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第41話 3つの派閥。教会派、脱教会派、中立派


「お疲れ様です。屋敷の調査及び魔物の討伐を確認しました」

 

 小柄な美少女が無表情でこちらをジッと見つめる。


「ですが、おっしゃっていた犯罪の証拠の方は確認できないようです」


 黄金色の髪を指ではじきながらフリカリルトはそう言って首を傾けた。俺も衛兵隊やギルド職員と共に屋敷をひとしきり確認したのだが彼女の言う通り何もなかった。


 黒ローブの4人組に襲撃された後、俺とアテオア兄貴は今日起こったことを冒険者ギルドに報告した。冒険者ギルドは即座にマルチウェイスター衛兵隊に連絡を取り、共に現場に急行したのだが、驚くべきことに何一つ証拠は見つからなかった。残っていたのはスライムの破片だけ。残された物の状況だけ見れば発生したスライムに人が食われてしまっただけにみえる。


「そのご遺体は本当にここで錬金術の素材にされていたのですか?」


 先ほどまで飛び散った死体と腐臭にまみれていたはずのこの部屋には血の一滴も見当たらない。



「錬金術かは知らないが、少なくとも何らかの文字とか数式がそこに書き込まれてたぜ?」 


 遺体の腸で魔法陣が描かれていた場所を指差すも、確かにそこになんの痕跡も残っていなかった。ふよふよと漂い、「あの子を逃がしてくれてありがとう」とこちらに礼を言う死霊たちがいるだけだ。


 もちろん死霊たちは誰にも見えないので証拠にはならない。


「フリカリルト様、申し訳ございませんが、私にはこちらの冒険者の狂言なのかと。このような〈隠匿〉で何もかも隠しているような輩は信用しない方が」


 衛兵がそう言ってこちらを睨んできた。俺のことをよく思っていないのだろう。どうにも治安維持を任務とする衛兵隊というやつと俺の相性は最悪のようだ。他の街でもこんな感じで疑われたことがある。


「そうもしれませんね。ですが可能性がある以上嘘と判断するのは早計です。嘘である証拠があれば私も捨て置けるのですが」


 フリカリルトはそう答えながら、こちらにまばたきした。衛兵はあまり納得していないようだったがフリカリルトに微笑まれて、渋々といった風に再び調査作業に戻っていった。


「完全に証拠隠滅されてる。相当手際がいい。無事でよかったね」

「かなり危なかったぞ。危険度B級ってだけのことはある」


 生き延びられたのは本当に偶然だ。たまたまアンヘルと間違えられただけ。隠匿竜殺しの【槍聖】アンヘルといえばこの街の人間ならだれでも知っている有名人。あいつが隠匿竜の素材でつくった鎧を身に着けているのも有名な話だ。


「全員レベル30以上,【回復術師】ともう一人の魔術師はともかく、剣士は40以上だろう。【炎刃】さんほどじゃないがかなりのレベルの剣士だ」

「A級くらいってこと? それで無事なんだから、大したものじゃない」

「アンヘルのおかげだよ」

「【槍聖】アンヘル?」


 フリカリルトがまたジッとこちらをみて首を傾げた。


「ああ」

「よくわからないけど、クエストは達成。【槍聖】ナイク、C級昇格おめでとうございます。後ほどギルドにて昇級手続きをさせていただきますが、申し訳ございません。もう少し検証にご付き合いください」


 衛兵隊やギルド職員たちに指示をしているフリカリルトを横目に見ながら、魔法陣のあったあたりに近づく。今まで、死霊たちが何かに縛り付けられるところなんて見たことがなかった。そもそも死霊というものが存在することすら【死霊術師】でもないと知らないはずだ。意図は分からないが、あの魔法陣は死霊を縫い留めるためのもので、犯人の目的は死霊そのもの。そんな嫌な感じがした。



