表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄冬のミステリーツアー【アンソロジー企画】  作者: 玄冬のミステリーツアー参加者一同
28/63

「THE DAY DREAM AFTER~第2幕~」 IDEECHI51 【SF】

 今日登校してみると、俺の横の席が空いていた。あれ? 誰か退学でもしたのかな? と思ってみたが、どうやら俺の横の席はたまたま席替えのときに空いた席らしい。まぁ、女子からはモテない男ナンバーワンとも自負する具志堅慎太郎である。可笑しいことではないか。



「え~、今日から転校してきた生徒を紹介する。天海麗華さんだ。みんな仲良くしてくれ。天海さんからも挨拶を」

「東京八王子から来ました天海麗華です。宜しくお願いします」



 え!? メッチャ美人やんけ!? 



「え~、今空いている席は具志堅の隣か。そこの席に座りなさい」

「はい、わかりました」



 え!? 何この展開!? 場違いもほどほどにしろ! だろう!?



「よろしく、具志堅君、田森さん、森福君」

「ひょ、ひょろひふでふ!」



 俺の班にいる田森と森福は救いようがないぐらいに暗くて3枚目な男子と女子だった。唯一凡人に近い俺ですらもこのザマだ。天海さんを不憫に思う生徒達は少なくないだろう。そして俺達に対して理不尽な嫉妬を根に持つ奴だって……



 次の席替えが早くこないかな。そう思った矢先、授業中のことだった。



「ねぇ」



 すごい小声で天海さんが俺に話しかけてきた。



「ねぇってば」



 俺は面倒に思って、というか恥ずかしいので、ノートの縁を千切ってメモ書きにて返事した。『なに? 用事あるなら授業の後にして』と。



 それに応じて彼女はこんなメモを送ってきた。



『今日の昼休み、屋上でお話できない?』と。



 いやいや何ですかこの展開。断りたいけど断われないじゃん……




 というワケで俺と森福は長門高校の屋上の片隅にきた。森福もいるんかい。



 天海さんはそりゃあもう眩しい笑顔で俺達を迎えてくれた。



 しかし彼女の話はとんでもなく突飛なものだった。



「私が念じて指を鳴らすとね、何でも願い事が叶っちゃうの。どう試してみる?」



 は?



「森福君、何か叶えたい願い事はある?」



 いやいや、森福にその質問は重たすぎるって。



 案の定、森福は「あ……」「う……」など言葉にならない言葉を並べた。



 モノは試し用っていうか、ただの脳天ファイラーな女子が思いついた戯言だ。俺はこの女を馬鹿にするつもりで言ってみた。



「じゃあ、をNNJをスクランブル放送にしてみせてよ」

「ふうん、思い切った願いいくね」

「できないのかよ?」

「できない事もない」



 彼女は「明日NNJがスクランブル放送にな~れ」と指を鳴らしてみせた。



 虚しい静寂の後に学校のチャイムが鳴った。



 俺達のクラスに素敵な天使が舞いこんできたと思ったら、とんでもない阿保がやってきたようだ。彼女が虐めの対象になるのも時間の問題だろう。俺はすごく呆れながらも、いつものテンションで部活にいき、お家へ帰った。



 しかし本当にとんでもないことはここから始まった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