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第2話

王宮まで連れてこられた私は豪華なソファに座っていた。


だって、あの場に取り残されても右も左も分からない所だし、どうすればいいか分からないし、カッコいい王子様が王宮に来いって言うなら行くしかないよね!?


私が王子様に出会った森は王宮の裏手にある森で、王子様は騎士達と森で馬を走らせ遊んでいたそうだ。

そんな話を私は王子様の馬に横座りで乗り、王子様が私の後ろに座って私を支えて馬を走らせるという夢のようなシチュエーションで話していた。因みに私の短いスカートの上には王子様のマントが掛けられている。


何このお姫様みたいな状況・・・。

ドキドキ、フワフワと夢見心地になっていると

「着きましたよ。私が先に降りますね。」

と王子様はフワリと馬から降りた。

すると私に向かって手を差し伸べて

「私が支えますからどうぞ降りて下さい。」

と手を取られたと思ったらグイっと腕を引かれ私は王子様の胸の中へダイブ。なんだか自分がおとぎ話のお姫様にでもなった心地だった。



そんなわけで、私は王宮の豪華な部屋に通され、ソファに座っているのだが、何故か王子様は密着して隣に座っていた。


ガチャっと扉が開き侍女らしき女性が

「国王陛下、王妃陛下が参られました。」

王子様はスクッと立ち上がり右手を左胸に持っていき礼の姿勢をする。私も見よう見まねでやってみた。

コツ、コツ、コツと足音が聞こえる。

「みな、そう構えるでない。救い人様まで・・・どうか顔を上げてください。」

威厳のあるしかし優しい声色に私は顔を上げると・・・すっごい美男美女だな!!

威厳のあるオーラと年と共に出る渋みがまた、色気を醸しダンディな国王陛下。凛とした佇まいと品のある笑顔が美しい王妃陛下・・・。

さすがこの王子様の親だな・・・。

私は目の前の2人にポーと見惚れていた。


「私はグリント国国王のエルファレム グリントン。そして妻のミシェラントだ。」

王妃様がスカートを広げ膝を折りながらニコリとする。

う、美しすぎる!


「遅ればせながら、私はエドワードと申します。」

王子様も右手を左胸に当てたまま名乗る。


「あら、エドワード!まだ名乗ってもいなかったの!?」王妃様が少し怒った顔をしている・・・が美しい。

「母上、仕方がないのです。救い人様があまりにも可愛らしい御方でしたので、つい見とれてしまい名前を名乗るのも忘れておりました。救い人様よろしければ、あなた様のお名前も教えて頂けませんか?」

「あ、えっと遥香です。大石 遥香といいます。」

なんか、王子様改めエドワード様が私の事、可愛いとか言ったよ。もーなにこれ!ムズムズするよー!

なんて思っていたら

「ハルカ様ですか。なんとお可愛らしい名前なんでしょう!」

とさらにエドワード様が畳みかけてくる。


もーやめてー!!ハズい!恥ずかしいから!!

自慢じゃないけど、私、普通の顔だよ!現実世界にいた時だって告られた事もないしこんな美形の王子様に可愛い可愛い言ってもらえる様なモノなのではないよー!!!

と1人プチパニックになっていた。

「・・・様、・・ルカ様、ハルカ様!」

ハッとパニックから戻るとエドワード様が心配そうに見つめていた。

「ハルカ様、どうかされましたか?」

「い、いえ大丈夫です・・・。」

キラキラとした王子様の心配顔が目の前にあり、ノックアウト寸前で私はその場に座り込みたいのをなんとか耐えていた。


それぞれ挨拶が終わり豪華なソファに国王様と王妃様が座りテーブルを挟んだ向かいの豪華なソファに私とエドワード様が座っている。



「それでは私から救い人様についてご説明させて頂きます。」

宰相だというメガネをかけた銀髪のおじい様が話し始めた。


「グリント国には古くからの言い伝えがございました。

国が危険なとき異世界から救い人様が現れ、国を救って下さると。

その言い伝えの通り約200年前に隣国マラドナ国との戦が激しくあった頃に救い人様が現れ、それはそれは見事な戦いで勝利を納め我が国はマラドナ国からの侵略を防ぐことができたのです。

そして、200年たった今、またマラドナ国からの侵略に脅かされております。どうか救い人ハルカ様我々をお助け下さいませ。」


「ちょ、ちょっと待ってください。私にはそんな戦争に勝てるような力なんてありませんよ!」

平和な世界で生きてきた女子高生に戦争に勝つ力なんてあるわけないじゃーん!!


「そう、仰らずにどうか我らに戦いに勝つための策をお与え下さいませんか?」国王様が困ったような顔で言う。


「前の救い人は凄い人だったかも知れないけど、私にはそんな力・・・もしかして前の救い人は魔法とか使ってませんでした!?」

異世界へ来たって事はなにか特殊能力が使えるようになってるかもしれない!それなら私にだってなにか出来るかも!


「ま、ほう?ですか?それはどの様なモノなのでしょうか?」エドワード様が身を乗り出す。


「ホラ、呪文を唱えると何もない所から炎が出てきたり、魔法陣とか書いたら水が出て来て、相手を攻撃してくれたりとか・・・?」

みんなが凄く驚いた顔をして見てくる。


「ハルカ様はそのように凄いことが出来るのですか!?」

「す、凄い力だ!!」

「神の様ではないか!!」

みんなが口々に驚きや称賛の言葉を言う。

「え、えっみんな待って!私がではなくて、前の救い人が使ってなかったかということよ!」


「いえ、そう言ったお話は伝わっておりせんが・・・。」

「じゃあ、どうやって前の救い人は戦に勝ったの?」

「考える戦略が見事だったと伝わっております。今、200年前の救い人様の姿絵をお見せしますね。」宰相のおじいさんが言うと控えていた若い銀髪の青年が姿絵を持ってきてくれた。

「この方が200年前の救い人様です。」

目の前には鎧を来た強面の男の人の姿があった。


「お名前はオダ ノブナガ様でございます。」

「え!?オダノブナガ!?って織田信長!!えぇぇぇ!!」

そりゃ、戦のプロだよ!そりゃ戦争も勝てるよ!日本統一しちゃえるくらいの人だもん!!そんな人の代わりなんてムリだよー!!

元の世界に戻りたいよー!!


「ちなみにその、織田信長さんは戦争が終わったあと日本に戻ったんですよね?どうやって?」


「いえ、そのまま生涯をこの国で過ごされましたよ。」

「え!戻れないってこと?」

でも戻らないと歴史的にもおかしくない!?


「ノブナガ様は自分は向こうではもう死んだことになっているだろうから今更戻ってもサル達に迷惑だろうっておっしゃっていたと記録が残っております。」

死んだことって、本能寺の変の事かな?確か信長の遺体が出てこなかったとかだよね。それって異世界にきちゃったからってこと!?

なにこれ!!めっちゃ言いたい!!日本人にめっちゃ教えたい!!!

けど、とにかく元の世界に帰らなきゃこんな重大な歴史的発見伝えることも出来ないよ!


「私には信長さんのように戦に勝つための戦略を考える力なんてありませんよ。」


「しかし、あなたが現れたということはきっとあなたには我々の国を救う力がおありなのです。どうかよろしくお願い致します。」国王様が頭を下げるとその場にいた全員が遥香に頭を下げた。

遥香はこの状況に顔を引きつらせる事しか出来なかった。

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