「そんな顔するんですね」


 衛兵隊の年若い男がこちらに声をかけてきた。右目に眼帯をあて、だらしなく隊服を着崩した軽薄そうなその男はひどく胡散臭く微笑んだ。


「西区衛兵隊の【追跡者】です。なにか気が付いたことがありますか」

「気付いたってわけじゃないが、ここが小腸、ここから大腸。円を描く様に消化管を広げていた。で、その真ん中に子宮だ。ご丁寧に切り裂いて内と外を裏返しにしてな」

「切り裂いて? どういう状況ですか」

「分からない。俺は魔術や錬金術については門外漢だが、女の胎を逆向きにして魔法陣に何かを産みつけようとしているみたいだった」

「産む……」


 軽薄そうな見た目と裏腹に真剣な表情になって床を見つめる男。衛兵隊にいるだけあって根っこの部分は間違いなく善人なのだろう。彼の表情から犯人への怒りのようなものが感じられた


  いつのまにかポケットの中にはいっていた磔にされていた死霊にマナを与えながらため息をついた。

 これは衛兵隊には言えないが埋めようとしていた物は正確には死霊だ。あの魔法陣は死霊を縛り付けるための檻。殺して檻に閉じこめる。ただ殺すなんて話じゃない。死霊を縛るというのは女神に還る行為、生まれ変わりすら許さない最悪の所業だ。何が目的でそんなことしているのかは分からないが、犯人はまともな人間じゃないだろう。俺は根っからの善人というわけではないが、それでもこの所業には腹が立つ。

 こんな気持ちになるのは【死霊術師】として死霊たちと関わってきたせいだろうか。


 それにしてもなぜ死霊を閉じ込めるんだ? 俺のように大規模クエストで死霊たちを消費してしてしまったから仕方なく取り込んだという感じでもなかった。


「まさか【死霊魔術師】ってのは、こいつのことか?」

「【死霊術師】!? 犯人はまさか六禁? 何かご存知で?」


 【追跡者】が六禁の名に反応して驚愕した顔をした。表情だけで「これは大事だ!」と思っているのが分かるほどの驚きよう。



「違う。違う。【死霊()術師】だ。この前占いの館で占われたんだ。この街に【死霊魔術師】がいるってな」


「【死霊()術師】聞いたことありませんね。占いの館、それはつまり随伴組織からの情報ということですか。他には何かありますか?」


「フリカリルトにも話したが、犯人は複数。少なくとも4人以上。実行犯の女は一瞬で意識を持っていくスキルがある。犯人と思わしき奴らに遭遇したんだが、一人は【回復術師】だな。あのタイミングで嘘を言うとは思えない。仲間からは【水】とか呼ばれてたが」

「【水】なんて役職はありませんので、それも通称でしょう。ですが【回復術師】なら犯罪役職。教会に登録されているはずです」

「犯罪役職……墨子か」


 昨日出会った泥濘という美しい女のことを思い出す。彼女は墨子、つまり性奴隷だった。彼女が奴隷であるように犯罪役職に自由はない。つまりあの【回復術師】も泥濘のように奴隷として教会に管理されているということだ。


「そうですね、墨子……だといいのですが」



 その時ガチャンと扉が開き、小太りの男が入ってきた。その横には大柄の眼付きの鋭い男。


 彼らを見た衛兵隊員たちが一同に立ち上がり敬礼をする。小太りの男の方は知らないが、もう片方はこの前の大規模クエストで一緒に働いたS級冒険者【看守】だ。


「はーい。はいはいはいはいはい。皆やめて、やめて。僕、【抽出師】ロッケン・マルチウェイスターの名で命じます。調査は終了! ギルド関係者は出て行ってくださーい。あとは全部衛兵隊がとりしきりまーす」


 小太りの男がシッシッと追い出すようにギルド職員たちに向かって手をふる。彼らに睨まれて困惑した様子のギルド職員をかばうようにフリカリルトが男たちの前に立ちふさがった。


