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海底に沈む石/向日葵
「海底に沈む石」
もし この世にまた
生を受けることがあるのなら
私は 海底に沈む石になりたい
何も語らず
何ものにもとらわれず
ただ じっと静かにそこに在る
潮にゆられ 藻屑にもまれ
その室に海の生き物たちの礎を抱き
永遠ならぬその生命をあたためながら
すべてが漂ってゆく末を見守りながら
暗くもなく 明るくもない水底で
私は
「ただの石」という生を生きていたい
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「向日葵」
緑なす いちめんの山田のなか
ただひとつ ぽつんと映える黄色がある
陽の光を一身に浴びて
何よりも高く 誰よりも気高く
ただ凛と佇みながら
ひかりだけを見つめている。
かの気高さは何処から来るのか
大輪の花の矜持か
憬れの夢を抱くもの故か
緑なす いちめんの山田のなか
その黄色は
移ろう時間を見つめている。




