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第04話 友達なら人を殺しても一生匿ってくれるよね



 子供が大人に勝てるはずがない。


 人は女神からの役職を授かることで、二つの力を得る。

 高い身体能力と一発逆転のスキル。ひ弱な人間が魔物に抗うために女神が授けた祝福が役職である。


 言い換えれば役職を持たない子供と大人の間に抗いがたい差があるということでもある。


 素の力で手も足もです、一発逆転のスキルもない。しかもか弱きものとして守られ続けてきた子供達は強者へ抗う経験すら足りてないなかった。


 では、もし戦うことになってしまったらどうするべきか。


 運良く自分が一発逆転の覚醒をすることを賭けるか、それとも相手がたまたま落ちてきた岩に頭をぶつけることに賭けるか、あるいは、びっくりドッキリの冴えた策を考えて相手を何とか罠にかけるか。


 無理とは言わないが、どれも望み薄だろう。


 相手も人間だ。一対一の殺し合いの場で、覚醒するのを待ってはくれないし、岩だって避ける。思いつきで考えた策はよっぽどのことがない限り真剣な相手には通じないだろう。



 自分より強い相手と戦うときに、一番いい方法はなんとか戦いを回避すること。それが叶わないなら自分では戦わず、相手より強い奴を呼び、代わりに倒してもらうことだ。




 俺が【祭司】を殺す作戦を考えるにあたって、まず必要だったのは【祭司】より強い相手である

 まず頭に思い浮かんだのが、開拓村の魔物退治を生業にしている自警団の人たちである。普段から戦いなれている彼らなら【祭司】のレベルは次第では勝てるかもしれない。


 とはいえこの村に俺に味方して【祭司】に戦いを挑んでくれる人がいるとも思えなかった。【死霊術師】を処刑するのは女神教の信者として何一つ間違っていない行いだからだ。


 教会の名の元、毎年神託の儀を行ってくれる【祭司】は見ず知らずの他人ではないし、逆に俺は村に血縁がいるわけではない天涯孤独の身だ。犯罪役職の子供達を殺し続けている【祭司】と、何もしていない【死霊術師】を秤にかけた時、ほとんどの人が【祭司】を選ぶだろう。それほどまでに六禁役職は悪だ。


 悲しいかな、人に頼れないならこの辺境の地に有り余るほどいる魔物を使えばいい。


 人類の生存領域の端、魔物の領域のすぐそばに位置するこの開拓村の近くには至る所に魔物の巣があった。特に村の西の森にいる【一角馬(ユニコーン)】という魔物は数年前、開拓村最強の戦士であるLv90の【槍聖】を殺した非常に危険な魔物だ。



『武器を壊すこと』

『森に呼び寄せること』

『血を流させること』


 それが、俺の考えた勝利の条件だった。

 魔獣に勝てないように武器を壊し、

 魔獣の縄張りに入るように誘導し、

 魔獣に気づいてもらえるように血を流させた。


 抵抗する力を可能な限り奪った上で、

【一角馬】を誘き出して、【祭司】を殺し、俺は生き残る。


 大怪我を負うことにはなったが、【祭司】は誘導の通り動いてくれた。



【一角馬】は【祭司】を貫いたまま頭を持ち上げ、【祭司】は上空に放り投げられた。



 月明かりに照らされた、【一角馬】の真っ白な毛並みが、流れ落ちた【祭司】の血でみるみる黒く染まっていく。


 声にならない絶叫と共に、爆発するように空気が弾け飛んだ。


「なんだこの魔獣は!」


 首の吹き飛んだ【一角馬】が音を立てて地面に崩れ落ちる。

【祭司】は転がりながら自分自身に〈ヒール〉をかけ、傷を治していた。


 そしてこちらを睨みつけ、何かを唱え出す。


 次の瞬間、【祭司】の体は再び大きな角に貫かれた。

 【祭司】が自らを爆発させ、【一角馬】を吹き飛ばしながら、〈ヒール〉で体を元に戻す。


 魔物の戦いに必死になっている【祭司】をおいて木陰に回り込んだ。腹に突き刺さった破片を動かさないように外側を折る。

 ひどい怪我だが、〈ヒール〉さえできればなんの問題なく完治できる。


 見れば二度目に腹を突き立てたユニコーンはすでに首を捩じ切られて殺されていたが、【祭司】は次々と現れるユニコーンの相手に必死になっていた。


 頑張っているとこ悪いがもう終わりだよ。


 開拓村最強の戦士であるLv90の【槍聖】を殺した魔物の群れだ。レベル40程度で相手できるわけがない。ここは【一角馬】の縄張り。無限とも言える数の【一角馬】がいる。そして奴らは血を流せば流すほど集まってくる