「出ていかなくていいですよ。私、【錬金術師】フリカリルト・マルチウェイスターの名で許可します」

「フ、フ、フリカリルトちゅわんではないか。どうして西教区に? まさか、ついに僕の6番目の妻になってくれると?」


 小太りの男はそういいながらわざとらしくフリカリルトに歩み寄った。


「6? すでに6人ご婦人がいらっしゃたと記憶しておりますが」

「ああ、ひとりゴミを捨てたよ。もう若くないし、産んだ子の役職が戦士系とわかってね。もうびっくり。純然たる錬金術師系のマルチウェイスター家にゴミはいらん。子供ごと追放したよ」


 貴族のことはよくわからないが、貴族社会でも彼の行動は普通ではないのだろう。フリカリルトが完全に無表情になっている。嫌悪感を押し殺しているように見えた。

 

「その点、フリちゃんはいい。素晴らしい子を産んでくれそうだ」

「私の婚約相手は私が決めます」


 フリカリルトは手をつかもうとする小太りの男を振り払い、逃げるように俺の傍に立った。男の視線がフリカリルトからこちらに移る。


「そんなことをいっていると、そこの平民のような戦士系…………役職?」


 小太りの男の言葉と共にゾワッとした感触がして〈隠匿〉が上から撫でられた。


 〈鑑定〉だ。

 だがあまり上手じゃないのだろう。

 俺のステータスを探っているのだろうが、何一つ見ることはできていなさそうだった。


「偉そうなこと言っておいて〈鑑定〉は苦手……フリカリルト様はちゃんと見通しましたよ。やっぱり本物の【錬金術師】は違いますね」


 ギルド職員、衛兵隊員たちが石のように固まり、気まずい沈黙が場を支配する。フリカリルトすら呆れたようにこちらをみて、どう対処したいいのかと困った表情をしていた。


 ちょっとやりすぎたかもしれない。


 フリカリルトに嫌がらせしているのが気に食わなくて思わず煽ってしまったが、やはり【錬金術師】であるかどうかはマルチウェイスター家にとって重要なことのようだ。


「【()()()】ロッキン・マルチウェイスター卿。お初にお目にかかりまして至極光栄にございます。私は冒険者の【槍聖】、名をナイクと申し上げます。さすがのご慧眼。卿の予想通りの賤しい戦士系役職です」


 【吟遊詩人】の物語にでてくるような正しいのか間違っているのか分からない貴族式の礼をする。それを見た小太りの男はわなわなと震え、フリカリルトは何かを諦めたように大きくため息をついた。

 

「はは、【仮聖】、相変わらずだな」


 沈黙を破ったのは、今まで一言も喋っていなかった【看守】だった。笑いながらこちらに近づきピタリと俺を指さす。



「〈捕縛〉」


 スキルの発動と共に完全に体が動かなくなる。口の中で構えていた〈捕食強化〉を発動する一瞬の余裕すらなく、体が石のように固まった。



「困ったやつだ。すぐ人を煽る。見ろ、ロッケン殿が真っ赤だ。謝れ」


 口すら動かせない状況の中、謝罪を強要される。謝ろうにも【看守】のスキル〈捕縛〉はゆるむことなく、俺はそのまま彼の手で壁に叩きつけられた。S級冒険者の一撃の衝撃で、体が不自然な方向にねじれるが、〈捕縛〉のせいで戻すこともできない。


 棒切れのようにただただ床に転がることしかできない。


「そうか、謝らないか。どうしてくれようか」

「【看守】! それ以上やれば、衛兵隊長といえど許しません」


 フリカリルトがツタを伸ばして【看守】と俺の間を離す。庇うように俺を包んだツタをみて、【看守】はさらに大笑いした。


「それは庇う価値があるのか? フリカリルト様。いや、もう貴方にはそれしかいないのか」


 【看守】がフリカリルトに向かって手を伸ばす。まさかフリカリルトに攻撃までするのかと思った瞬間、小太りの男の「もうよい!」という声が【看守】を遮った。


「もうよい。もうよい。実力差も身に沁みたろう。フリカリルトちゅわんも困ってそうだからね。中立派は地盤も崩れ、頼りになる部下達も失って、残ったのがそんな屑だけとは。これ以上減らしてあげるのは可哀想だ」

