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灰色の花  作者: Yuri
第1章 右手に宿る力
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5、押し付けられた任務

「何ですって?」

「メレンケリ、君の力を貸してもらいたい。グイファスが本当に真実を言っているのかを確かめたいのだ」


 次の日の早朝、メレンケリの元に軍事警察署で働く、リッチャー大佐が直々に会いに来た。彼はテーブルの上に、書状と許可証を置いた。


「これが依頼の書状、そして力を外でも使うことができる許可証だ。あの男を一度牢から出し、この町で生活させる。そしてそれを君が監視。そして何かまずいことをしたら、すぐに石にしてくださって結構」

「しかし、私は軍事警察署の外でこの力を使うことは禁止されているはず」

「それを解禁するためのものだ」

 メレンケリは眉をひそめた。

「なぜそこまで…」


「あの男、今まで軍事裁判にかけられてきた者たちとは全く違う。賢い男だ。芯がしっかりしており、答えることもぶれない。それに、何をしても動じない。ここまで男であると、やはりサーガス王国の中でも、高い地位にいた人間だと我々は推測している。そしてその彼がたった一度だけ、表情を変えたのがあなたと話をしたときだった。あの時だけは、何かが違っていた」


「何かって…」

 メレンケリの青みがかった灰色の瞳が揺れる。

「やり方は何でもいい。宝石を盗んだこと以外のことを、グイファスから聞き出せればいいのだ」

「そんなこと仰られても…」


 メレンケリは助け船を求めるように母を見た。軍事警察署に捕まった男を監視したことなど一度もない。しかも、牢屋を出てしかもこの町を泳がせるなんて、軍人でもない自分ができるとは思えなかった。


「私は反対ですわ」

 母は、メレンケリの妹が大佐を怖がって引っ付いているので、彼女を優しくなでながら娘の視線を感じとって言った。

「娘にそんな危険なことさせられません」


 しかしリッチャー大佐は引き下がらなかった。彼にとってメレンケリの母親は、一市民でしかない。聞く耳を持つ必要などなかった。


「仕事なのです、お母様。これはメレンケリにしかできないことなのです」

 母は首を横に振った。

「しかし―」

「いいでしょう」


 母の声を遮ったのは、父だった。今まで黙って別のテーブルで朝食を食べていたというのに、急に口を挟んでくる。メレンケリは不審な目を父に向けた。


「メレンケリ、我が家の誇りにかけて、グイファスと言う男から真実を奪うがよい。危険だと判断すれば、お前の力で石にしてしまえばいい」

「でも…」

 口答えをしようとするのを防ぐように、父はメレンケリに優しい微笑みを浮かべる。

「メレンケリ」

「……っ」


 父の瞳がじっとメレンケリを捉えた。彼女は父からお願い事をされるのが苦手だった。嫌なことだったとしても、どうしても「はい」と言ってしまう。


「分かり…ました」


 メレンケリは項垂れて承諾した。グイファスから真実を聞けるか自信はなかったが、彼女に拒否権はないようだった。

 リッチャー大佐はにっこり笑った。


「恩に着る、メレンケリ。ご当主も許可を下さり、有難う存じます。では、こちらが裁判所からの許可書である。これで裁判所の外でも力を発揮することができるのでな、一応外を出歩くときは所持するように」

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