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超絶美幼女先輩たん  作者: 和
第1章
6/14

5話 幼女先輩たんとお誘い

 ポカポカと陽気な五月が幕を開けた。


「おっしゃー、気合い入れてけよ! 連絡は今日から一年生部活解禁だ! 柔道部は誰でも大歓迎だ!」


 月曜日の朝、体育教師の山田の声が耳にキンキン響く。

 五月ということで部活の歓迎が始まるようだが、この山田という男は期待を裏切らない柔道部の顧問だ。


「そして、今日明日頑張れば待ちに待ったゴールデンウィーク5連休! もちろんお待ちかねの宿題もたんまり出ると各先生から話は聞いてる!」


 ゴールデンウィークは皆待ち望んでいるが、誰一人として宿題のことを待っていない。

 証拠に、えー、と各地で声がする。


「ゴールデンウィークか......」


 特に予定が入っている訳では無い。ただ、休みは大歓迎である。


 朝礼を終え、シンタローが話しかけてくる。


「部活にゴールデンウィーク、今日は話題が尽きないな」


「そんなことも無い。現に俺は尽きた」


「つまんない男だな、俺は遊ぶし入る部活も決めている!」


 右手をグッドにして突き出してくる。


「サッカー部だろ?」


「いいや、高校ではバスケ部に入る」


「え!?シンタロー中学時代サッカー部のエースだったろ!?」


 そう、シンタローは持ち前の体格、身体能力で中学時代サッカー部のエースだった。


 その姿しか知らない俺としてはバスケをする姿は想像出来ないのも仕方がない。


「それは中学の話だ。高校では俺はバスケに燃えるんだ!最近読んだバスケ漫画が俺を呼びたたているんだよ!」


 たかが漫画一つで才能一つ蹴るか?

 しかし、競技は変えようともシンタローは活躍するだろうなとひしひしと伝わってくる。


「バカだな、って言いたいが本当にバスケでもエースになりそうで怖い」


「俺は自信があるからなんでも出来る気がする。それだけだ」


そこまでストイックになれるのは逆に羨ましい。


「あ、そうだ」


突然、シンタローは自分のカバンに手を入れ、何かのチケットを取り出す。


「俺、バスケ自体の経験はあるけどゴールデンウィーク中にみっちり練習したいから、貰い物だけどこれいるか?」


 手に持っているのは水族館の無料チケットが二枚である。


「これもって幼女先輩たんでも誘いな〜」


 ニヤニヤとこちらを見てくる。時折殴りたくなる顔をするのはどうにかして欲しい。


「マジそんな関係ではない、けど有難く貰うよ」


 俺はシンタローからチケットを受け取ると、肩をガッと掴み、頑張れよ、といい顔をする。


 なんなんだコイツマジで。




 昼休み。

 俺はシンタローに断りを入れ、言われた通り手ぶらで部室へと向かう。


 部員でも無いのに、こう何度も入っていいのだろうか。


 ガラッと扉を開けると前回同様の位置に先輩が座っていた。


「優、来たか。ふむふむ、手ぶらということはこのままではお腹がすいてしまう。しかーし、私はお弁当を二つ持ってきている。食べたいか?」


 ドヤ顔で一つの弁当をこちらへ突き出す。

 ......作ってきてくれるのかな、と期待もしたし、実際そうだったから嬉しいのだが。


 お淑やかの要素が皆無なのがさゆ先輩のある種の良いところ......なのか?


 俺は、ありがたーく頂きます、と言って先輩と共に食べ始める。


 やはり美味しい。野菜もタンパク質も程よく詰められており、口の中が喜ぶ。


 食べてばかりで静かのは申し訳なく感じ、直近の便利な話題を出す。


「......さゆ先輩ってゴールデンウィーク予定......ありますか?」


 別に貰ったチケットの事など考えず、ただ聞く。

 そう、ただ聞いただけである。


「いや、特にはない。なんだ?誘ってくれるのか?」


「なんというか、こういう物を友人より貰いまして......」


 おずおずと、ポケットからシンタローから貰い受けたチケットを取り出す。


「良ければあげま......」


「おお! 水族館のチケットではないか! しかも二枚なら一緒に行けるな!」


 目をキラキラと輝かせている。......やっぱり先輩はこういう人だよなぁ。


「私は水族館は好きだが、一人では行けないので久しぶりだ」


「どうして一人じゃ行けないんですか?」


「......あれは昔むかーしの話だ。私は暇でゆっくりと水族館を巡っていたのだ。しかし、あまりにも長く居たせいか係員がこちらに寄ってきて「お母さんかお父さんいる?」と。......私は高校生だ! 断じて迷子では無い!」


 高校生の時の話なのか。

 ......笑いを堪えなければ。


「あれ以来、水族館か遊園地、博物館には一人で行っていない。それに比べて最近の映画館チケット購入も機械。鑑賞中に話しかけてくることは一切ない、素晴らしい」


 つまり、さゆ先輩は映画が好きと。話の趣旨がブレブレになって着地点がおかしいことになっている。


「......コホン。つまり、一緒に行ってくれるならとても心強いということだ」


 ああ、やっぱり、つまりそこなんだね。

 ここまで言われて断るほど俺は我が強い訳では無いので、日程の提案でもする。


「じゃあ、金曜日にでも行きましょうか」


 先輩は、了解した、とこの上なく可愛らしい笑顔で了承する。


 また、何かと便利だからこれを、と携帯番号とメールアドレスを書いたメモを渡してくる。

 流れで俺も書いて渡す。




「「ご馳走様でした」」


 二人揃って完食し、さゆ先輩は満足気にお腹をポンポンと叩く。


「美味しかったです」


「喜んでくれて何よりだ、では教室へ戻ろう」


 今回はしっかり戸締りをしてくれるらしい。

 お咎めを食らったか?


 ガチャっと鍵を閉めると、また明日、と足早に去っていった。


 彼女の辞書に落ち着きの文字は無いのだろう。

本日もう1話投稿します。

甘くなります。

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