「ふん、お前ら【仮聖】をうまく使え。それは隠匿竜討伐の立役者。性根は屑だが役に立つ。小娘の子飼いにしておくにはおしい男だ」


「「「承知いたしました」」」


「いきましょうロッキン様。屑と同じ空気を吸う必要はありません」


 ロッキン・マルチウェイスターと【看守】はそれだけ言い残すと、そのまま嵐のように去っていった。彼らが立ち去ってしばらくして解けた〈捕縛〉のしびれを振り払いながらフリカリルトに礼をいうと彼女は心配そうに俺の手を見た。

 

「だいじょうぶ? ねじれてたけど」

「ああ、殴られるのは慣れてる。ありがとうフリカリルト。あと【看守】さんにも礼を言わなきゃな」

「どういたしまして……?」

「またフリカリルトの仕込みだろ? 大規模クエストの【大食姫】みたいにワザと悪役買って出てくれた感じだったが。おかげでいい感じに収まった。ほら、冒険者と衛兵が協力したままだし」

 

 周りを見ると衛兵隊員たちがぶんぶんと頷いている。大規模クエストの時から思ってはいたが、【看守】は怖いが真摯な人のようだ。他班だったから俺との絡みはなかったが、【天気占い師】などの危険なメンバーをまとめながらレベル101のサブコアを討伐した優秀な冒険者である。彼がいなければ俺たちは隠匿竜討伐のあとそのままダンジョンに放置されて助からなかったであろう。


「相変わらず小賢しいのが得意だな」

 

 フリカリルトは若干戸惑っているようだったが、振り払うように頭をふってこちらをジッと見た。


「今回は仕組んだとかじゃないけど」

「仕込みじゃないのか? なら小娘の子飼いって? どういう関係か全く見えてこないぞ」

「……ナイク。あなたこの街に来てもう半年だよね」

「出身は辺境開拓村だぜ」



 その答えを聞いたフリカリルトは、さっき【抽出師】の貴族を煽った時以上の呆れ顔を浮かべて大きくため息をついた。


「……とりあえずあなたには簡単にマルチウェイスター家の勢力図を教えておきます。ちなみに常識よ。常識」




 この国最大の権力者のひとつである6大貴族マルチウェイスター家の勢力図。

 フリカリルトの説明によると、マルチウェイスター家、ひいてはマルチウェイスターの街は大きく分けて3つの派閥に分かれているそうだ。


 1つが、教会派。さきほどの【抽出師】ロッケン・マルチウェイスターなど所属するマルチウェイスター分家が束になった一団。当主直系を除くすべてのマルチウェイスター系列の貴族たちからなる最大勢力であり、街の東西南北にある教区と呼ばれる住宅地区に地盤をもち街民への影響が強い。衛兵隊や、水道局、税関、学園など主要な公共機関を支配下にしているため、事実上のこの街の覇権といえるのがこの教会派。


 2つ目が、教会派と敵対している脱教会派。現当主の息子リカルド・マルチウェイスターという男を中心とした脱教会をかかげる一団で、随伴組織(コンパニオンズ)という犯罪組織を使いマルチウェイスターの街の裏側や地下街を完全に支配している。ちなみに随伴組織(コンパニオンズ)の幹部は統領含め全員女性らしい。


 3つ目が、中立派。フリカリルトを筆頭とした、教会派にも随伴組織にも属さず、中立を掲げる寄せ集めの集団。地盤となるのは住民のほとんどいない中央街や工房街などであり、公共機関としては冒険者ギルドや、街民役所、大聖院、通信局などが、教会派と随伴組織のどちらにも属したくないという消極的な理由で中立派に属している。


