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おじーちゃん、『姫プレイ』なう!?  作者: 堀〇
第一章 制限時間内に目標を殲滅せよ!
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クエスト1 おじーちゃん、はじめての『キャラクリ』なう!

 ――ここではないどこか。


 電子の箱庭。


 造られた異世界。


 五感を完全に仮想空間に没入できるVRシステムが生み出され、新たな家庭用ゲーム機のように扱われるようになって既に半世紀以上。なかでも登場から多くのユーザーに支持されるMMORPGものは、昨今の異世界体験型のVRゲームのなかでも群を抜いた人気を博しており。剣と魔法の、いわゆるファンタジーものは、今やVRゲーム業界を代表する一大ジャンルで――


「――だから、お父さんにもやってほしいな~、って」


 白を基調としたログハウス。そのリビングを模したVR空間にて対面に座る彼女――水無瀬みなせ 小春こはるは、今年で40を過ぎたはずのわりには若すぎるように映る笑顔で言った。


「ほら、うちの美晴みはるが来年、中学に上がるでしょ? で、中学からはVRデバイスは授業にも使うからっていうんで少し早いけど買ってあげたのよ」


 うむ、そこまではわかる。


「で、で! 美晴がね、初めてのVRゲームはお母さんの作ったのがいい、って!」


 よほど嬉しかったのだろう。笑み崩れる小春を前に儂も少し頬が緩む。


「だから――お父さんも一緒にどう?」


「…………いや。なにがどう、『だから』なのかがわからんのだが」


 ため息を一つ。柔らかい革の質感を与えるソファーに老体を沈ませ、疲れたような面持ちで返す。


「……話の流れ的に、じゃ。おまえの作ったVRゲームというのが、その、ファンタジーを題材にしたものなのだろうことは察するがの」


「『星霊幻想記せいれいげんそうき~アイテールファンタジア・オンライン~』ってタイトルなの! 私、これで時代を作るわ!」


 いや、そこは聞いてないんじゃが。……こやつは本当にマイペースじゃのぅ。


「あー……なぜ、儂も一緒に、なんじゃ?」


 『美晴』と言うたか? その子が母親の作るゲームをしてみたいと言うのはわかる。


 しかし、なぜ儂がその供をせねばならんのじゃ?


「だってお父さん、美晴とまだ会ったことないでしょ?」


 あっけらかんと返す娘を前に眉間を押さえたくなる。


「いや。じゃから、会ったこともない孫となぜ一緒に――」


「だからだよ!」


 ……儂か? 儂の方がおかしいのか?


「あのね、お父さん! VRゲームって意外と危ないの!」


 ふんす、と。拳を握ってVRゲームの危険性を力説する外見年齢20代の四児の母。


 曰く、世界中の人間と関わることで起こる対人関係のトラブルがどうのこうの。情報社会における個人情報の重要性とそれを扱う人間のモラルについて云々。


 要約すれば、まだまだ幼い娘子が心配だ、ということなのだろう。そして、今や日がな一日VR空間でぼんやりと余生を過ごしている儂に保護者役をお願いしたい、と。おそらくはそんな感じなのじゃろう。……たぶん。


「あー……儂がその、美晴、ちゃん? を、それとなく見張れば良いのかの?」


「え? 違うよ?」


 なぬ、違うのか!?


「お父さんには、だから、美晴と一緒に私の作ったゲームを楽しんでほしいの!」


 …………ふむ。


 果たして儂は娘との意思疎通を半ばあきらめた。


「ようわからんが……まあ良い。とりあえず儂は、その、なんとかっていうゲームを美晴ちゃんとやれば良いんじゃな?」


「『星霊幻想記~アイテールファンタジア・オンライン~』だよ『星霊幻想記~アイテールファンタジア・オンライン~』! 略してAFO!」


 あ、ちなみにタイトルの『星霊せいれい』っていうのは読んで字のごとく『星』の『霊』というか『精霊』のことで、まぁ言っちゃえば神様? 創造神? で、『アイテール』っていうのがその名前で――と。それはそれは楽しそうに語る小春。


