勇者に会おう!
投稿が遅くなりました。すいません。
テストと夏休みの課題が一段落ついたので投稿を再開します。これからもメティス達をよろしくお願いします。
「王女たる者が、護衛の方々を置いてきては行けません。」
「でも、おささまのほうがみぶんがうえなんでしょ?おささま、ごえいは?」
「ここにルッツが居るわ。ラティア王女殿下も、少なくとも1人は護衛を付けてくださいませ。」
えぇーと言うラティアをよそにメティスは、振りかえり、指を指す。
「わたくし達の図書館に王女として入りたいなら、護衛を連れて来なさい。公式訪問なら、最低4人は必用よ。」
「むぅー。ルティアとべつに4にんひつようなの?」
「違うわよ。1人に最低2人は必要なの。公式訪問は、訪問録に残るからそれ以下だと後々シュリンツル王国が困ると思うけれど………。」
『世界図書館』への訪問が原因でシュリンツル王国が、侮られるとなるとメティスが仕事をすることになる為、シュリンツル王国だけでなくメティスも困ることになる。
「メティー、ルティア様を探さないと時間が………。」
「あらもうそんな時間?じゃあさっさと行きましょう。」
「うん。ルティアのところにいこう。」
メティスの<エリア・サーチ>ではルティアは、大通りから一本逸れたところにある雑貨屋に居るようだった。メティスもよく行くお店だった為あっさりとルティアを見つけることが出来た。
「あ!ルティア!」
「あ。ラティア。………そこのひとたちだれ?」
「こんにちは。貴女がルティア王女殿下ね?」
ルッツがルティアに事情を説明している間に雑貨屋の店主である女性が、奥から出てきた。
「あらメティスちゃん、いらっしゃい。今日は儀式に出るんだってねぇ。時間は大丈夫?」
「こんにちは、シャルクさん。実は時間ギリギリで………。そこの双子が、はぐれちゃったらしくて。片割れを保護したところだったの。」
「知恵の一族の当主様も大変ねぇ。しっかりしすぎて、ついこのまえまでお祖母様についてまわってたのが信じられないくらいねぇ。」
メティスの祖母であるアーシャが、旅をしたいと言って当主をメティスに譲ってから2ヶ月。それまでのメティスと比べるまでもなく今のメティスはしっかりしている。
「ありがとう。シャルクさん、明日買い出しに来るから、いつもの紅茶を置いといて欲しいの。」
それからと、メティスは続け、ユグドラシル大鉄貨を二枚出す。
「これであの子達にお茶出してあげて。一応私のお客さんなのよ。」
ユグドラシル通貨は、この世界で一番流通している通貨で小鉄貨・大鉄貨・小銅貨・大銅貨・小銀貨・大銀貨・小金貨・大金貨が使われている。本当はその上に幻結晶という石から作られている、小幻貨と大幻貨がある。しかし、そんなに大きな通貨は国家予算や、国同士のやり取りにしか使用されていない。
そしてユグドラシル通貨は、10枚の硬貨が、1つ上の硬貨と同等に扱われている。
ここユグドラシル中央自治区の一般的な家庭の月収が、大銀貨7枚から小金貨1枚ほどだ。
「とーしゅ、さま………って?」
メティスとシャルクが話していると、ルティアがきょとんとしてメティスに問い掛けた。
「あら、伝えていなかったかしら?」
メティスは、一度姿勢を但し微笑む。
「私が知恵の一族の今代当主にして、『世界図書館』館長メティス・ルナ・ユグドラシルよ。」
すると、ルティアの顔がさっと青ざめた。
「っ!メティスさま、かずかずのごふれいたいへんしつれいいたしました。おてをわずらわせてしまい、もうしわけございません。」
その様子を見たメティスは、困惑して思わずおずおずとルッツに訊ねる。
「………ねぇルッツ、私そんなに怖いかしら?」
「メティス様が恐ろしいのではなく目上の者に無礼を働いたことに怯えているのでは?」
「私は気にしないのに………。ルティア王女殿下、このルッツを御覧になって?ルッツなんて公務以外のときには、私のことをメティーって呼ぶのよ?それに、私の補佐官なのに私のお願いを聞いてくれないし………私の侍女を苛めるし………ルッツでも出来る仕事を私に押し付けるし」
だんだん瞳から光が消えてゆくメティスを見てルッツは慌てふためいて謝る。
「すいません、俺が悪かったです………。ってメティー、俺はサラを苛めてないぞ!」
「ほら、ね?ルッツ程に図太い神経を持たなくても良いけれどある程度強かに生きないと辛くなってくるわよ?」
「………は、い。がんばってみます。」
ルティアとメティスが話している間にシャルクからお茶をもらったラティアが、話に参加した。
「ありがとー、おささま。このこしんけーしつすぎておとーさまが、しんぱいしてたの。」
「どういたしまして。じゃあ私時間だから行くわね。またね。」
「さよなら。」
「バイバイ、おささま。」
雑貨屋からメティスとルッツが、出てくる。
「メティー、あの二人だけにして良かったのか?護衛が、居ないんだろ?」
「ルッツは忘れているようだけれど、あの二人は勇者と魔王なのよ?大丈夫よ。」
「そうだったな。」
まだ明るい空のなか、メティスとルッツは急いで『世界図書館』に帰る。
神事の時間までにメティスは湯浴みを済ませ着替え、髪を編み込まなければならないので時間がないのだ。
それを知っているルッツは、初めてメティスが主役を務める神事が上手くいくことを願うのだった。