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灰色の花  作者: Yuri
第1章 右手に宿る力
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19、蛇の消息

「まさか…蛇がそんなこと言いっこないわ」


 メレンケリは「信じられない」と、グイファスの話を疑う。だが彼は堂々としていた。それはサーガス王国の中で本当に起こった出来事であると、幼いころからずっと聞かされてきた話だからである。


(俺は小さい頃から聞いているからこの話を信じているが、ジルコ王国出身の彼女に信じろというのは難しいのかもしれない。だったら、どう説明すればいいだろうか…)


 そのときふと、テーブルの上に置かれたメレンケリの右手が目に入った。グイファスは「これだ」と思った。


「君はそう思うかもしれないけど、だったら君の右手の力はどう説明する?」

「え…?」

 メレンケリは首を傾げる。

(私の右手?)

「君はその右手の力が当たり前だと思っているかもしれないけれど、他の人から見たらとても特殊だ。当たり前じゃない。なぜそんな力が存在するのか、そして受け継がれているのか、理由は分からないだろう?」

「……」


 メレンケリはグイファスに言われて、手袋を掛けた右手を見つめる。言われてみれば確かにそうだ。なぜ石になる力が、この手にあるのだろうか。そしてどうして代々受け継がれてきたのだろうか。

 そのように言われたら、この世に喋る蛇がいても変ではないのかもしれない。

 メレンケリは疑ってはいたが、話を先に進めるためにも蛇の話を受け入れることにした。


「そうね…分からないわ。話を続けて」


 グイファスは頷くと続きを話始める。


「それで蛇がこの国を守る代わりに出した条件が二つあった。一つは、国王の血を数滴飲ませることと、もう一つは城の地下に穴を掘りそこで生活させてくれという」

「どうして国王の血と、城の地下が必要なの?」

「王の血は蛇が大蛇になるために必要で、城の地下は大蛇になった蛇が寝起きするための場所として必要だったからだ。国王は蛇の言葉に従い、蛇と盟約を交わした。王の血を飲んだ蛇は城を囲めるほどの大蛇となり、城の地下で静かに生活した。そしてそこは誰も出入りしてはいけない場所となった」

「大蛇は本当に国王の約束を守ったの?」


 話の先を急かすメレンケリに、グイファスは「順番にね」と言って丁寧に話した。


「大蛇の噂は広がり、他の国からの攻撃は止んだ。実際最初の頃は大蛇も姿を現して、敵の兵士を追い返していたようだから、その効果もあったのだろう」

「それなら、大蛇を封印してはいけないんじゃないの?助けてくれたのでしょう?」


 グイファスが探しているのは大蛇を封印する石。それを見つけて封印してしまったら、国を守る大蛇がいなくなってしまうのではないか。


「問題はここからなんだ。大蛇はその五〇年後、その地下から姿を消してしまったんだ」

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