 何度も何度も貫かれ、その度に自分に〈ヒール〉をかけ、隙を見て見えない空気の爆発でユニコーンを倒していく。


 だが数が数だけに次第に【祭司】に疲れが見え始めていた。




「何をした?何故!お前は襲われない!」


【祭司】は魔物を振り払いながら、必死にこちらに手を伸ばす。こちらに投げつけようとしたであろう魔法はまとわりつくユニコーンに押し倒されてあらぬ方向に飛んでいった。


 俺が【一角馬】に襲われないのは、【一角馬】は処女を襲わないからだ。正確にはレベルの低いのものを餌として認識しないからだ。故に役職を持たない子供は【一角馬】に狙われない。これが処女魔獣と呼ばれる所以だった。


 こんなことは日々魔物に襲われる辺境の人しか知らないだろう。そして逆にユニコーンは高レベルの人間の血の匂いを嗅ぎ取る。


 俺が11の頃、村の幼子たちが迷子になった。開拓団総出で捜索にあたり、俺はその子たちを見つけ、父を呼んだ。だが不運なことに魔物と遭遇し、子供を庇った父は怪我を負った。そして俺たちはすぐさまユニコーンの群れに囲まれた。俺と幼子たちはまだ子供で役職を持っていなかったため見向きもされなかったが、レベル90代の父は数の暴力で薙ぎ倒され、俺たちの目の前で食い殺された。


「なんでなんだ?!」


 そういって縋るようにこちらを見つめる祭司は知らないのだろう。俺が襲われないのはレベル1でマナを持たない子供同然だからに過ぎない。


 わざわざそんなことを答える義理はなかった。


「待て、やめろ!もうくるなぁ」


【祭司】が必死に魔法を打ち続けているのを横に見つつ俺はゆっくりと木に登った。口から流れる血をなんとか抑え、体を持ち上げる。


 登りきった太い枝の上で、息も絶え絶えに血を吐いた。下を眺めるとすごい数のユニコーンの死骸とフラフラになっている【祭司】が見える。

 彼を取り囲むユニコーンの数は減るどころかまだまだ増えていた。



「こうさん! 降参だ! なぁ! おしえてくれ!」



【祭司】はこちらを仰ぎ見てそう叫ぶ。作戦と言うほどではないがここまで仕掛けてきた小細工がうまく機能しているようだった。毒を仕掛け解毒剤を持ち、沼におとし、どれも解決策が俺の手の中にある方法で【祭司】を狙いつづけた。


 おかげで【祭司】は俺がユニコーンから逃れる術を知っていると思い込んでいる。


 もちろん、そんな方法はないのだが。


「おい!聞いてるのか!【死霊術師】」



 必死に振り払いながらこちらを睨みつけてくる。

 もう余力がないのだろう。ちょうどいい。


「分かった交渉だ。俺の傷を治して【死霊術師】を見逃すことを約束してくれ」


 木の上から【祭司】を見下ろしながらそう伝えると彼は怒ったように腕をこちらへ向けた。だがその腕は飛び出してきた【一角馬】に阻まれ、彼は再び体を貫かれた。


「分かった! わかた! それでいい、早く」

「ダメだ。信用できない。先に傷を治せ」


【祭司】が【一角馬】と格闘しながら何か魔法を飛ばした。先ほどまでの殺意とは違う優しい光。〈ヒール〉が俺の体を包み込み、ふっと体が浮くような感覚になった。そして巻き戻るように次々に傷が治っていく。これが〈ヒール〉。本当にすごいスキルだ。


「ありがとう。少し準備があるので、まっていてください」


 俺はそう言ってそのまま自分の血でベトベトの木陰により深く潜り込んだ。そして、できる限り【祭司】からの射線を切りながらその場を離れる。




「早くしろ」


 遠くで、【祭司】が叫ぶ声が聞こえる。


「早くしてくれ」


 位置がバレるわけにはいかないので、少し変に思われても返事をするわけにはいかない。


「お願い早く」


 【祭司】の声はまだ余裕がありそうだ。反撃されないようにもう少し遠ざかる。


「私は治しただろ?」


 遠くから聞こえる彼は優しく諭すように言っているが、言葉の語尾からは辛さがにじみ出ていた。もう少しの辛抱だ。


「何もしない。絶対何もしないから。お願いだ助けてくれ」


 その言葉に何人の子供達が騙されたのだろう。たとえどれほど悲痛に訴えたところで聞いてやる義理はない。そこからしばらくすると【祭司】の声は泣き叫ぶように変わった。


「リーク、アンナ、助けてくれ。ここに【死霊術師】が…」


 きっと家族の名前だろう。余裕がなくなっているのが分かった。あと少しだ。

 何度も聞こえる声を無視して姿を隠す。


 逃げる裏技などないのだ。そんなものがあれば父は死んでない。


 もう死んだだろうか?そう思った時、


 バン!ッ


 と、遠くで、大きな爆発音が聞こえた。

 音のした方の森が吹き飛び、大きな穴になっている。


 けたたましい【一角馬】の鳴き声と「殺してやる!」「どこいった!」という【祭司】の叫び声が重なり、夜の森とは思えない怒号が嵐のように吹き荒んでいた。


 四方八方に撒き散らすように爆発が起こる。せっかく登っていた木が巻き込まれて倒れた。ゴロゴロと森の上を転がりながらできるだけ気配を消す。今見つかれば今までの努力が水の泡だ。