 そんな娘に「……この娘、よくこれで社会でやっていけるのぅ」と思いつつ、適当な相槌で返す儂に、


「で! じつはお父さんのVRデバイスにもAFOはもうインストールしてあるの!」


 そう言って小春は立ち上がり、左手を上げた。と、それを合図に現れた、洋館にあるようなデザインの『扉』を示しながら、


「さ、さ! とりあえずキャラクリは『中』でできるから、ついて来て!」


 ……うむ、もはや何も言うまい。


 儂はため息を噛み殺し、先導する小春に続いて『扉』をくぐった。


 果たして、その先にあったのは、薄暗く、何もない平野のような場所だった。


「まずは、お父さん、種族と性別を選んで!」


 小春が振り返って告げるや儂の目の前に現れるウィンドウ。そこに表示されたのは、


『〇 人間

 〇 妖精 ▼

 〇 獣人 ▼ 』


 という、要は3択なのだろうと知れるそれだが……。


「……いや、の。選べと言われても、の」


 ウィンドウの向こうでニコニコしている娘に、儂はさっそく眉間の皺を撫でる。


 さすがに説明不足すぎるじゃろう、と半目になって見つめること数秒。小春はわずかに首を傾げて、


「あ、ちなみに『妖精』は、そこから『エルフ』か『ドワーフ』かを選べるからね。で、『獣人』は犬系・猫系・狐・兎・熊から、その動物の特徴を一部引き継いだデザインになれるから」


 たとえば、こんな感じでー、と。なにやら操作するように中空で指を動かす小春。それにあわせて儂の眼前に現れる鏡と、そこに映る見慣れた老体のアバター――の耳が猫になったシュールな絵面を見て眉間の皺が深まる。


「『獣人』の場合は、この獣耳と尻尾が付くのがデフォでね。加えてケモケモ度が弄れるんだー」


 こんな感じー、と。その言葉と同時に淡い光に包まれる儂。


 そしてその光が消えてから現れたのは、まさしく直立した猫で。着ているものも何かの革を使った民族衣装のような、言ってしまえば粗末な作りの長袖長ズボンのようなものに変わっているが……それより何より、感じる違和感が大きい。


 目で見てすぐわかる耳や尻尾はもとより、微妙に体の構造自体が人とは違っているようで、佇む、それだけの状態でありながら、常の『人間をベースとしたアバター』との骨格や筋肉などの設定の違いによる違和感がすごかった。


「……ふむ。つまりは、3択じゃないのか」


 ようわからんが……そもそも現実世界での姿とそこまで乖離させても大丈夫なのかの?


 儂の知っているVRを用いた体験ものは、基本、現実の容姿から乖離したものは何かと規制が入っていたと思うんじゃが。と、改めて自身の手や体を見回し、軽く動かしてチェックする。


 やはり、違和感がすごいが……思ったより脳への負担が少ない、か。時代も変わった、ということかのぅ。


「ふむ。まあ儂はいつもの姿で――」


「ち、な、み、に! それぞれの種族の違いなんだけどね!」


 ……どうやらこやつ、儂に仕様を説明したくて仕方なくなっとるな。


「とりあえず、次は『エルフ』!」


 そんな言葉と同時。また儂の姿は淡い光に包まれ――


「『エルフ』の特徴は長い耳とスレンダー体型に、整った容貌――って美形! お父さん、すっごくカッコいい!!」


 鏡に映る、線の細い20代半ばほどの男。


 ……ふむ、これが儂か?