 この3つの派閥が、ほぼ寝たきりで表に出ることがない当主の代わりに領地の運営を行いつつ、次期当主の座を狙っているというのがマルチウェイスターの現在の姿らしい。


「フリカリルトが筆頭?」

「そう筆頭」


 自慢げに胸を張るフリカリルトだったが、その表情は少しだけ不安そうに見えた。


「もしかして当主候補の【錬金術師】ってフリカリルト含めて3人だけか? 他にいないから、かつぎ上げられたってとこか」

「察しがいいのはすごいけど、本当にすぐ煽る。正解はマルチウェイスターの当主候補は4人。教会派に2人、脱教会派のリカルドと、中立派の私」


 当主候補と聞いた時から覚悟はしていたがフリカリルトは俺の思っていた何倍もすごいやつのようだ。最初にあったときなんて「私はギルドの受付嬢です!」っていっていたのに。


「冒険者ギルドは中立派に所属してて、フリカリルトは中立派筆頭貴族…………筆頭受付嬢?」


 フリカリルトとはいつもしかめ面から、目を驚いたように丸くして、それからクスリと笑った。

 

「もしかして気が付いてなかったの? 私がいわゆるギルドマスター。一応名義は当主の叔父さまの名前になってるけどクエストの采配は自分でしてるよ。このクエストもあなたにピッタリのを用意したっていったじゃない」



 どこが受付嬢だよ。



「ナイクって察しがいいのか悪いのか分からない」


「知らねぇよ。というかその区分なら冒険者は皆中立なのでは? 地盤が弱そうには思えないが」

「A級以下はそうよ。でもS級冒険者は別。それぞれの派閥がS級を有していて、彼らは街の要職を兼任してる。例えば【看守】さんは衛兵隊の統括隊長よ。逆にいうと街の高レベルの人は皆S級冒険者だと思っていいわ」


 なんとなく読めた。

 つまり、S級冒険者の数で各派閥の大体の戦力が分かるわけだ。


「この街のS級って何人いるんだっけ」

「15人よ」

「中立派は?」

「ふたり。しかも【暗殺者】さんは前回の大規模クエストで引退を考えてるって」


 フリカリルトの方をみると、彼女は張っていた胸をしおしおと縮ませた。


「フリカリルト。それは三つの勢力の一つというには」

「勢力だし……」


 若干しょぼくれてしまったフリカリルトになんて声をかけようか迷っていると眼帯の【追跡者】が再び俺に近づいてきた。


「【仮聖】さん。フリカリルト様と楽しくおしゃべりしているとこ悪いですが、もう少し詳しい事情をお伺いしても」



 【追跡者】によばれて、フリカリルトから離れ、衛兵隊にもう一度冒険者ギルドにしたのと同じ話をする。


 派閥とか今知った話だが、フリカリルトと仲良くしている時点で、俺は完全に中立派というやつにカウントされているだろう。

 はっきりいって明らかに劣勢な勢力。先の大規模クエストでS級冒険者だった【大食姫】を失ったことも響いているのかもしれないが、【抽出師】の言う通りフリカリルトの地盤はボロボロのようだ。


 俺も身の振り方を考えた方がいいかもしれない。



 とはいえ、教会派とか論外なんだよな…………

 俺は【死霊術師】、教会は天敵である。



「大変申し上げにくいのですが、非常にまずいですね。【仮聖】さんには犯人【死霊魔術師】との魔術的(えにし)がつけられています」

「えに…………【死霊魔術師】?」

「はい。【仮聖】さんの命名通り、今回の犯人の識別名は【死霊魔術師】に決まりましたよ」


 【追跡者】が静かにうなずいた。


「命名?! いや、そんなつもりじゃなかったんだが……」

「決まりました」


 決まってしまったようだ。

あとがき設定資料集


【抽出師】

※HP 7  MP 7 ATK 3 DEF 5 SPD 5 MG 3

〜この世界の全てものには理想(イデア)がある。花には花の、実には実の。当然、人には人の。要らないものも、要るものもすべて削り取って最後に残ったものこそがその人の理想(イデア)。抽出師とはそれを抜き取る役職である〜



簡易解説:アルケミスト系統の役職。アルケミスト系統の中でも錬金術師から派生した役職であり、錬金術師の基本能力の一つの〈抽出〉を得意とする。抽出師はスクロールの制作を生業とすることが多い。

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