表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/220

No.11:大失敗です……


 想定外です……。

 大失敗です……。

 百点満点中、マイナス1万点です……。

 

 私は今、瑛太さんのアパートで、シャワーを浴びています。

 なんでこんな事になってしまったんでしょうか。


 学校が終わって、急いで家に帰ってきました。

 フレアのミニスカートに白のブラウス。

 軽くメイクもしました。

 清楚さをアピールしないといけません。


 鏡で全身をチェックしました。

 いいと思います。

 生足もキレイって、思ってくれるでしょうか。

 ケーキを手に持って、ちょっとドキドキしながら家を出ました。


 だから天気予報を見る余裕なんて、全然ありませんでした。


 5分ほど歩くと、あっという間に暗雲が立ち込めました。

 足取りを早めます。

 でも、もう5分歩いたところで……。


 ドゴォォォォーーン!!!


「きゃぁーーっ!」


 滝のような雨が降ってきました。

 私はどこか雨宿りできそうなところを探しました。

 でもこの辺は住宅地、そんな場所も見当たりませんでした。


 いったん家に戻りましょうか?

 でもここはちょうど中間地点です。

 雨も通り雨で、すぐにやむかもしれません。

 それに、瑛太さんが待ってくれています。


 私は雨宿りできそうなところを探しながら、どんどん走りました。

 雨足は強くなるばかりです。

 結局雨宿りは1度もできず、瑛太さんのアパートについてしまいました。


 瑛太さんは外で待っていてくれました。

 雨で体温が奪われ、私は寒くて少し震えていました。

 そんな私を心配して、瑛太さんは部屋へ引き入れてくれました。 


「明日菜ちゃん、シャワーを浴びたほうがいい。服は全部ネットに入れて、とりあえず脱水にかけよう」


 そう言って浴室のとなりにあった洗濯機のボタンを押して、脱水モードにしてくれました。


「着替えは……緊急事態だから、俺のTシャツとスウェット上下で我慢してくれるかな?」


 瑛太さんは部屋の奥のクローゼットから、少し厚手のスウェット上下とTシャツ、それからバスタオルを出してきて、私に手渡してくれました。


「服をネットに入れて洗濯機に入れたら、このボタンを押してね。そのままシャワーを浴びて、温まってくるといいよ」


 顔を少しクシャッとして笑って、瑛太さんはそう言ってくれました。

 ああ、この人はやっぱり優しいな……。

 その笑顔だけで、少しだけ心が暖かくなりました。


 それでも体は冷えて仕方ありません。

 結局着ているものを全部脱いで洗濯機に入れ、遠慮なくシャワーを使わせてもらうことにしました。


 いきなり男の人の家で、シャワーを使わせてもらうことになりました。

 展開が早すぎます。

 いえ、そういう展開ではないですよね。

 でも脱水中の服は、どうやって乾かせばいいのでしょうか。

 いろいろと考えないといけないことが多くて、頭の中がパニックです。


 どれくらいシャワーを浴びていたでしょうか。

 体が大分温まってきたところで、シャワーを止めます。

 渡されたTシャツとスウェットの上下。

 瑛太さんの服です。

 どうせなら、彼シャツがよかったです……。

 いやでもノーブラ・ノーパンで着るんですよね?

 ……やっぱりスウェットでよかったです。

 生地は厚手のやつですから、細かいラインは出ないと思います。

 

 Tシャツを着て、その上からスウェットを着ました。

 ブカブカです。

 袖から手がでません。

 仕方がないので、足元も袖も2回くらい折り曲げました。


 洗面台の前に、ドライヤーがありました。


「あの……ドライヤー、お借りしてもいいですか?」


「ああ、もちろんどうぞ」


 洗面台の鏡に向かいながら、ドライヤーをお借りしました。

 鏡に映っていたすっぴんの私は、ちょっと暗い顔をしていました。

 あの家を出る前の浮かれた私は、どこへいったのでしょうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