「殺してやる!」


 森が大きな音を立ててまた爆発した。


「殺してやる!」


 何度も、何度も、何度も、何度も、「殺してやる」と叫んだ声は、次第に小さくなり、ユニコーンの嗎が徐々に増えると共にそれは聞こえなくなっていった。


 遠くから祭司がユニコーンに食べられていく姿を見ながらじっと息を潜めていた。



 しばらくすると何かを大きな空気を飲み込んだような感触がしてレベルが上昇したのをがわかった。体にマナがあふれ、力がみなぎってくる。頭の中に自分のステータスを呼び出して確認するとレベル9まで上昇していた。


 普通に生きているだけでは経験しないであろうほどのレベルアップ。それは【祭司】の死が確定したことと同時に、次の脅威が始まったことを告げていた。


 ピクンと空気が揺れる感覚がする。


 レベル1だった時の血でベトベトになりながらユニコーンの方を覗き見る。彼らは何かを探すようにキョロキョロとしていた。


 ユニコーンが探しているのは目の前に現れたレベル9の【死霊術師】だろう。

 レベル40の人間を殺すことに関与してしまったせいで俺のレベルは上がりユニコーンの餌の対象になってしまったのだ。


 〈ヒール〉のおかげで血は流れていない。

 そこにあるのはレベル1の時の血だけだ。そのおかげで詳細な場所はバレてはいないが、バレたら即喰われる。


 どうやって逃げる?


 理想は【祭司】と【一角馬】達が相打ちすることだった。だが実際は【一角馬】達の圧勝。


 おそらくこのまま朝になるまでここで動かず隠れ続ければ【一角馬】からは逃げることはできるだろう。


 だが、そんなに悠長していれば俺が【祭司】を殺したことが開拓村の皆にバレてしまう。


 なんとしてでもここから立ち去らねばを


 静かに一歩ずつその場を離れようとした。


【一角馬】は獲物を探すようにそろりそろりとあたりを嗅ぎながら、歩き回っている。


 その角は、まるで尖らせた桐の先のように鋭利で、触れただけで皮膚が裂けそうだった。



 このままでは見つかる。


【一角馬】の一匹が、徐々に近づいてくる。

 必死に息を止め、気配を殺した。





「わたしがかばってあげる」



 ずっと背中から見守ってくれていた女の子の死霊がそう言って俺の中に潜り込んできた。むず痒いような感覚がして体が重くなった。


 まるで役職の力を失ったような、子供の頃に戻ったような感覚がした。


「僕も!」

「あたしも!」


 そう言って死霊達が次々に俺の中に入ってくる。

 死霊が入るにつれ、どんどん自分の魂がたくさんの魂で紛れていくのを感じた。


 そうか、この子達はみんなレベル1か。


「仇をうってくれてありがとう」


 そう口々にいいながら【祭司】についていた死霊たちは皆俺の中に納まった。


 しばらくすると【一角馬】たちはこちらを見失ったのか興味を失ったように、頭を上げた。そしてそのままゆっくり解散していく。一匹、一匹、姿を消し、しばらく待つとそこには、真っ赤に染まった血のシミだけが残った。


 骨のかけらひとつ、食べカスひとつなく【祭司】は魔物に喰われたというわけだ。

 恐る恐る、それでも急ぎながら森を抜ける。


 

 


 森を出ると、死霊達が次々と消えていくのを感じた。

 1人1人体から抜け出て、そのまま天に昇るように消えていく。真っ黒だったその姿はまるで怨念が抜け出たように真っ白に変わっていた。


 皆、まるでこちらを確認するかのように俺の周りを回って天に昇っていく。


「ありがとう。またね」


 そういって消える彼らの姿は消滅というよりかは大いなるマナに還った、そんな感じだった。



「こちらこそありがとう」


 最後の霊が消える前に、声に出して返事をしたが、当然誰からも返事はなかった。



 終わった。生き残った。



 そう思った瞬間、今度はけたたましい音が頭の中に鳴り響いた。



『おめでとうございます!おめでとうございます!

【死霊術師】ナイク様は素晴らしい偉業を達成いたしました!


