「THE DAY DREAM AFTER~第2幕~」 IDEECHI51 【SF】
今日登校してみると、俺の横の席が空いていた。あれ? 誰か退学でもしたのかな? と思ってみたが、どうやら俺の横の席はたまたま席替えのときに空いた席らしい。まぁ、女子からはモテない男ナンバーワンとも自負する具志堅慎太郎である。可笑しいことではないか。
「え~、今日から転校してきた生徒を紹介する。天海麗華さんだ。みんな仲良くしてくれ。天海さんからも挨拶を」
「東京八王子から来ました天海麗華です。宜しくお願いします」
え!? メッチャ美人やんけ!?
「え~、今空いている席は具志堅の隣か。そこの席に座りなさい」
「はい、わかりました」
え!? 何この展開!? 場違いもほどほどにしろ! だろう!?
「よろしく、具志堅君、田森さん、森福君」
「ひょ、ひょろひふでふ!」
俺の班にいる田森と森福は救いようがないぐらいに暗くて3枚目な男子と女子だった。唯一凡人に近い俺ですらもこのザマだ。天海さんを不憫に思う生徒達は少なくないだろう。そして俺達に対して理不尽な嫉妬を根に持つ奴だって……
次の席替えが早くこないかな。そう思った矢先、授業中のことだった。
「ねぇ」
すごい小声で天海さんが俺に話しかけてきた。
「ねぇってば」
俺は面倒に思って、というか恥ずかしいので、ノートの縁を千切ってメモ書きにて返事した。『なに? 用事あるなら授業の後にして』と。
それに応じて彼女はこんなメモを送ってきた。
『今日の昼休み、屋上でお話できない?』と。
いやいや何ですかこの展開。断りたいけど断われないじゃん……
というワケで俺と森福は長門高校の屋上の片隅にきた。森福もいるんかい。
天海さんはそりゃあもう眩しい笑顔で俺達を迎えてくれた。
しかし彼女の話はとんでもなく突飛なものだった。
「私が念じて指を鳴らすとね、何でも願い事が叶っちゃうの。どう試してみる?」
は?
「森福君、何か叶えたい願い事はある?」
いやいや、森福にその質問は重たすぎるって。
案の定、森福は「あ……」「う……」など言葉にならない言葉を並べた。
モノは試し用っていうか、ただの脳天ファイラーな女子が思いついた戯言だ。俺はこの女を馬鹿にするつもりで言ってみた。
「じゃあ、をNNJをスクランブル放送にしてみせてよ」
「ふうん、思い切った願いいくね」
「できないのかよ?」
「できない事もない」
彼女は「明日NNJがスクランブル放送にな~れ」と指を鳴らしてみせた。
虚しい静寂の後に学校のチャイムが鳴った。
俺達のクラスに素敵な天使が舞いこんできたと思ったら、とんでもない阿保がやってきたようだ。彼女が虐めの対象になるのも時間の問題だろう。俺はすごく呆れながらも、いつものテンションで部活にいき、お家へ帰った。
しかし本当にとんでもないことはここから始まった――




