表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

「短いお話集」

「鶴の恩返せなかった話:その2?」

掲載日:2026/07/06

鶴は恩を返したいだけなのに!

「先日はこちらのご主人に危ないところを

 助けてもらった名もなき鶴なのですが

 せめてものお礼

 私にできる精一杯のお返しをと思い

 訪問させていただきました。

 ご主人様はご在宅ですか?」


奥方

「うぇええええぇえええええええ!

 鶴が!鶴がっ人の言葉をっ!

 あんた~早く来ておくれ

 途方もない事が家の玄関先で起こってる~!」


旦那

「なんだ母ちゃん何をそんなに大声で、

 おやまぁびっくりだ。

 なんでここに鶴がっなんだいこの鶴はっ!」


奥方

「なんだかあんたにお礼がしたいんだって、

 それで来たらしいけど、

 あんたいったい何やったんだい?!」


「おぉこれはご主人様

 せんだっては本当にありがとうございました。

 本日はその時のお礼をと思い

 お伺いさせていただきました」


旦那

「あぁあああああ!

 あぁ~あんときの鶴かぁあああ

 人の言葉を話すとは腰が抜けそうだ。

 野犬は危険だから追い払っただけ。

 たまたま居たお前に、

 恩など売った覚えもないが

 興味はある。

 何をお礼してくれるんだい?」


「私は鶴の中でも

 もっとも珍しい種族の末裔でございまして

 人の言葉も話し、

 秘伝の能力もあり

 このふわりと軽くしかし頑丈なこの羽で

 特別な反物を編む事が出来るのです。

 今日はそれをお礼にとぉ」

 すると鶴、

バサッ

 自慢げにその羽を大きく広げると、 

 二人はその美しい羽をまじまじと見つめ、

 互いを見てその目にキラキラした光が

 有るのを見て頷き合った。


旦那

「そうかそれほど言うなら貰ってあげても良い。

 で、その反物はどこに?

 早く見たいんだ」


奥方

「あんたー寝耳に水ってのはこんなことを言うのだろう?

 あんたが旦那で本当に良かったよぉ

 鶴の反物なんて、

 見世物にして見料取って儲けてもいいし、

 売り払っても相当な金になりそうだよ?

 早く見せておくれ」


「あ。いえ。これから作るのです…」


旦那

「え…これからぁ………

 そうなのかい?で、

 作るのにどれくらいかかるんだい?」


「そうですねぇ約一年は…」


奥方

「はぁああああああ一年?…

 そ、そうなのかい…

 ちょっとがっかり、

 物が出来たらまた来てくれるんだろう?

 じゃないとお礼にならないものね…

 お礼なんだから…だよねあんた!」


旦那

「じゃー鶴反物出来たらまた来ておくれ。

 約束は守ってくれよな?」


 この世の春とばかりに貰う気満々な二人に鶴は続けた。


「えーっと反物は、

 ご自宅の一部をお借りしての作業となりまして、

 出来上がるまで居候と言う形になるのです」


 するとそれを聞いた途端、


ガラガラガ ガッシャン


 ピシャリと引き戸を閉じカンヌキまでかけた二人。


「あれ?あれ?あれぇえええ!

 あの~どうされたんですか?

 何かお気に触ることでもありましたか~?!

 もしもーし」


 どんなに声をかけても

反応が無くなってしまった彼らに鶴は

少しの間一方通行な問答を繰り返したが、


バッサバッサバッサバッサ


 大きく落胆しついに諦めどこかへ去って行き、

その様子を節穴から見ていた二人。


旦那

「詐欺鶴め遂に諦めて帰って行ったか!

 物の怪め!

 言葉を話す鶴など居るはずもない

 あれはきっと化け狸!

 家を乗っ取る策略!

 もう二度と来るな!」


奥方

「あんた~しかしびっくりな一日だったねぇ

 早めの夕飯にして

 今夜はたらふく食って寝るしか…」


旦那

「金づるならず詐欺づる…

 そうだなこんな事一日も早く忘れよう。

 飯だ飯!

 あーそれよりだ、

 ぱーっとこの話を肴に村の連中と

 酒盛りすっかー母ちゃん!

 どぶろぐまだあったよな?」


奥方

「あいよぉ~あるさあるよ~

 久しぶりに鶏鍋でも作って…

 あーだめだよあんた。

 口の中が涎まみれ

 あははははは」


旦那

「お前こそ。

 あははははは」


 小さな漁師町で小さな宴会が始まった頃鶴は、

納得がいかぬまま空を飛び、

物の怪の類ではあったが

悪意など微塵も持ち合わせて居ない鶴。

大きく孤を描き一鳴ひとなきすると

地平の彼方へ消え、

鶴の恩返せなかった話その2は、

これにて

おしまい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