 若返らせるなら儂の昔の容姿になるのかと思えば、あからさまに別人となった自身のアバター。これは途中で猫の獣人だかを挟んだためなのか、はたまた儂のアバターに『エルフ』の要素を加えるとこうなるのかは知らんが、小春の言う通り、たしかに美男子に見えた。


「ちなみにアバターの外見年齢とかはある程度自由に変化させられるんだけど、『エルフ』は基本、どんなに設定年齢を上げても若い感じかな? 『長命種で常に若々しい』っていう設定だからね。逆に幼い見た目にはできるよ?」


 こんな感じにー、と。また光に包まれ、次に鏡に映ったのは、外見年齢が下手をすれば一桁にまでなっているだろう幼い少年。


「ちなみにちなみに。『エルフ』は更に耳の長さもある程度変えられるんだけど――って、うっわ、かわいい! お父さん、超かわいい!」


 テンション高く頭を撫でてくる娘を前に、ため息をまた一つ。


「それで? 種族ごとの特徴は外見上のものだけなのかの?」


「え? ううん、違うよ~」


 頭を撫でくり回しながら、小春。


「種族のなかの『人間』を平均値としてだけど、ほかの種族はそれぞれ補正がかかっててね。詳しくはプレイヤー側で確かめたり、調べたりしてほしいんだけど……いちおう、公式ホームページの紹介がこれね」


 言いつつ片手を虚空で滑らせて操作すること数秒。果たして、儂の眼前に現れる『星霊幻想記~アイテールファンタジア・オンライン~』の公式ホームページ――そのトップページらしきものを映したウィンドウ。そこから『ゲームガイド』の項目を選んで開き、『種族について』の項をさらに開いて見せる小春。


「そこにも載ってるけど、『エルフ』は精神力、器用、敏捷、魔力にプラス補正。生命力、体力、筋力、丈夫にマイナス補正がかかっててね。要するに頭でっかちのモヤシっ子だね!」


 モヤシって……なんかすごい表現だのぅ。


「で、で! 次は同じく妖精種の『ドワーフ』ね!」


 そしてまた光に包まれる儂。


「『ドワーフ』の基本は低身長で筋肉もりもり。団子鼻にひげ面のおじさんで――……うん、かわいくない」


 そっと儂から距離を置く小春。


 それを横目に改めて変わった自身のアバターを眺める。


 ふむ。なるほど、こちらは見た目からしてわかりやすいのぅ。


 先ほどの細いのと違い、『ドワーフ』は確実に力強く、そして鈍重に見える。それを肯定するように『ドワーフについて』の項を開けば、生命力・体力・筋力・器用が高く、敏捷・魔力が低い、とある。


「――と、そう言えば小春よ。さきにも言っていたが、この『筋力』だの『体力』だのと言った数値は、今は確認できんのかの?」


「え? ああ、≪ステータス≫だね。それなら『ステータスを見たい』って強く思えば表示されるはずだよ?」


 そう言いながら何かを操作している様子の小春。


 果たしてまた光に包まれる儂。……む、なんじゃ、せっかくなら『ドワーフ』の≪ステータス≫を見たかったのじゃが――


「…………おい、小春」


 鏡に映る、仏頂面の童女。


 身長は120センチもないだろう。小柄で、見るからに幼く。『ドワーフ』の特徴だろう、若干横に尖った耳を見なければ『人間』の、それもようやく10代になったかどうかの幼女にしか見えない。


 鈴を転がすような耳に心地良い声や肩にかかるほどの長さに揃えた赤髪。そして、どことなく小春の幼いころに似た、整った容貌。これらを一瞬で造形などできるとも思えんが……まさか、ここまで予定通り、と?


「うんうん。ほら、≪ステータス≫! ≪ステータス≫!」


「…………」


 ため息を一つ。内心で『ステータス』と強く思うと眼前に現れるウィンドウ。




『(名前を登録してください)Lv.1


 種族:ドワーフLv.1

 職種:(職業を設定してください)Lv.0

 性別:女



 基礎ステータス補正


 筋力:0

 器用:0

 敏捷:0

 魔力:0

 丈夫:0



 装備:見習い服



 スキル設定(0/3)    』




 ふむ、なるほど、これが≪ステータス≫かの。


「ちなみに名前とかレベルの下に表示されてる3つのバーがHP、MP、TPで、つまりは生命力、精神力、体力ね。で、で、HPがダメージなんかで全損したら死亡。いわゆる魔法――『マジック』とかでMPを消費して無くなったら気絶。体力はまぁ走ったりとか【スキル】関係で覚えられる技――『アーツ』なんかを使うと消費されてって、これまた全部無くなったら一定時間行動不能、だね」


