表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の花  作者: Yuri
第1章 右手に宿る力
18/128

18、蛇とサーガス国王の盟約

 次の日。

 昨日は、メレンケリは自分の話はしたものの、肝心なグイファスの話を聞かないで終わってしまっていた。彼に手首を触れられ恥ずかしくなってしまい、そのまま言い訳をして部屋から抜け出してしまったのである。


 そのため今日はグイファスから話を聞こうと、メレンケリから彼に声をかけた。


「お、おはよう。グイファス」


 じっと睨むように見つめてしまう。昨日のことがあって、つい緊張してしまうのだ。グイファスは少し驚いた顔をしていたが、すぐに柔和な笑みを浮かべ「おはよう」と言った。

 彼はお茶を入れている最中で、メレンケリが席に着くと彼女の分も準備してくれた。


「あ…ありがとう」


 お礼を言うにもぎこちなくなる。自分は監視役なのだから、堂々としていればいいと思うのに、そわそわしてしまう。一方でグイファスは至って普通で、笑って答えてくれる。


「どういたしまして」


 だがその後、グイファスが何も言わなくなるので、メレンケリはどうしようと思った。昨日のことを切り出したいのに、口の中が妙に渇く。それ故に、ただただお茶を飲んだ。一口飲んでは、カップを置き、また一口飲んではカップを置く。それを五回くらい繰り返した時だった。

 グイファスが、メレンケリに言った。


「そろそろ、昨日言っていた俺の話をしようか?」


 メレンケリは彼が先に話題を振ってくれたのでほっとする。結局自分から言えなかったので、助かったと思った。


「……そうね」


 グイファスはテーブルに肘を付くと、その上に自分の顎を乗せ、メレンケリを見つめる。


(何だろう…胸がそわそわする…)


 整った顔立ちに、浅黒い肌。その中に見える金色の瞳。何もかもが美しい。そんな彼に見つめられている。メレンケリは自分の頬がほってってくるのを感じた。恥ずかしくなって思わず咳払いをする。


「大丈夫か?」

「え、ええ。では、話してもらいましょうか」

 メレンケリの挙動不審な態度に、グイファスは首を傾げつつも「じゃあ…」と言って話始めた。


「私がジルコ王国の貴族の家に忍び入ったのは、特殊な石を手に入れるためだった。そこまでは話したと思うけど、いいかな?」


 メレンケリは頷く。


「いいわ」

「それでその特殊な石と言うのは、サーガス王国に眠る大蛇を封印する石なんだ」

「大蛇?」


 聞き返すメレンケリに、グイファスは「そうだ」と言った。


「サーガス王国は、蛇と盟約を結んだ国と言われている」

「蛇と盟約を結ぶ?」


「そう。一五〇年くらい昔のことだ。当時のサーガス国王が、戦いのたびに多くの民が犠牲になることに心を痛めて、どうしようか悩んでいた時に、蛇が現れてこう言った。『私がこの国を守って差し上げましょう』とね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