「ヴァンパイアは闇に嗤う~第3幕~」 IDEECHI51 【推理】
一連の殺人事件はメリッサ・パンサーによるものであり、彼女が血液嗜好症でおこなっていたものだと判明した。彼女はアルカ村の有力者となり、また殺害の予告をうけていた者であることから事件関与の疑いをかけられることはなかった。その結果、アルクファミリー派生組織と絡んで彼女の欲望を叶えるままにした。おそらくアリフはメリッサに幼い頃から血の供給をさせられていたのだろう。そして家出に至った。そう想像するに他ならなかった。
事件解決を導いた訳ではなかったが、そこに居合わせて生き残ったことが功績となってジョンは昇進した。むしろ活躍したのはアリフの筈なのだ。そこに何か納得いかないしこりができた。アリフはあれからというもの、誰も目にした者は誰もいない。そして気がつけば、それをヴィン刑事補佐に赤裸々に話していた。
「それはジョン刑事が悪い話ではないでしょう」
「そうだけど……僕は何も為してない。何も……」
ヴィンは肩をポンと叩いてジョンを諭した。
「だったら、これから為せば良い話ですよ」
「はい……すいません。何か弱気になって」
「今夜は雪が積もりそうですね?」
「ええ、久しぶりな気がしますね」
「明日、一緒に雪だるまでも作りますか?」
「やめてくださいよ、子供でもないのだし」
ヴィンと話していると不意に笑顔にさせられる。そんなことに感謝しながら、雪のふりしきる外を眺めみた。雪見ぐらいならこの歳でしても悪くはない――