 あ、名前って苗字の『ミナセ』で良い? と訊く小春に軽く頷き。次の瞬間には、≪ステータス≫のなかの名前が『ミナセ』に変わっていたので何かまた操作したのだろう。


「この『ステータス補正』というのが、さきに言うとった種族ごとの補正かの?」


 みんな『0』じゃが、と。首を傾げて問う儂に、小春は「あー、違うよ~」と返す。


「そこの『ステータス補正』はね、レベルアップで手に入るSPを消費して上げたりできるんだけどねー。≪ステータス≫にはそれでもって変化した数値を表示してるんだけど、そのまえに言ってた種族ごとの補正っていうのは裏ステ――……えーと、なんて言ったら良いのかなぁ?」


 あー、だの。うーん、だのと悩みだす小春。


 果たして、ややあってから返ってきた答えはどうにも専門的というか抽象的で。ゲーム知識の乏しい儂からしたらひどくわかり難く、そのうえ語り手が説明下手な小春であったせいか時間が無駄にかかってしまったが、どうにか理解した。


「つまりは、じゃ。種族ごとの補正というのは、要は≪ステータス≫には現れない、アバター自身の特徴、のようなものじゃと?」


 例えば、『ドワーフ』と『人間』の場合。『人間』のそれが平均値だとすると、同じように『ステータス補正』にSPを消費して振っていても『ドワーフ』は『筋力』が高く、『敏捷』が低くなる、らしい。


 これが『エルフ』と『人間』ならば、先に小春が語ったように≪ステータス≫では見れない数値にそれぞれの違いが現れ、『補正』後はその違いが顕著になっていく、と。驚くべきは『獣人』種のアバターの場合で、これは選んだ獣の特徴次第で『筋力』だの『敏捷』が変わるという。……この違いについても語られたが、今回は省くとして。


 これらの『ステータスなどに数値として表示されず、しかし確実にアバターごとの個性として存在する隠された数値』こそが『基礎ステータス』で。≪ステータス≫で見れる『基礎ステータス補正』というのは、この秘匿されているが確実に存在するアバターごとの数値に対する補正……らしい。


「……うむ、やはりよくわからんな」


「あはは、まぁこれは習うより慣れろってやつだよ、お父さん」


 言いつつ童女となった儂の頭を撫でまわす小春。……なんでも良いが、儂はこの姿で固定なのかのぅ?


「よし! じゃあ次は〈職〉を選ぼうか!」


 ――そうして始まる、これまたわかり難い小春の説明。


 要約するならば、まず、初期に選択可能な〈職〉については『モンスターなどとの戦闘を主眼に置いた職』を『戦闘職』、『武器、防具、回復薬などのアイテム類を作る職』を『生産職』として、以下の10種類があると言う。



〇 キャラクリ時に選べる初期職


・戦闘職

戦士、魔法使い、斥候、狩人、吟遊詩人、治療師


・生産職

薬師、鍛冶師、細工師、服飾師



 それぞれの内容については、今は割愛するとして。曰く、この〈職〉は自身や組んだ相手とのプレイスタイルに直結するので慎重に選ぶべし、だそうな。


「あ、ちなみに初期のインベントリには『練習用武器交換チケット』が1つに『スキル変換チケット』が2つあるからね」


 ここで言う、『練習用武器交換チケット』で手に入る武装は、『練習用武器シリーズ』と呼ばれる特殊なもので。攻撃力や耐久値などは最低でありながら耐久値が0になって壊れても勝手にインベントリに入り、そのままにしておけば自動で耐久値が回復すると言う。


