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File.44 メイドの加賀美さん

File.44 メイドの加賀美さん


 とあるメイドのお屋敷。そこにちょっと変わった性格の女の子が居ました。


「鏡よ、鏡。鏡さん。この世界で一番美しい人ってだーれ?」


 と、鏡に向かってメイドはそう話しかけていた。

 金髪ポニーテールの透き通るような白い肌が特徴的な、とっても可愛らしいメイド。星のような瞳を持った可愛らしいリボンが特徴のメイド。薄いアイシャドーやリップクリーム、可愛らしいアクセサリーなどを付けたこてこてのアイドルっぽいメイクの白銀色のきらきらしたメイド服を着た、美少女メイドだった。美少女メイドは鏡を見ながらうっとりしたような顔で見ていた。


「そうよね、(わたくし)よね」


 うっとりしたような顔で、鏡に映る自身の顔を見つめるメイド。

 彼女こそ、この広いお屋敷のメイドの1人である加賀美鏡子(かがみきょうこ)さんである。


「あぁ、昨日も楽しかったわよね」


 そして加賀美は、昨日このお屋敷で行われていたパーティーの事を想い出す。あそこでの視線は圧倒的に加賀美に向いていた。加賀美こそがそこの視線を集めていた。

 実際は白銀色と言う、ちょっと珍しい色のメイド服を着たアイドルっぽいメイドの加賀美に対して注目が集まっただけの話なのだが。


「――――あぁ、本当に私って罪作りな女よね? メイドなのにも関わらず、視線を集めてしまって本当に申し訳なく思っているわ」


 「あぁ、本当にすまないと思っているわ! あぁ、悲しいわ!」と大げさな様子で、芝居かかった様子で加賀美鏡子はそう言っていた。


「――――鏡子、こんな所でどうしたんだ?」


 と、鏡子の後ろから1人の男性が声をかける。その子は黒髪短髪、平々凡々の個性がないような顔の男であった。その男は鏡子の良く知る人物であった。


順次郎(じゅんじろう)様……」


 そいつの名前は、順次郎。夕張順次郎(ゆうばりじゅんじろう)。この家の家族の1人であり、加賀美鏡子の担当しているメイドである。


「鏡子は相変わらず(アホみたい)だな」

「えっ!? 相変わらず(綺麗)!? 嬉しいですわ!」


 そう言って泣き出していた加賀美を見て、またしても笑い出す順次郎。


「相変わらずだな、鏡子は」

(まぁ! またしても褒め言葉とは! 本当に嬉しいわ!)


 加賀美は嬉しそうな顔をしていた。


「で、でも、私は皆の眼に自然と留まってしまう存在なんですよ。だって、こんな(に綺麗)ですので」

「まぁ、自然と目が行ってしまうな。お前はとっても目立つから」


 加賀美は「私が目立つほど美しいですか?」と考えていて、順次郎は「いつものように目立ってるな」と思っていた。お互いに勘違いをしたまま、話は進んで行く。


「順次郎様、ちょ、ちょっと恥ずかしいですよ!」

「まぁ、恥ずかしいよな。(お前の格好が)」

「も、もう順次郎様ったら」

「まぁ、もうそろそろ(仕事を)始めてください」

「えっ? (恋を)始めろ? もう、いくら私が可愛いからって、順次郎さまはだ・い・た・んですね」

「……? 早く始めてくださいな」


 そう言って加賀美鏡子は夕張順次郎に促されるようにして、仕事へと向かうのであった。

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