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灰色の花  作者: 彩霞
第4章 大蛇との戦い

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92/128

92、再生

「ひいおばあ様は……なぜ、生きているのですか?」


 メレンケリは、曾祖母の胸の中で泣きながら籠った声で尋ねた。すると、メデゥーサはメレンケリの頭を優しく撫でながら答える。


「私は実際生きてはいないわ。メレンケリが知っているように、ずっと前に亡くなってるから」

「なら、どうして?」

「今の私は『大地の神』の力によって、『グレイ・ミュゲ』になってしまっていたころの残り火のようなもの。魂とも少し違う。『大地の神』から力を与えられた悲しみの感情が、具現化してしまったようなもの」

 するとメデゥーサは、冗談めかしたように明るい口調になってこう言った。

「二階の窓からあなたに行けたのもそのせいなのよ。私の体は、私の意志で実体があるようにもできるし、水のように掴めない存在にもなれる」


 その説明を聞いたメレンケリは、ぱっと顔を上げて不安そうに曾祖母に尋ねた。


「じゃあ、あなたはひいおばあ様ではないのですか?」

 戸惑うメレンケリに、メデゥーサは優しく微笑んで見せた。

「いいえ。私はメデゥーサよ。その中の一部でしかないけれど」

「……」

「私はね、メレンケリ。サーガス王国で大蛇が生まれてしまったとき、同じくして再生してしまったものなの。そしてそれからずっと大蛇とは一心同体。離れられないわ。確かにこうやって、大蛇とは別の意志を持ち、行きたいところにはいけるけれど、ずっと見張られている。私が何処に行こうと、何をしようと大蛇は知っているの。自由はないわ」

「どうすればひいおばあ様を自由にできるのでしょうか?」

 するとメデゥーサは悲し気に笑った。

「大蛇を滅ぼすことよ」

 メレンケリは目を見開き、ゆっくりと首を横に振った。

「滅ぼすって……そんなことをして、ひいおばあ様は大丈夫なのですか?」

 メデゥーサは仕方ない、と言った様子で答えた。

「ええ。だって、もうすでに私は死人だから問題ないわ。大蛇は生きているだけでこの国に害を及ぼすし、そうしてくれたほうがいいに決まっている」

「それで、いいのですか……?」

 心配そうにメレンケリが尋ねると、メデゥーサは頷いた。

「勿論。でも、少しだけ心残りがあるの」

「何でしょう?」

「折角、私の子孫に会えたんですもの。もう少しメレンケリとお話できる時間が欲しいわ」

「私と、お話?」

「ええ。三日間だけでいいの。夜だけ、あなたに会いに行くわ。そしたら、私は大蛇がいる場所も全部メレンケリに教えてあげる。そしたら、皆、そこに乗り込んで大蛇を倒せばいいわ」

「ひいおばあ様がそう言うなら……」


 メレンケリは頷いた。彼女はこの取引は何の問題がないと思った。自分は暫くメデゥーサという心の支えを手に入れることができ、そして最後には大蛇を葬り去ることができると思ったからだ。


 だが、メデゥーサには別の考えがあることを、メレンケリはまだ知らない。

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