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灰色の花  作者: 彩霞
第3章 サーガス王国

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72/128

72、国境の警備を担う父

「あなたは王族なの?」


 メレンケリの問いに、グイファスは首を横に振った。

「いや。私は最初から王族ではないよ。サーガス王国では無駄な争いを避けるために、国王になった直系の血筋以外は、王族から除外されるようになっているんだ。私の父は生まれた時は王族の一員だったけれど、伯父であるエランジェ殿が国王になってからというもの、父から王族という地位や肩書は消えた。だから、私は最初から王族ではないよ」


「だけど、エランジェ国王はあなたを慕っているわよね?そうでなければ、あなたに封印の石を探すように言わないのではないかしら」

「政務に関わったりすることは一切禁じられているけれど、血族として交流は普通にあるんだ。私は伯父を尊敬していて、伯父は遠く離れた父親の代わりをしてくれていた」

「そうなの」

「騎士と言っても色々あってね。国王の身辺を守る親衛隊や、城を守る坊城隊、それから街を守ったり、治安を守ったり、国境を守ったりと種類が沢山ある。父は自ら危険な地へ赴き、ぎりぎりのところを守っている。昔、私は父が国境の警備にあたるのか疑問に思って、聞いたことがあったんだ。国境の警備は一番危険で、命を落とす危険性も高いのにどうしてわざわざ志願してその場所に立とうとするのかと」

「お父様はなんて?」

 メレンケリの催促に、グイファスは誇らしそうに笑って答えた。


「すると父は、『兄であるエランジェ国王が国の中心を守る代わりに、私は国の周りを守りたいのだ』と言っていた」

「立派なお父様ね」


 王族は危険なところへは赴かないと思っていたメレンケリにとって、この国の王家の血を継ぐ人たちの考え方の違いに驚きつつも、尊敬の念を覚えた。


「だから私も、この国の為ならできうる限りのことをしようと思っているんだ。それが、私がこの国に生まれ、王族と親類関係にある理由だと」

「そう……」

「ああ、だけどこのことは皆には黙っていてくれると助かる」

 メレンケリは大きく頷いた。

「大丈夫。言わないわ」

「そうか。ありがとう」

 するとグイファスは立ち上がり、「私は先に談話室へ行っているよ」と言う。

「まだ少し時間があるから、君は少し休んだらいい」

 グイファスの提案に、メレンケリは肩をすくめた。

「そうしたいところだけれど、荷物の整理が先だわ。あまりないからすぐ済むと思うけれど、この部屋のことも見ておきたいし」

 メレンケリの少し困った様子に、グイファスは笑って頷いた。

「確かに。それは言えているかもしれない」

 そう言って、グイファスはメレンケリの部屋を後にしたのだった。

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