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第6話

昨日、エドワードとは部屋の件で少し揉めたが、今日もニコニコと私を見ながら向かいに座る。

なんだろう。この笑顔が段々プレッシャーに感じてきたぞ。

そして、隣のドルファンは物凄い形相で私を睨んできていた。

な、なんなの!?私ドルファンに睨まれるような事した?


その時、ガタッガタッと大きく揺れて突然、馬車が急停車する。

「わぁ!」「きゃ!」

「みな怪我はしてないか?」

私が「大丈夫。」と答えると、ドルファンとエミリーも頷いた。

それを見て、エドワードも頷くと鋭い視線をドルファンに向けた。ドルファンはその視線を受け今度は軽く頷くと馬車の小窓から外を覗いた。


少しの沈黙の後

「どうやら盗賊に襲われているようです。」


「え!?と、盗賊!」

こわい!物騒過ぎ!!



「ハルカ、心配しなくても大丈夫だよ。」

私には安心させるように穏やかに笑ったが

「ドルファン」再び鋭い視線をドルファンに向け

「はい。エドワード様。」

とドルファンが馬車から降り続いてエドワードが降りた。後ろを振り返り

「危険だからハルカは降りてはいけないよ。」

と言い残して・・・。


エドワードとドルファンが馬車を降りた後、私は小窓から様子を伺う。


なにか襲って来る盗賊を騎士と兵士達が剣でかわしているようだった。そこにエドワードが入っていくと一目散にエドワードを狙いにくる盗賊がいた。エドワードに振りかざし襲って来る剣をエドワードは弾き返し、変わりに相手の顎スレスレで剣を止める。

え、エドワードめっちゃ強いじゃん!


盗賊が降参したのか武器を下げた。するとエドワードも剣を下ろし変わりに手を差し出した。


どうやらエドワードを襲ってきた人は盗賊の頭っぽくエドワードがなにか話をし後ろに控えていたドルファンにエドワードが指図する。


そうするとドルファンから指示を受けた兵士達がいくつかの大きな袋を持って盗賊の前に置いた。最後は再びエドワードと盗賊の頭っぽい人が握手してエドワードが戻ってきた。


「お待たせしました。行きましょうか。」


「エドワードなにしたの?」


「盗賊達の目的は大体が飢えによる食料や金品の強奪です。なので、こちらでも分けられる食料を分けて、あとは兵士への入隊を勧めて来ました。兵士になれば食べるのに困らないですからね。彼らも飢えの為に仕方なく盗賊になっている事が殆どです。なので、当分の間の食料とあとは職の紹介をしてあげれば、わざわざお互いが争わなくても済むのですよ。」


正直、見直した。悪い事をしたからと端から決めつけてしまうような人もいるのだろうに、ちゃんと彼らの状況を考え、解決してしまうなんて・・・。


それからのエドワードは私のことをニコニコと見てこなくなり代わりに窓の外を眺めたり、

ドルファンと仕事の話をしたりしていた。

私もエミリーとおしゃべりしつつたまにエドワードをちらっと見ると必ず私の方を見てニコッと微笑んでくる。


ヤバイ。心臓捕まれそう・・・。


2日後の宿に着いた。今度は私にもちゃんと個室が用意されていた。

部屋で夕食の時間まで寛いでいると


コンコンとドアをノックされ

「ドルファンです。少しよろしいですか?」

とドアの向こうからドルファンの声がした。

ドアを少し開けて

「どうしたの?」

と聞くと宿の1階の食堂に来てほしいと言われ付いて行った。食堂の一角に衝立があって半個室みたいになっている席に案内された。


「エドワード様から聞きました。ハルカ様は救い人様としての役目を終えたら元の世界へ帰られるおつもりだと。」

ドルファンはいつもよりさらに眉間にシワを寄せ話してくる。


「そうね。」

ドルファンが朝、恐い顔して私を見ていたのはこれかと納得した。


「どうか、この国に留まってエドワード様とご結婚しては頂けませんか。」

ドルファンは頭を下げてきた。


ドルファンが頭を下げるなんてビックリしたけど、私も引けない。

「私が元の世界へ帰りたいことを聞いたなら知ってると思うけど、私には彼氏がいる。それだけじゃない、向こうに家族も友達もいる。確かにここの国の人たちには良くしてもらっているけど、私はやっぱり元の世界が恋しいの。」


「それはもちろん分かっています。ですが、エドワード様はハルカ様の事にとても好意を持っております。どうか・・・。」

頭を下げたまま言われる。


「って言われても・・・」

私が困っていると・・・


「ドルファン、勝手に何やってるの?」

口調と顔は穏やかなのにその刺すような声にエドワードが怒っているのが良くわかる。


「ハルカ、あなたが元の世界へ帰るのもこの世界に留まるのも貴方の自由だから、気にしないで。ほらもうあっちでみんなが食事の用意が出来て待っているよ。行っておいで。」


「あ、の、エドワードとドルファンは?」


「僕たちは少し明日の日程について確認があるから先に食べてて。みんなにもそう伝えてね。」その顔は笑っていたが、いつものニコニコした感じではなく黒い笑みという感じだった。


しばらくしていつものようにニコニコ顔のエドワードど明らかに気落ちしているドルファンが食事の席に現れた。


やっぱりドルファン、エドワードに怒られたのかな・・・。あんなにしょんぼりしたドルファンは見たことがない。


次の日にはドルファンはいつもの怒った顔になっていた。

エドワードは外を見たりドルファンと仕事の話をしたり、私に今日の宿になる町の事を話してくれたりと平和にトナカ村までの旅をした。


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