第3話
「うーん、私に出来ることなんて、本当にあるのかなー?」
王宮内に与えられた自室で頭を悩ませていた。
大体、平和な国で暮らしていた女子高生に戦争で勝つ為の戦略なんて思い付かないよ。
それとも、私も戦場で一緒に戦えってこと?織田信長じゃあるまいし、私なんか出ていっても即死だよー。
しかしこの世界に魔法とかないんなら私になにか特殊能力が与えられたって事も無さそうだよなー。
・・・。
「まほう・・・・」
「いでよ!炎ー!!」手を前にかざして言ってみたけど、出るわけなかった。
めっちゃハズイんだけど。
「大体、織田信長も元々の自分の能力で戦に勝ったぽいし。自分の能力かぁ・・・。はぁ。」戦に勝つ為の能力など思い付かずため息が出た。
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異世界生活2日目。
異世界と言っても地球でいう西洋風の王宮の一室のフカフカのベッドで私は目が覚めた。
やはり夢ではなかったか・・・。
目が覚めたら元の世界に戻ってるかなーなんて淡い期待を抱いていたけど、現実はそう甘くない。
どこのお姫様のベッドだよ!ってくらい豪華なベッドで上半身を起こす・・・。
「おはようございます。ハルカ様。」
「うおわぁ!!!」
いつの間にかベッドの脇に侍女らしき女の人が立っていた。
いつの間に部屋に入ったんだ?起きたら部屋に人がいるって恐ろしいよ!こっちはお貴族様じゃなくて平民なんだから!
「ハルカ様、お召し替えを。」
「え?おしめ替え?」
「・・・お着替えをお手伝いしますので、起きて下さいませ。」
聞き間違いもスルーだよ!えーん、楓助けてー!ツッコミ入れてーー!!
真っ裸にされてコルセットなるものでウエストをきつく締め上げられる。
「く、くるしい!息、息できませんよ!」
「ドレスを美しく着る為です。我慢してください。」
そんなー。
そしてあれよあれよと着せ変えられて、ヘアメイクもバッチリされた。
「それではご朝食へ向かいましょう。」
「は、はい・・・」
朝の支度だけでもうグッタリだよ・・・。
「ハルカおはよう。よく眠れた?」
朝から眩しいエドワードの笑顔。
「お布団もフカフカでよく眠れました。」
ニコリとしたつもりだが、コルセットでキツキツに締め上げられもう息をするのもいっぱいいっぱいで引きつった笑顔になった。
「顔色が優れませんがどこか体調が悪いのでは?」
「こちらのドレスは着なれないので、苦しくて・・・。」
あ、ヤバイ。手が震えてきた。
「それは、お辛いでしょう。すぐに別のドレスにお着替えを・・・」
そう言われた瞬間、私は目の前が暗くなりその場に倒れた。
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「・・・ルカ・・」「・・・ルカ様」「ハルカ様」
「・・・ん」私を呼ぶ声に目を開いて見るが、ちゃんと開けてないのかボヤーとしている。頭もちゃんと働かない・・・。
あれ夢かな・・・。カッコいい王子様が私の目の前にいる・・・王子様は・・・「エドワード!」
パッと頭が覚醒して視界もクリアになりエドワード王子が私の目の前にいるのを確認した。
「わぁ!」
目の前で心配そうに見つめてくる。
そんなに見つめられたらドキドキして・・・え!えっエドワード王子の顔が段々近づいてくる・・・目を閉じてしまいそうにな・・・「顔色、良くなりましたね!」
「へ?」
「やはりコルセットが苦しかったのですね。侍女達にはハルカ様のドレスにコルセットは不要とキツく言っておきましたので、ご安心下さい。」
「あ、はい。エドワード様ありがとうございます。」
ヤバイ!一瞬キスされるのかと思って目閉じそうだったよ!恥ずかしい!!
「エドワード様だなんて・・・先程のようにエドワードとお呼び下さい。」
「え、そんな・・・王子様にそれは失礼ですよ。」
「では、2人きりの時だけ・・・ね。」
ニコっと笑いかけられ顔が熱くなる。
「あ、はい。では私の事もハルカと呼んでください。」
「分かりました。では、少し休んだら天気も良いし庭で一緒にランチでもしようか?ハルカ。」
私のサイドの髪を撫でながらハルカと言われ、ドキンっと胸が高鳴った。