 実績《神意の隠匿》が解放され、実績報酬として〈隠匿〉のスキルを贈呈いたします。ご活用頂けますと幸いです。


 ナイク様の今後のご活躍を期待しております。今後ともよろしくお願いします。


 悪戯な女神より』



 機械的な、それでいてどこかふざけた口調の言葉が頭の中に流し込まれてくる。頭の中にステータスを呼び出すと確かに所持スキルが二つになっていた。


 【死霊術師】の初期スキル〈死霊の囁き〉に加えて〈隠匿〉というスキルが増えている。



 女神があたえてくれた実績とスキルがどのようなものなのか確認すると、なかなかえげつない内容であった。


 《神意の隠匿》

 自分の役職を知る人を自らの手で全て殺害し、0人にすることによって達成する実績。不可逆の忘却によっても達成可能。実績報酬として〈隠匿〉のスキルを得る。


 〈隠匿〉

 パッシブスキル。自分及び自分の所持物に対する感知系および鑑定系のスキルの効果を著しく減退させる。



 

 自らの手で全て殺害……

 

 実績とは何か特別なことをした人に与えられるものだ。贈与の条件はよくわかっていないが、一説によれば悪戯な女神を楽しませた人に与えられると言われている。神託の儀以外で唯一女神からのお言葉を頂ける数少ない機会だが、まさか【祭司】殺し(今回のこと)が実績になるとは思わなかった。


 悪戯な女神は本当に文字通り悪戯な神様のようだ。悪い意味で俺が【死霊術師】という役職に値するか試されたような気がする。


 そんなことするくらいなら【死霊術師】なんて役職与えるなとも思うが、神にとやかく言っても仕方ない。だが、この実績のおかげで【祭司】が他の誰にも漏らしていないことが証明できた。


 六禁役職のことが漏れたがどうかを考えなくて済むのは少しだけ安心だ。



 その後、俺は聖堂に戻り祭司の荷物に残っていた装備品を吟味した。あんな目にあったのに、高レベルの【祭司】の回復魔法のおかげ体は疲れすらなく、元気いっぱいだった。


「スキルってのはやっぱりすげぇな」


 〈ヒール〉はいわゆる聖魔法というもので魔術師系の役職が覚えるものだ。損傷部分の時間を戻すことで、どんな怪我でも治療することができる。【死霊術師】の自分が覚えることはできないだろうが、羨ましいスキルである。


 【祭司】の鞄をひっくり返し中身を覗く。中にはじゃらじゃらとたくさんの装飾品が入っていた。


 【祭司】の体は既に原型を止めてないので好きに持っていっていいだろう。というか残ってるのは草木の血シミと肉片だけ。何を身につけて何を身につけてなかったなんて、もう本人以外わからない。装備品がいくつかなくなってもおかしくない。

 死体漁りのようで気が引けるが、それどころではないので盗むのにそんなに抵抗はなかった。


 めぼしいものは全部いただいていこう。


 価値がありそうなものを全て剥ぎ取り拾い集める。【祭司】の妻子の写真が入ったペンダントだけを残して、服、靴、装飾品など全てを魔法袋に突っ込むとなかなかの量になった。


 【祭司】は、意外にも装備品コレクターだったようで彼の持ち物の中には現金は少なく、代わりにたくさんのアイテムが入っていた。中には邪神の腕輪とかいう趣味の悪い魔王崇拝の装備品まである。


 【祭司】がいなくなったのがバレる前に村を離れなければならない。ただでさえボロボロの聖堂の壁にとんでもない大きさの穴が開いているので、朝になれば何かがあったことはすぐに皆の知るところとなるだろう。そうなる前に出発しなければ。


 今すぐ村を出発するか、それとも家に帰るか。少し悩んだが一度家に帰ってもう少し準備をすることに決めた。家に着くや否や、血だらけの服を脱ぎ捨てて、水釜の水で全身を洗う。頭を擦ると飛び散って乾燥した血が垢のようにポロポロと落ちた。


「疲れた」


 肉体はともかく、心がいっぱいいっぱいだ。

 今日は沢山のことが起こりすぎである。


 神託の儀に始まり、父の告白、そして【祭司】殺し。


 今すぐ寝床に潜り込んで、眠りに落ちてしまいたくなるのを堪えて持ち物の仕分けを始める。といっても収納のスキルが付加された魔法袋があるのだから目についたものを袋の中に突っ込むだけだが。


