あなたはだ~れ?
きょうも あんチャンが お庭にやってきました
お花柄の薄いピンクのスモックに黄色のブーツ
あんチャンのお気に入り
2歳になったあんチャンは毎日 一人でお庭に出かけます
暖かい春のお庭が大好きです
空からお日様がニコニコあんチャンを観ています
あんチャンがお庭に出るとお庭がにぎやかになります
あっ あの子がきたよ
あんチャンだ あんチャンだ
ニコニコ笑ってるぞ
あんチャンは たくさんのお花さんたちにご挨拶
おはよー おはよー おはよー おはよー
みんなきれい! きれい きれい あなたもあなたもきれい
いろんな色のお花があんチャンをみて嬉しそう
ピンとした長い茎のお花がルンルン体を振ってダンスしています
葉っぱの中に小さなお花をたくさんつけた藩たちもみんな体を揺すっています
真ん中が黄色くてピンクのお花の根元に 黒っぽい体に青い尻尾のトカゲさんがいました
あんチャンはしゃがんで おはよー あなたはだあれ?
わたし?わたしは・・・わたしだよう!わたしはわたしにきまってるじゃないか
わたしさんの 青いしっぽがきれいね!お散歩?
ちがうわよ きょうはね わたしのはじめての子供が生まれる日なのよ
歩いていて大丈夫?
はははは こうして埋めた私の産んだ卵を見回っているのよ
へえ?わたしさんはママになるのきょう? わ~ぁ すごい!
そうかい そんなにすごい?うれしいわ ありがと
赤ちゃんうまれる いいなぁ わたしもうれしい!たのしいね!赤ちゃんね 赤ちゃんね
柿の木さん もう葉っぱを出しています
去年 たくさん真っ赤な実をつけて 鳥さんたちがたくさんお食事にやってきました
あんチャンのおばあちゃんとママも柿の木さんから 分けてもらって 美味しい干し柿を作りました
おはよう 柿の木さん もう大丈夫なの?
何がだい?あんチャン
だって、こないだまでカサカサで葉っぱもなくなって 裸で寒かったでしょ!
うん、鳥たちも来なくなって 少し寂しかったよ うふふふ あんチャンはやさしいな
みどりの葉っぱからお日様が見える きれいきれい わ~ぁきれい
あっ 重いぞ な~んだ キジバトさんかぁ 気をつけて留まってくれよ
デューデュー ホッーホッー おや 重かったかい ごめんよ!
柿の木さんの枝に留まったのは キジバトのおばさんでした
あんチャン おはよー 今日も元気いっぱいだ きれいなお服だねえ
ありがとう おばさんのお服はいつもおんなじ でも暖かそう
そう もう暑くなってきたわよ 羽を一本あげようか ほ~ら クイーッ パタパタパタ
ひらひら ひらひら きれいな羽が一つ ひらひらと
わ~い もらっていいの わ~い 大事にするね おばさんありがとー
ああ いいんだよ またビスケットをおくれよぉ デューデュー ホッーホッー
キジバトさんがどこかに遊びにいきました
あんチャンも立ち上がり お空にむかって パタパタしてみました
あんチャンがお庭の垣根に顔を戻したその時
ギョッとしました とてもとても驚きました
垣根の上の横棒に長くて太い太~い紐が あんチャンを見つめています
あなたはだーれ?
僕は僕さぁ あんチャン
え?わたしを知ってるの? 僕さ~ん
知ってるさ あんチャンが生まれた時から 知ってるさ
へぇぇぇ でもはじめまして こんにちは
アッ そうだな 冬は寒いからずっと寝ていたさ あんチャンのお部屋の下で
ふう~ん そうなの でも 僕さんは 大きいわね そして棒みたいにピンとした体
そっちに行っていいかい?
グネグネ歩くのね そこにいて!まだ、ちょっと怖いもの
怖くなんかないさ あんチャンのおじいちゃんのほうが よっぽど怖いぞ!
おじいちゃんもおばあちゃんもパパもママも怖くないですっ!
いやいや 僕には怖いさ 棒でひっぱたくんだぞ
ワッ! へんなの! スルッ スルッって 足が見えない
早く歩けない足なんかないさ 僕は木にも登れるし、ビョンと飛べる 川の中でも早く伊代げるぞ
すっご~い 柿の木さんまで飛べる?飛んで 飛んでみて
ヤだよ 僕はここでまだ日向ぼっこしていたい あったかいなぁ
うん わかった じゃぁまたね 僕さん
あぁ 今度会ってもさっきみたいにカチカチになるなよ ハハハハ
地面の上を黒くて小さなアリさんたちが忙しそうに走っていました
イソガシ イソガシ イソガシ セッセセッセ
アリさんたち~っ どうしていつも忙しそうに どこへ行くの?
なんだぁ あんチャンかぁ! どこへ行くって? わからないよぉ
だってぇ どこかに行くんでしょ?
ああ でもわかんないなぁ 前の奴の後ろついて行ってるだけだから
イソガシそうね 走らなくてもいいのに
歩いているよ 走ってないよ あ、イソガシ イソガシ
うふふふ アリさんったら また明日ぁ
あんチャ~ン お昼よ またお庭なの?
は~い ママ みんなとおはなししてるの
お話しはいいから 早く手を洗ってきなさい
お腹すいてないのに ?
あんチャン また明日ねぇ ご飯食べといで
みんな また来るね
さよなら いつまでも お話しできるといいね
みんな大好きよぉ またね
あんチャンがお部屋に帰ると お庭のみんなが 寂しそう
アンチャンは幼稚園に行くことになりました
幼稚園でお友達ができました
毎日幼稚園に行くのが嬉しいあんチャンでした
幼稚園の先生もみんなやさしく一緒に遊びます
お友達のとみんなで赤い紙や青い紙黄色い紙をちぎって 大きな大きなな白い紙に糊で貼って絵をかきます 今日はお花畑をかきました
まるであんチャンのお庭にようです
お友達とも先生ともいっぱいお話しできるようになりました
おばあちゃんやママやパパとお話しする時間もどんどん増えていきます
知らなかったことをたくさん覚えました
自動車も電車も川も海もスーパーもバナナもリンゴも分かります
パパがしんぶ~ん!というと新聞を持って行ってあげます
アンチャンとたくさんお話しできるようになってパパももママもうれしそう
でもこのごろ お庭のみんながあんチャンとお話ししなくなりました
アンチャンは寂しい気持ちになりました
どんどん寂しくなって 僕さんもあんチャンを見つけると急いで隠れてしまいます
秋の木さんもお空を見上げたまま黙っています
デューデュー ホッーホッーのおばさんも屋根から降りてきてくれません
あんチャンは いつまでもみんなのことを大好きなのに・・・・・・
おわり