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灰色の花  作者: Yuri
第1章 右手に宿る力
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7、独房

「君は…」


 メレンケリは軍事警察署に隣接する拘置所へ赴いた。

 中は薄暗く清潔とは言えない独房には、片膝を立てて無造作に座るグイファスの姿があった。両足には鎖が付いており、抜け出せないようになっている。外の空気が入る空気穴からは、わずかに日の光が入ってきていた。そんな殺風景な場所にメレンケリが現れたからだろうか。グイファスは幻を見ているかのように、金色の瞳を大きく見開いた。


「昨日はどうも」


 メレンケリは、グイファスを見下ろして素っ気なく挨拶をした。捕まっている男たちには心を開いたことなど一度もない。いつものように振舞えばいい。


「確か、メレンケリと言ったね」


 グイファスの声は、取り調べを行っていた軍人たちの前とは全く違った。柔らかく、爽やかな風が吹くような声。


 しかし、メレンケリは淡々と答える。

「ええ。そうよ」

「石にする力を持っている」

「その通り」

「私を石にするつもりで来たのかな?」

 グイファスが真剣な表情で、メレンケリを見つめた。

「違うわ」

「じゃあ、何のために?」

「仮釈放をするため」

「仮釈放だって?宝石を盗んだのに?」

「ええ」

 メレンケリはポケットから鍵を取り出すと、鉄格子の鍵を開けた。

「その代わり、私が監視として付きます」

「……なるほどね」

 メレンケリは、グイファスに繋がれた足かせもはずす。


「あなたは賢いようだから分かっているでしょうけど、逃げようとしても無駄だから」


 グイファスは金色の瞳をすっと細める。彼は視線の隅に、軍人が見張っていることに気づいたようである。


「そのようだね」

 グイファスは立ち上がって、ぐっと上に手を伸ばした。

「大人しく君に従おう」

 メレンケリも立ち上がり、グイファスに牢屋から出るように言った。

「では、こちらへ。あなたが泊まる部屋を案内するわ」

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