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私が時間を稼ぐ

私”彼方レン”はAランク探索者であり、「リンレン」という登録者200万人越えの姉妹配信者でもある。

 そんな私はいつものように妹のリンとダンジョンで配信をしていた。

 

 そんなある日———


「ここはどこなの…」


 私たちは運が悪いことに転移トラップに乗ってしまい、ダンジョン内のどこかにワープさせられてしまった。

 魔力濃度から推測するにおそらく下の階層だろう…


ワォォォン!


 更に運の悪いことにワープさせられた先はホワイトウルフの群の中心


 ホワイトウルフは75階から90階付近にいるモンスターで、一体倒すのにAランク冒険者4人は必要と言われている。

 

 …そんなホワイトウルフが10体もいる…!?


〝リンちゃんレンちゃん大丈夫!?〟

〝待ってて今ダンジョン協会に助けを呼んだから!耐えて!!〟

〝ホワイトウルフの群れ!?やばい二人とも逃げて!!〟

〝てかどこだよここ見たこともないんだけど…〟

〝俺も…てことは多分だけど…かなり下の階層にワープさせられたんだと思う〟

〝そんな!じゃあ助けが来れるかもわからないの!?〟

〝レイナ:今第3ダンジョンに入った。すぐ向かう〟

〝レイナきたーーーー!〟

〝頼むレイナさんリンレンを助けてくれ!!〟


「うん、みんな、ありがとう!絶対に生き残って見せる!」


 こんな時配信をしていて良かったと思う。絶望的な状況でも支えになってくれる人がいるのは心強い。


 視聴者に元気付けられた私達は即座に近くの木をつたってその場から離れた。

 どうやら後ろを確認したところホワイトウルフは追ってきていないようだ…よかった


「それにしても、なにここ…」


 だからと言って完全に心が復活したわけじゃない。

 ダンジョンにはそれぞれのダンジョン、それぞれの階層で特徴がある。ダンジョンは普通下の階層に行くほど広くなる特徴がある。

 

 私たちが来ていたダンジョンは森タイプのダンジョンだ。周りには木々がたくさんあり、ダンジョンの広さを測ることは出来ないが、魔力濃度が今まで感じたことのないほど濃い。

 

 Aランクの私ですら息苦しいほどだからきっと100階は超えているだろう。

 いくら助けが来るかもしれないとはいえいつも70階で探索している私たちにはこの状況はあまりに絶望的すぎる…

 

 そんな時


「姉さん!!」


ドゴォォォン———


 気配察知を得意とするリンが”何か”に気付き即座に私を突き飛ばした。

 その瞬間、リンがはるか後ろまで突き飛ばされ、木々を突き抜ける轟音が鳴り響いた。


「リン!!!」


〝なにが起こったの!!?〟

〝リンちゃんが急に叫んだと思ったらいなくなってる!?〟

〝なぁ、なんだよあれ…〟

〝モンスター…なのか?〟

〝もしかしてアレがリンちゃんを吹き飛ばした!?〟


 

 そこには…


 二足で立っている狼顔の生物が立っていた


「なに…あれ…」


 狼顔の…男?あんなの見たことも聞いたこともない。あいつが私に気付かれないうちにリンを突き飛ばした!?リンは大丈夫なの?

 私の頭の中で様々な思考がよぎる。ただ、すぐにそれらの思考が上書きされる。


———アレはやばい


 脳が、体が、本能が”逃げろ”と言っている。

初めてだ。あの時のスタンピードでも、あの時の初めての60階到達でもこんなことはなかった。

 見たことも聞いたこともない存在、息苦しい空気、おそらくここは”未到達階層”

 

 この第3ダンジョンは107階まで到達されている。当時協会によって集められたSランク冒険者20人が到達、そして…3人が帰還したと言われている。

 

 つまりはそういうこと、そんな場所に突如送り込まれたAランク冒険者がどう足掻いても生き残ることなんてできない。


〝やばいあんなの見たことないよ…〟

〝ダンジョン協会のホームページ見たけどあんなの載ってなかった…〟

〝つまりは…未到達階層…〟

〝そんな…〟

〝諦めないで!今ダンジョン協会が高ランク冒険者達を集めて救助に向かってるって!〟

〝それまで逃げて!!〟


「っ…!」


 そうだ、逃げないと…せめて”リンだけ”でも!

 妹を守るのは姉の役目、だからこそ…

 

 ここで私が時間を稼ぐ!

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