「ラブゲーム」 真咲タキ 【学園ミステリー】
「おい、この中に裏切り者がいるらしいな!」
二郎のその一言から、お正月の3賢者会は始まった。
「どうしたんだ急に?、いったい何の裏切りだ?」
「とぼけるなよ、一郎。お前も容疑者の1人だ」
「何のこと?」
「この3人のうち誰かに恋人ができた疑いがある」
二郎はえらく真剣な表情で淡々と告げた。
「ほほう?その根拠は?」
これまで静観していた三郎も面白い表情で話しに参加した。
「バレンタインデーだ。どうやら俺の知らないうちにチョコを貰ったやつがいるらしいな!」
「これから尋問を始める!第一容疑者は一郎だ!」
「一郎、お前は前年のバレンタインにチョコを何個貰った?1個か?どうなんだ?」
「いや、俺は貰ってねーよ」
「それは本当か?」
「神に誓ってもいい。本当だ」
「よし、信じよう。次は三郎。お前はどうなんだ?」
「貰ったぜ」
「よし、信じよう。我が友よ!って、、、貰ったの?」
「1個な」
「友よ、裏切り者が判明したようだ。残念だよ」
「さて、それはどうかな?」
三郎はニヤリと笑って言う。
「どういうことだ!」
「クリスマスにゲーム機をプレゼントしてもらったやつがいるらしいな」
「何、それは許せん!貧乏な我々を置いていくつもりか!誰だその裏切り者は?」
「まあ、そう焦るな。我々は3賢者だ。俺でもなく、二郎でもないなら、、、分かるだろ?」
「つまり、一郎が裏切り者か?」
「まてまて、確かに俺はゲーム機をサンタにもらったが、、、話をすり替えるな三郎」
「さーて、犯人は一郎と分かったところで初詣に行きますか。ゲーム機、一緒に遊ばせてくれるんだろう?なー、一郎?」
三郎は二郎の言葉をさらっと流して神社の階段を登り始めた。
……………
3人は別れて帰宅した。そして三郎は携帯を取り出して電話をかけた。
「やあ、一郎。今日は悪かったね。容疑をふっかけてしまった」
「いいよ三郎。お前もヒントを出しすぎだ。なんで二郎も知らないゲーム機について言ってるんだよ。俺らで買いに行ったってバレるだろ」
「大丈夫。相手は二郎だ」
「まあ、いいけどよ」
、、、、、、
「それより、今年のバレンタインは期待してろよ。最高にうまいチョコを見つけたんだ」
「あぁ、楽しみにしているよ一郎」
三郎は頰を赤らめて一郎の名を告げた。
「ホワイトデーのお返し、楽しみにしているからな。三郎」
今回の物語は離れた時系列のキーワードをどう処理しようか?というところから生まれました。そして、最近学生のバカにしあいながらも、ハートフルなアニメを見たこともきっかけと言えます。
今回の解説はいたって簡単。一郎、三郎がカップルだったのです。(作中では恋人とは書きましたが、彼女とは書いていません)二郎の言葉を借りるなら、裏切り者は2人だったわけですね。LGBTトリックとでも呼びましょうか?
また、個人的には"神に誓って"というアメリカちっくな表現が気に入っています。そして三郎の面白い表情は本当にそのまま"面白い表情"です。
(余談ですが、最近作品を挙げられなくてすみません。時間がある時に書くスタイルでやって行こうと思いますので、よろしくお願いします。あと、作者は普通に女性が好きな青年ですよ?)