一体彼は何者なんだろうか
今は大体120階くらいだろうか。そこで上の階から悲鳴が聞こえた。
「…この上か、急ごう」
悲鳴を聞きすぐに状況を理解したソラは走る速度を上げる。しかし、
〝待って!ここは一応公式には未到達階層だから人にバレるのはまずいよ!〟
〝あぁ、しかも未到達階層に到達したものは全員協会に伝える義務があるから姿がバレたら面倒なことになるぞ〟
〝しかも悲鳴をあげた人が協会の探索者かもしれん
〝どうにか姿を隠せればいいんだけれど…〟
そう、未到達階層に到達したものは必ずその情報を取って協会に伝える必要がある。
そしてその情報を持ってきたものに莫大な報酬を与えるのだが…
「確かにめんどくさそうだな…」
天音ソラはそんものには興味のない様子。しかもソラは面倒くさがりな性格をしているので、ソラ的には絶対に深い階層で人に見つかりたくないのである。
「どうしようか…あ、そうだ、さっきのレイスのドロップアイテム使えばいいんだ」
〝確かに、それならバレなそうね〟
〝ならマントも覆った方がいいな、たしかもっておっただろう〟
〝あの…画面が見えない(見たら吐く)ので何が起きてるのかわからないのですが…なにかあったんですか?〟
「あぁそうか、新規さん。今から起こることは黙っててください」
〝??はい、何かわかりませんがわかりました…?〟
〝本当に頼むぞ?〟
〝もしこの情報を漏らしたらあんたを特定して突撃するから〟
〝ヒェッ〟
「…まぁ、約束守ってくれればこの人らもいい人だからあんま怖がる必要はない。それとあんたらもあんまり新規さんをいじめてやるな」
そう俺は身内視聴者をなだめ、走りながらマジックバックから先ほどの”仮面”とマントを取り出し、装着する。
そして先ほどより速度を上げて上の階層にのぼる
ソラはその間気配察知に集中力を使う。
…この感じ、119階層か、一人は重症で周りに人型オオカミが12体もう一人は軽傷だがマズイな、”ホワイトスパイダー”のナワバリにいる…
これはもっと急がないとだな
そうしてソラは森の中を突き抜け、木に叩きつけられた少女を見つける
「いた!」
その直後ソラは”何もないところ”に手をかざし、一本の刀を取り出した。そしてそれを横長に一振りし、狼男の首から上を消滅させた。
「大丈夫か?」
「え…だ、だれ?」
〝なにが起きた!!?〟
〝誰!?〟
〝レンちゃんが手も足も出なかったやつを一撃で…!?〟
〝え、俺なんも見えなかったけど〟
〝もしかして上位探索者!?〟
〝今何が起きたの!?〟
〝いや、俺もはっきりとは見えなかったんだが、狼男らの後ろから見えないほど早い速度で何かを横にないだように…一瞬だけ見えたんだ〟
〝すげぇ、おれ気付いたら狼男の顔が消えててわけわかめだったから助かる〟
〝それよりも助かった…のか?〟
〝助けがきたーー!!!〟
〝まって本当にコイツは味方なの?〟
〝わかんないけど…でも狼男を倒した?から味方じゃない?それよりも助かった!!〟
〝ありがとう!ありがとう!〟
〝でもレンちゃん怪我が…〟
「あの、ありが、とうございま…すでも…!」
「その怪我であまり喋るな、わかってるもう一人いるんだろう?心配するなすぐ助ける」
「…!?ありがとう…ございます」
「とりあえずこれを飲め、ポーションだ」
「?はい…」
そうしてソラは木に寄りかかっている少女にポーションを渡す。
「青い…ポーション?」
「それを飲んだら完治する。そこで2分だけ待ってろ」
♢♢♢
もうダメかと思った時、その人は現れた。 黒いマントを羽織り、カラスのようなお面を被った人。おそらく声的に男性だろうか。
目の前の狼男が消滅したかと思ったら現れたカラス男、まだ味方なのかどうかはわからないがなんとなく安心できる。きっと味方なのだろう。
私がそう思考しているとその男性から青い液体の入った瓶をもらった。
どうやら男が言うにはポーションだが、青いポーションなんて見たことない。ポーションは普通緑色だ。それか効果が強いポーションになるほど緑が薄くなる。
…そんなことはどうでもいいか、とりあえずこれを飲もう。
ゴクゴク———
「…なんだこれは!?痛みが…消えた!?」
〝そんな得体の知れないもの飲んでも大丈夫!?〟
〝え!?嘘!傷が治ってる!?〟
〝ってことは今の青い液体ポーション!?〟
〝青のポーションなんて聞いたことないぞ…〟
〝さっきの狼男消滅といい、この男何者!?〟
〝でもとりあえずレンちゃんが助かってよかった!!名も知らないカラス男ありがとう!〟
彼は本当に何者なんだろうか?
いやそれよりもリンのことが心配だ…彼は私に動くなと言っていたが、大丈夫なんだろうか?
口振りからしてきっとリンを助けてくれるのだろう。
頼む…無事でいてくれ!




