2 召喚
光が収まると、大きなホールのような場所に出た。
なんちゃら大聖堂って名前がつきそうな感じ。
足元には魔方陣。
話の流れからして、召喚陣かな?
そして隣には麗華ちゃん。
…あれ!?
麗華ちゃんだけかと思ったら、私まで送られちゃった?
「勇者様、ようこそおいでくださいました。我がアルバ王国へ。
どうか…どうか我が世界をお救いください…!」
目の前には、お姫様らしき人がいる。
あれ…この人、愛香ちゃんにすごく似てる…ドッペルゲンガー…?
そして、視線は私の隣に注がれている。
つられて私も隣を見ると…うわっ!
麗華ちゃんがまた怨霊モードの顔してる!
「恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい」
ぶつぶつと何事かを呟きだした。
今にも目の前のお姫様に襲いかかりそう…
「勇者様…?」
お姫様や回りの人達もざわざわしてる。
これは大変だ。
「麗華ちゃん!」
私は麗華ちゃんの服の裾を引っ張った。
麗華ちゃんは不意をつかれて驚いた顔をしている。
「だめだよ!人を害したら、魂ごと消滅させられるってさっきの神様っぽい人が言ってたでしょ!」
と、私は声を潜めて耳打ちした。
「あ…」
麗華ちゃんはそう言うとため息をひとつ、お姫様に向き直った。
「…私がこの世界を救って見せましょう。」
麗華ちゃんの堂々とした発言に、周囲は沸いた。
良かった!これで安心だ!
という声が聞こえてくる。
わぁ…すごい顔してるよ、麗華ちゃん…般若のお面みたい…
無理してるんだね…
「それで、一体この世界には、何が起きているんですか?」
麗華ちゃんは顔を引きつらせながら尋ねた。
「はい。…5年前、この世界に魔王と名乗る存在が現れました。魔王が現れてから、世界中の魔物が急激に強化されました。強化された魔物たちは人々を襲い、物資を奪い、民の生活を脅かしています。勇者様には、その魔王を打ち倒していただきたいのです…!」
お姫様は必死にそう説明した。
魔王を倒せば、この世界を救ったことになるんだね。
そして、いくつか質問することで、
・魔王はここから北に向かった先の魔王城にいる
・魔王城には結界が張られており、侵入は容易ではない。
・結界を壊すためには、結界を維持している四天王を倒す必要がある。
・勇者は今世界に25組存在している。勇者には体のどこかに紋章が浮かんでいる。
・勇者は、4人までのパーティーを組むことができ、4人以上のパーティーを組むと加護が得られなくなる。
ということが分かった。
「わかりましたわ。それではまず、私とパーティーを組んでくださる方を探すところからですわね。」
「はい。そちらにつきましては、すでに募集をかけております。明日希望者がこちらに集まる予定ですので、その中からお選びいただきたいと思います。本日は無理にお呼び立てしてしまい、お疲れかと思いますので、お休みいただければと思います。」
「…わかりましたわ。」
「ありがとうございます。部屋を用意してありますので、そちらをお使いください。」
麗華ちゃんは頷き、案内人らしき人の後をついていった。
…私もついていったらいいのかな?