか?」
「知ってますよ。三矢さん達もお仕事だったんですよね。労働基準法なんて、会社にはないですよね」
「おう!そーだ!……どーしていつもの弓長さんが来なかったんですか?……って、今日の取引先のねーちゃんに言われたわ」
「気分で仕事を入れ替えたのは間違いでしたね」
弓長は顔がとても綺麗であるが、三矢は生まれ持ってヤクザ顔である。ほとんど同じ仕事をこなすわけだが、営業におけるクレーム対応の全般は三矢の方が上手ではあった。なにせ、この顔はクレームを言う側の顔であり、怒りが冷めるほど怖い顔をする。それがスタンダードなフェイスなのだ。
「私はあーゆうの向いていません。お客様、どうやら私を見てキレてましたし……。男には気に入ってもらえないみたいです」
「俺だって、女子受け良くないもん!受付のお嬢様がビビってるんだよー!勘弁してよー。……つーか、俺の方が損をしてるじゃねぇか!?」
「はははははは。まぁまぁ、気にせず。三矢さんなら結婚できると思いますよ?」
「彼女を手にしたことは一度もないぞ!」
仕事のストレスを解消できる仲間がいて、本当に良かった。
祝日と言えば祝日みたいなことができた。
先日起こったことを、弓長に演じてもらいました。仕事内容が分からない程度には書いております。休日出勤とかふざけるな。ただ、弓長の態度はねぇーかもしれない。
その。なんていうか。ねぇ。クレームを言いたい側は、自分なんですが。どーして、お客様が怒れるのか分からない。こーゆうケースは説明に時間が掛かるので嫌です。しかも、相手は聞こうとしないので。
最終的に判断を出した自分も悪いんですが、どっからどー見ても向こうが間違えてんだもん。
よし、明日も仕事を頑張ろう!