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File.50 精霊メイド

File.50 精霊メイド


 ここはとある剣と魔法の世界。

 剣を使う者は己を研ぎ澄ませながら高みを目指し、魔法を扱う者は己の内を覗きながら深きを欲す。

 剣を使う者、自分に似合う剣を掴もうとする。魔法を扱う者、自分と相性の良い精霊と共に生きる。

 剣は主を欲し、精霊は友を欲している。


「全く持って君は変人だ。魔法使いとしては優秀だとしても、人間としては変態としか言いようがないね」


 と、僕、ヒューリッヒが契約している精霊、グレフィールはそう言う。


「魔法使いは精霊と契約し、その精霊の力を行使し魔法を操る者だがヒューリッヒ君はどうして、私にメイド服を着せるなどと言う事までしようとするかなー」

「いや、俺の趣味みたいに言うなよ……」

「この服装は君の趣味だし、それ故にこうして私がメイド服を着ているんじゃないか」


 「どうだい? 当たっているだろう?」とグレフィールはこちらを見ながら自分の着ているメイド服をひらひらと揺らしながらそう言う。

 精霊とは魔法を扱うのを手助ける概念的存在である。その者の人間よりも遥かに大きい魔力を借りて、魔法使いは1人では到底行使出来ないような魔力が必要となる魔法を使う事が出来るのだ。そして精霊は魔法使い達と繋がる事で1つの自分と言う体を、存在を手に入れる事が出来るのである。


「だからこの姿は君が望んだ姿と言うのは魔法使いならば知っているだろう?」


 精霊の姿は魔法使いの想いの形だ。例えば幻想的な女性の姿を精霊として思い浮かべていた者は当然、精霊の姿もそのような姿へと変わる。精霊を見れば、その者の理想の女性像が分かるとまで言われているくらいである。

 つまりグレフィールのその姿は、魔法使いヒューリッヒの趣味嗜好が反映されている。銀髪に碧眼、スタイルはどちらかと言うと子供のような姿であり、そんな美少女が黒のメイド服を立っていると言うこの姿は、僕の考えていた精霊と言う存在そのものと言う事である。


「まさかこんな幼い姿に、しかもメイドさんに懸想している、最低の契約者とはね。魔法使いとの契約はこれが初めてではない故に、君は相当なムッツリさんと言う事だね」

「……ほっとけ」


 そう言って僕が拗ねたようにむくれると、「ごめん、ごめん」と謝るグレフィール。


「そうだったね。君はそう言う魔法使いだ。

 こう言う時はあれだね。……ごめんなさい、ご主人様――――と言えば満足かい?」

「君はね……」

「まぁまぁ、落ち着きたまえ。はい、ハーブティー」


 そう言って、ハーブティーの入ったカップを差し出すグレフィール。ちょっと怒りつつも、ハーブティーの良い匂いには逆らえずに、僕はそのカップを貰う。


「あっ、美味しい……」

「そりゃあ、そうさ。精霊に古くから伝わる、香り高いハーブを厳選したのだからね。普通の人間では到底手に入らないような物を手に入れる事が出来ますからね。どうだい、凄かろう?」


 ふふん、とどうだいと言いたげにドヤ顔をするグレフィールに対して、頭を撫でる僕。


「あぁ……////// そ、そこ////// う、うん////// 君は変態だけど、その分撫でるのは上手いね//////」

「お褒めに預かり、どうも」


 僕はそう言いながら心行くまで彼女の機嫌が良くなるまで撫で続けるのであった。


「……メイドもたまには良い物だね。まぁ、せめて80年くらい、君が死ぬまで付き合ってあげるよ。

 天涯孤独の君の身の上を心配した訳では無くて、精霊にとってこのくらいの時間は人間で言う一瞬でしかないからね」


 撫で終わった後、グレフィールはそう言って微笑みかけるのであった。

遂に粛々と続けて来たこの短編集も50話を迎えました。

続ける分には良いのですが、これはキリを設けないといつまで経っても終わりが見えて来ませんので、とりあえずこの50話でひとまずキリを付けたいと思います。明日はリクエストにあった『崖っぷちメイド』をやりたいと思います。

リクエストはいつでもお待ちしております。勿論、リクエストがあるのならば答えて行きたいとは思っていますので、何かこう言った物が読みたいと言うのがありましたならば、メッセージか感想でお申し付けください。ただし「メイド」は入れておいてくださいね。

例;「炎のメイド」○

 「炎のように熱いの」×

それでは。

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