 あれも、これも、全部持っていこう。


 そうこうしていると戸がたたかれた。

 もうバレたのかと、心臓が凍りそうな寒気がしたが、よく聞くとその声は見知った幼馴染のものだった。



「おーい、ナイク? いるか?」「ねぇ?」


 幼馴染のアベルとナシャータの声。一瞬、返答するか判断に困ったが、急いで服を着て、扉を開ける。


「どうした? こんな時間に」


 もう時刻は夜分遅く。本来なら二人は婚姻を終え、二人きりの時間のはず。


 扉の外にいた二人は普段よりいい服を着ているが、それ以外はいつも通りで特に憔悴している様子もない。おそらくどちらも神託の儀はうまくいったのだろう。


 それなら尚更俺のとこに来る暇はないと思うのだが。


「どうしたって、それはこっちの台詞だぞ」

「両親に相談するって出て行っちゃったじゃない」


 二人の目は疑っているというより、心配しているように見える。


 できることなら誤魔化して何事もなかったように振る舞いたいが、長年の付き合いの二人には適当に嘘をついても誤魔化せないだろうな。


「あー、正直言っちゃうとあんまりいい役職じゃなかったんだ。1人で落ち着いて考えたかった」

「大丈夫かよ」


 アベルが大きな体を屈んでこちらを覗き込む。


「ああ、もう大丈夫だ」


 身振り手振りで大したことじゃないとアピールする。


「ならよかったぜ。こいつ不穏なこというから心配してたんだよな」


 ナシャータもアベルの言葉に合わせるように頷いた。


 変なこと?

 どういうことか分からず、困惑しているとアベルは説明するようにナシャータを前に差し出した。


「そうそう、ナシャータは【予言者】、ちなみに俺は【庭師】だったんだよ」


 自慢げにいうアベルの態度の通り、確かにどちらも当たり役職だ。


「で、私の【予言者】の直感?が、二度とあなたに会えなくなるっていってる感じだったんだけど……やっぱ勘違いだったかなぁ」


 ナシャータは少し気恥ずかしそうにそう続けた。


 【予言者】の直感か。【死霊術師】が死霊の声を聞けるようなものだろう。当たっている。



「【予言者】ってすげぇ役職じゃねぇか。貴族から招待がくるレベルだろ」


 できることなら適当な話題で誤魔化したい。


 それに実際に神託の儀で希少な役職を取得した者が、貴族に養子として迎え入れるという話はある。流石にこんな辺境の開拓村にまで迎えにくる貴族はいないだろうが、役職を見込まれて街の高名な【予言者】に弟子入りくらいならいくらでも有り得そうだった。



「やっぱそう? 【祭司】さんにもそう言われたんだ。もしかして私、聖都に招待されちゃうかも?」


 嬉しそうに跳ねるナシャータを見て、アベルは少し心配そうに顔を顰めた。


「おいおいおい、これは逆に心配のパターンじゃないか?」


 こっちに話が戻ってこないように適当に煽っておこう。

 心配だなぁ?とアベルを脅すと彼は振り払うようにブンブンと首を横に振った。


 農地開拓が基本の開拓村において【庭師】も決して悪い役職じゃないが、流石に【予言者】には見劣りする。両方アタリ役職でも婚約破棄というのはあり得ない話ではなかった。


 半分以上ただの冗談だったが、少なくともアベルにとっては大きな問題だったようで少し顔が青ざめているように見えた。



「で、ナイクは何だったんだ?」


 アベルはさっきまでと打って変わって真剣な眼差しになってこちらを向いた。


「ちょっと!言いにくいっていってるんだから自分で言ってくれるまで待たないと」

「いや、いいよ」

 

 止めにはいってくれたナシャータを制止する。 


「俺は実は【」

「ダメ!言わないで!」


 ナシャータが急に怯えたように大声を上げた。驚いて彼女を見ると今まで嬉しそうにはにかんでいたのに、急に泣きそうになっていた。


 これも【予言者】の直感であろうか。

 別に【死霊術師】というつもりはなかったのに、どうしたのだろう。


「ダメ、お願い。アベルも。何も言っちゃダメ。絶対ダメ!」


 流石のアベルも若干困惑していたが、すでに【予言者】は理解できないのは割り切っているのか、あまり気にしていないようだった。


 彼は明らかに混乱しているナシャータを軽く宥めるとそのままこちらを向いてニヤリと笑った。


「実は六禁役職【狂戦士】とかだろ?」

「は?」


 彼の言葉に時間が止まったような気がした。


 六禁役職?

 なぜ?


 どうして気がついた?

 もしかして父が漏らしていた?


