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どうせ明日は晴れだから。

作者: 京本

雨。

15:30

雨。傘がない。

電車から降りた私は、ぼーっとしたままの頭で

家まで帰る方法を探す。

母に電話をすれば車で迎えにきてくれるはず。

電話をかけよう、

スマホを取り出した私の手はしかし途中で止まる。

決意を固めた私は思いっきり走り出した。


雨が当たる。

容赦なく降る雨が、私の制服に染みていく。


でも今は、何も考えたくない。


頭に被っていたフードが脱げた。

ポケットに入れていたリップが落ちた。

耳につけていたイヤホンの片方が外れた。


でも今は、何も考えたくない。


カバンの中には濡れちゃいけない

大事な書類が入ってる。

知らない。

明日は数学のテストがあるんだ。

知らない。

友達に誘われたライブの返事をしないといけない。

知らない。

どうすればあの子に話しかけられるだろう。

知らない。

友達が友達の悪口を言っていた。

知らない。知らない。知りたくない。

今だけは何も考えたくない。

雨に打たれてる今だけは、何もかも、

もうどうだっていい。


どうせ明日は晴れだから。

きっと明日の帰り道は健やかで、またくだらないことに思いを馳せて悩むのだから。


考えなくちゃいけないことを考えられる、健やかな晴れの日が多すぎるから。

だから今日みたいな、何もかもどうでもいいと思えるような、何も考えずに走り出せるような、そんな雨の日が必要なんだ。


どうせ明日は晴れだから。


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