プロローグ3 幽霊ライフ1
ー幽霊生活1日目。
今日はお屋敷の探検をすることにした。
改めて見ると本当に豪邸だ。
大きさでいうと、私のお家10個分くらい?
その上、調度品一つ一つが凝っている。
階段の手すりにこんなにこだわらなくてもいいのに。
こんなに大きなお屋敷なのに、1日で見終わっちゃった。
1日って長いなぁ。
生きているときはすごく短く感じたのに。
そして、新発見。
幽霊は眠くならない。
考えてみると、まあ当然といえば当然。
夜に寝てたら脅かせないもんね。
夜は長い。
ー幽霊生活2日目。
やることがないから探検の時に見かけた書斎で本の背表紙でも眺めてようかな。
本には触れない。
ポルターガイスト現象とか起こせればいいのに。
霊力?が足りないのかな。
あっこれとか面白そう!
「宇宙の真理」
宇宙って夢があるよね。
空に浮かぶ星がみんな地球みたいな星だなんて信じられない。
これも気になるなー
「蟻の一生」
蟻って、よく見かける虫だけど、どんな虫なのか意外としらないな。
あっ!これ懐かしいなー
「魚人姫」
小さい頃よく読んだなー
あとは…
「愛とは」
「あなたの知らない運命」
「花祭」
…
へぇー…
…飽きた。
ー幽霊生活3日目
本当にやることがない。
夜眠らなくて良いと1日はこんなにも長いんだね。
これが1週間なんて、おかしくなりそうー
あの子はよく耐えられるなー
幽霊歴何年なんだろう。
あ、そうだ。
あの子に会いに行ってみようかな。
ーあの子と出会った部屋の前に来た。
探検のときもなんとなくこの部屋だけは避けてたんだよね。
だからいるならこの部屋かな。
…一応ノックしたほうがいいかな?
でも触れないし。
仕方ない。お邪魔しまーす。
私は壁をすり抜けて部屋に侵入した。
…相変わらず可愛いお部屋。
こんな部屋で暮らしてみたかったかなー
さて、あの子は…
いた。窓際で外を眺めてる。
すごく美人さんだから、そんな仕草もとっても似合うなー
深窓の令嬢って感じ。
「あのー…」
話かけると、彼女が少しビクッとして振り向いた。
「なぜ貴女がここに?」
彼女は不審そうな顔をしながら答えてくれた。
久しぶりのコミュニケーション…。
「…やっぱり私が怨めしくて復讐しようとしに来たってところ?」
「えっ、違うよ!!…暇だったから、お話したいなーって…」
彼女は驚いた顔をしたけれど、すこし考え込んだあと、
「…そう。」
とだけけ答えるとまた窓のほうを向いてしまった。
「ねえ、…君はいつからここにいるの?」
「……だいたい60年前からよ。」
自分で話しかけておいてなんだけど、まさか返してくれるとは思わなかった。
でも、60年も1人で、ここから動けず、何もできないなんて…
私なら耐えられない。
「普段は何をしてるの?」
「外の景色を眺めたり、お散歩をしたりしているわ。」
「…辛くない…?」
「……なんでそんな事を聞くの?」
「だって、私なら耐えられないよ!1人で何も出来ずに60年も…」
すると、彼女はふいに顔を上げて言った。
「…やっぱり貴女はおかしいわ。」
また呆れられてしまった。