 頭の中に様々な可能性が浮かぶ。

 だが返ってきた答えはもっと単純でしょうもないものだった。


「いや、今日話題になっただろ。六禁役職って。あの話の直後にナイクがあんな態度とったから、もしかして本当に六禁になったんじゃないかなって、みんな噂してたんだよな。」


 アベルは、そのまま六禁の中でもなんで【狂戦士】なのか、いちいち理由をつけて詳しく語っていたが言葉が何も入ってこなかった。


 ナシャータはナシャータで、何かを察しているのか怯えたように震えていて、助けてくれそうにない。


「ないない。実は【彫刻家】だったんだ」


 六禁役職について語り出したアベルを遮って、自分の役職を告げた。


「「【彫刻家】?」」


 怯えていたナシャータもアベルも驚いたように目を丸くした。


「そう。だから【予言者】の直感は多分正しくて、俺は明日にでも街に行こうかなって思ってた」

「街?村を出るってこと?」


「ちょうど準備してたところだ」


 ほら、と家の中を見せる。準備も大部分終わり、家の中はほとんど空になっていた。二人は目を見合わせ、それから大きくため息をついた。


「ナイク。すまん。流石に【予言者】じゃなくてもわかる。それは嘘だろ。お前はそんな簡単なやつじゃない」

「は? 簡単?」

「【彫刻家】と【狂戦士】なら、まだ【狂戦士】って言われた方が納得できる。それに本当に【彫像家】ならお前は別に気にしない。ショックも受けないし、そんなことで内地に行こうなんて言い出さない。気にせず【彫刻家】で何とかするやつだ。【彫刻家】で村一番の戦士になる。そういうちょっとイカレた男だ。なにかあったんだろ?」


 ナシャータもうんうんと頷いている。

 困った。やっぱり二人は本当に俺のことよくわかっている。



「開示しようぜ。何かわかることがあるかもしれないし」


 アベルがそう言って腕をつき出した。開示とは、お互いのマナを通じあって役職やスキルの情報を公開する行為だ。本来それは信頼の証。だが今の俺にとっては命懸けの行為だった。


「それはやめとくよ」


「何があっても秘密にする。俺たちを信じろ」


 アベルの目はまっすぐこちらをみつめていた。


 ダメだ。誤魔化せない。

 二人は俺のことを知りすぎている。



 しょうがない、殺すか?


 ゾッとするような思考が頭をよぎる。


 殺して操れば?

 

 浮かんできた言葉を打ち消すために首を振る。


 こんな状況になって自分自身が【死霊術師】であることをはっきりと自覚した。

 もし、二人が、俺のことを【死霊術師】と知った後で、俺を捉えようとするのなら、おそらく先ほど【祭司】と同じように殺そうとするだろう。


 自分でもわかる。わかってしまった。

 もう俺の中には相手を殺すという選択肢が刻み込まれている。


「ねぇ、きっと助けになれるよ」


 優しく差し伸べられた手に縋りつきたくなるのを抑えた。縋りついてどうなる。仮に二人の手を借りて今晩の出来事を隠し通したとして...…それでどうなる?


 目の前の二人の首が胴と離れポロリと崩れ落ちる。そんな想像が頭をよぎった。


 もし秘密にしてくれたとしても、バレた時は二人はただでは済まないであろう。二人は優しいから、きっと自分たちと俺を天秤にかけて、それでも助けようとしてくれる。


 そして死ぬんだ。


 六禁役職を匿った罰として、言われなき罪を着せられ、言い訳しても聞いてもらえず、ただ悪と断定される。さっきの【祭司】の周りを回っていた霊たちのように、ごめんごめんもうやめてと泣き叫びながら殺されるのだろう。


 それほどまでに俺たち有害役職の立場は悪い。それは有害役職を悪とする教会のせいであり、同時に過去の有害役職たちが本当に有害であったせいであった。現実として【人殺し】が人を殺さなかったことも、【強姦魔】人を犯さなかったことも、ほとんどないのだ。それこそする前に殺されたくらいしか。


 女神は残酷なほど公平に、平等に人に役職をあたえる。ふざけた神だが、神だ。間違えることはない。


「そうだな。実はさっき二人がくる前に人を殺してきたんだ。レベルあげたくてさ……っていったらどう思う?」


 アベルとナシャータは二人とも何とも言えない表情でこちらをみつめていた。彼らは測りかねているんだろう。どこまで本当なのか。

 

 嘘だろそんなのと、笑い飛ばさない。やりかねないとも思われているのがよく分かった。かなしいけど、それが事実だ。二人は俺のことをよくわかっている。


「匿ってくれるよな。友達だろ」


「ナイク何を言って」


「ほら、その机の下に死体が」


 アベルが机を覗き込むが、当然そこには何もない。血に汚れた服は魔法袋の底だ。


「あるわけないだろ。冗談だ」


 そういってこちらへ背を向けたアベルを蹴り飛ばした。


 呆気に取られているナシャータの手を弾き飛ばし、そのまま彼女の鳩尾に掌底を叩き込む。ナシャータは声もなくその場に崩れ落ちた。


「ナイク?!何を!」


 立ち上がろうとしたアベルの足を払ってもう一度転がし、そのまま地面に押さえつけた。


「二人に俺は救えない。救う得もない。お前らは俺に、重荷としての人生を歩めと?」

「そんなの話を聞いてみないと、わからないだろ!」


 レベル差のせいで、抵抗する力はあまりに弱くかんじる。


「どうやって助けるんだ?自分の身すら守れないのに。」


「ナイク?なん……だよ。その力」


「言ったろ殺したって」


 そう答えながら、彼を殴りつけた。そのまま意識を奪うように首を絞め落とす。


「ほら………【狂戦…」


 アベルは苦しそうな顔をしながら微笑んだ。まるで全部分かっていたかのような表情で、そしてそのまま気を失った。


 分かってもらえたという、絶妙な安心感に心が収まりそうになる。そのまま立ち止まってしまいそうになるのを我慢して、もう一度を殴りつけた。


「こんなにも弱い俺たちがどうやって経験値を積んだ大人たちに立ち向かえるんだ?」

「やめてよ!やめて!」


 後ろからナシャータが俺を引き離そうと抱きついてきた。


 不意を突かれ、俺はアベルから引きはがされ、ナシャータと二人で大きな音を立てて空っぽの家の中で倒れ込んだ。


「もうやめようよ!」


 縋るように腕に飛びついたナシャータを振り払う。


 既に意識のなくなっているアベルの体をベットの上に放り投げ直して、再びナシャータに向き直る。


 いくらステータスの低い【死霊術師】だとしても、目の前のレベル1の幼馴染たちでは止められない。


 彼女の胸ぐらを掴むと、ビリビリと音がして服が裂けた。神託の儀に合わせて仕立てたであろうドレスが破れ、白い肌が露わになった。


 暗い月夜の、差し込む光に照らされた彼女の体は酷く扇情的だった。瞳に浮かんだ涙をぐちゃぐちゃに踏み潰してやりたい気持ちに駆られ俺は首を振った。


「知ってるか?ナシャータの父さんははじめ俺と結婚させようとしてたらしいぜ。俺の父が許さなかったらしいが、今となっては大正解だったな」


 そういうとナシャータは恐怖したように身を縮めた。


「やめて……」

「やるわけないだろ。バカにするな」


 元々、アベルがナシャータのことを好きだったのは知っている。立ち入る気もそんな気概もない。


「強く生きろよ。二人で」




 それだけ言い捨てて、俺はゆっくり歩きながら家を飛び出した。一刻も早くここを逃げ出したい。

 家から離れるたびに足はどんどん小走りになり、いつのまにか全速力で村を飛び出した。


 レベルが上がったおかげか、信じられない速度で風が顔の横をすり抜けていく。春の夜の冷たさが目に沁みて、悔しさなのか、悲しさなのかわからない涙が目から溢れ出した。


「なんで、なんで俺がこんな目にあうんだよ」



 恐怖の感情で、こちらを見る二人の顔を思い出し、必要なら二人を殺そうと思った自分に寒気がした。



「俺だって【槍聖】になりたかったよぉ。別にそうじゃなくても。【農家】でも、【吹子鍛治氏】でもよかったんだ」




「みんなに、なーんだって失望されて。ナイクって親がすごいだけの普通の人だねって言われて。うるさいって言い返しながら鍬を振る毎日で良かったんだ」


 ただ普通になりなりたかったんだよ。


 盗んだ【祭司】の首飾りは、達成してしまった実績を讃える称号のようにカタカタと音立てて、胸元で跳ね回る。


 二人には絶対に追いつけないほど遠くまで走って、俺はそこにうずくまった。


「なんだよ。〈死霊の囁き〉って。なんだよ神意の隠匿って。なんなんだよ【死霊術師】って。俺はそんなの、そんなの、いらねぇよ」



 本当は口封じのために二人を殺そう。と思ったわけじゃないんだ。

 二人を殺して死霊術師の力をうまく使えば、死体を操って、魂を作り変えて、昨日までと同じように仲良く幼馴染を続けられるんじゃないか。そう思ったんだ。


 なんなら村全員を殺してしまえばいいんじゃないかとすら。


「お前は生まれついての死霊術師か」


 父の手紙に書いてあった言葉が、あまりに鋭く突き刺さる。父は俺以上に俺のことをわかっていた。だから俺がこの村に執着しないように許嫁も作らなかったし、誰かに縋りつかないよう1人で生きるための術を教え込んでいた。


 きっとそれは、俺のためというより、この村が()()巻き込まれないようにするための配慮だったんだと思う。



「災厄は俺の方ってことかよ」



 ひとしきり叫んだ後、村外れの最後の井戸を拝借し、身支度をした。もてるものは持って、身につけられるもの全部身につけたせいで、なんだか鎖帷子のようにジャラジャラつけることになってしまったが、今日から家なしの旅人にならないといけないのだからしょうがない。


 しかもいきなり夜の森だ。レベルは高くないからユニコーンは寄ってこないが、他にも危険な魔物はたくさんいる。


 朝になれば【祭司】殺しに気がついた誰かが追ってくるかもしれない。今晩のうちに出来るだけ村から離れる必要があった。



 ただ出発する前にやっておかないといけないことがある。

 レベル上昇で得たポイントでスキルを手に入れよう。そう思い自らのステータスを確認した。



 ——-

 ナイク【死霊術師】Lv.9


 所持スキルツリー  未割り振り9

 ⭐︎ネクロマンス

 •初級槍術

 •冒涜の災歌


 ———



 役職の恩恵は単なる身体能力の向上だけではない。もう一つとても重要なものがある。経験値を得て一つレベルが上がるごとに一ポイント、スキルポイントが手に入る。そのポイントをスキルツリーに使うことでスキルが手に入る。


 神託の儀では、役職固有スキルツリーの他に、二つ、その人の人生に沿って適正と考えられるサブスキルツリーも与えられる。


 これも女神様の思し召しで贈られるので、たとえ同じ役職だったとしても、サブスキルツリーは全く異なることがほとんどだ。幾万ある役職と、その何倍もあるされるサブスキルツリーを合わせて、その人のステータスが完成する。


 どのスキルツリーも3ポイントで一つ新しいスキルを得ることができる。


 サブスキルツリーは役職スキルツリーと違い特殊なものは少ない。が、サブツリースキルでも十分に優秀はスキルはあり使い方や組み合わせで役職固有のスキルより高い効果が得られることも多いかった


 特に魔物との争いが激しい開拓村にとってはサブスキルツリーは重要なものであった。固有スキルツリーが戦闘に向いていなくともサブツリーに戦いに有利なものがあればなんとか補っていけるからだ。


 俺の持っているのは

役職スキルツリー ⭐︎落城のネクロマンス

サブスキルツリー •初級槍術

         •冒涜の災歌



 初級槍術以外聞いたこともないスキルツリーだ。どんなスキルが手に入るかもさっぱりわからないうえに片方は歌。


 俺、音痴なのになんで歌なんだ?


 【死霊術師】の役職スキルツリーに1ポイントでも振ると役職を変えられなくなると父が言っていたし、とりあえず初級槍術に全部振りだな。初級槍術なら父も持っていてどのスキルが手に入るかも使い方も教えてもらっている。強いことは間違いない。


 持っている9ポイントをすべて初級槍術に突っ込む。


 〈槍投げ〉を獲得

 〈槍装備時ATK0.5段階上昇〉を獲得

 〈たたきつけ〉を獲得


 幸いにも神託の儀当日にしてレベル9になれた。ステータスバフは心許ないが、父に仕込まれた槍術もあるし、魔物相手ならそこそこ戦えるであろう。


 さぁ準備もできたし行こうか。

 父の残した遺言には最後にこう書かれていた。


『転職する、つまり役職を変える方法は必ず存在する。転職するにはまず()使()()()()()()()()()()()だそうだ』



 手がかりは少ないが、方法があるのであれば、希望はある。

 俺は【死霊術師】を捨てるぞ!


 そう心に決め、夜の深淵の中、生まれ育った村に一瞥した。

 挨拶したい人がいないわけではない。

【予言者】【庭師】以外の同期の他の幼馴染達がどんな役職を持ったのか知りたいという気持ちもある。


 でも、六禁を持つ自分がこのままここにいることはできないのだ。


 神託の儀でおかしな役職を得て、狂ってしまった人間が【祭司】を殺して出奔した。六禁であることは【祭司】以外の誰にもバレてない今、これが一番丸く治るはずだ。


 二人だって俺が本当に六禁だなんて思わないだろう。


「絶対に転職してやる! そして普通の生活を送るんだ。俺はしょうもない男になる! 誰よりもつまらない男に!」


 最初の目標はかつて父が冒険者をやっていたという街へ行こう。そこでとりあえず冒険者になって、安定した居場所を確保しつつ、転職する方法の情報をあつめる。


 後は仲間。


「いつか役職のこと全部打ち明けられるような仲間ができたらいいな」


 さあ、行こう。自分のことなど誰も気にかけないほど大きな街へ。


あとがき設定資料集



【庭師】

※HP 5 MP 4 ATK 7 DEF 3 SPD 6 MG 5

〜庭とは本来敷地内で作業を行うための実用的な空間を指す言葉である。庭師とは庭を一つの造形空間として設計、製作するだけでなく、庭のために選別した植物の生育を管理して庭を維持する、いわば庭仕事の専門家である〜


簡易解説:戦士系統の役職。〈裁断〉のような攻撃スキル以外にもアルケミスト系統に近い植物系の創造スキルを取得する。その多彩さ実質特殊系統とまでいわれる優秀な役職。


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