 ちなみにこの『耐久値』とは、使えば使うほど――攻撃したり防御したり、攻撃を受けたりなどをすれば減っていく、言うなれば武器や防具のHPのようなもので。全損などすれば壊れ、本来ならそれで永久に失うと言う。


 そんな耐久値を回復させるアイテムや【スキル】などもあると言うが――さておき、そうした手間やお金をかけず、壊れてもインベントリ内に入れて置けば勝手に耐久値が回復するのが『練習用武器シリーズ』であり。初心者支援のための一環なんだとか。


 これに、防御力こそ最低値だが代わりに耐久値無限という『見習い服』があれば、たとえ無一文になる事態に陥ろうとも裸一貫ということにはならない――と、それはさておき。件の『練習用武器シリーズ』のなかには『剣』や『槍』、『盾』など選べる武装の候補が複数あり、先に説明された〈職〉に合わせたものやプレイスタイルに合わせたものを選ぶと良い、らしい。


 加えて、そんな『練習用武器交換チケット』とともに最初期から手に入れられるアイテム――『スキル変換チケット』について。


 これは名前の通り、本来であればしかるべき〈職〉に就き、相応の行動によって得られるという【スキル】を、候補こそ絞られたものながら任意に得られるアイテムで。そして【スキル】とは、プレイヤーの行動に幅や補正を加えるもので、たとえば【剣術】という【スキル】は『剣』を用いた攻撃にプラスの補正がかかり、レベルアップによって固有の技――『アーツ』という、体力を消費して仕様できる特殊な効果ないしアクションができるようになる、そうだ。


 ちなみにこの『交換チケット』で手に入れられる【スキル】は、すべてレベル1のもので。小春曰く、選べる候補こそ絞られているそうだが……それでも多種多様。これもまたプレイスタイルや供に過ごす相手と要相談のうえ決めるべき――と、ここまでの説明をどうにか飲み込みながらも、いい加減、こうまで度々聞かせられる『供にプレイする相手の意見』について、儂はたまらず口を挟むことにした。


「……のう、小春や。ちなみにじゃが、件の美晴ちゃんとやらがどのようなプレイスタイルで遊ぶ予定だとか、儂にはどうして欲しいだのといった要望は、もちろん訊いておるのじゃろう?」


「え?」


 …………ああ、やはり、か。


「え~と……。ちょっと今から美晴に訊いてみるから待ってて!」


 そう言って部屋――というか『扉』だけが存在する薄暗い平野から出ていく小春。


 それを横目に見送り、儂はあらめて『スキル変換チケット』で得られる【スキル】を眺める。


 小春のわかり難い説明を儂なりに要約したうえでの【スキル】の分類は、以下のような感じか。



〇 スキル交換チケット消費で選択可能なスキル


・強化系

【強化:(筋力・敏捷・丈夫・器用・魔力)】【体術】


・武器系

【剣術】【槍術】【斧術】【槌術】【棒術】【弓術】【盾術】【短剣術】


・魔法系

【属性魔法:(火・風・土・水)】【付与魔法】【回復魔法】


・感知鑑定系

【感知】【察知】【鑑定】【診察】


・採集系

【採取】【採掘】【伐採】【漁】


・生産系

【細工】【鍛冶】【調薬】【裁縫】【石工】【木工】


・その他

【交渉術】



 ふむ。このなかだと【強化:〇〇】がわかり易いか。


 これは『〇〇』の部分に『筋力』や『敏捷』が入り、表記として【強化:筋力】だの【強化:敏捷】だのというふうに記されるらしいが、要はそのステータスへのプラス補正。≪スタータス≫でいう『基礎ステータス補正』のようなものらしい。


 あとわかり易さで言えば、武器系の【剣術】や【斧術】といった対応した武器を使った行動にプラス補正の付くらしい【スキル】か。これに加えて、さきの説明では〈職〉と【スキル】はそれに合わせた行動をとることで経験値を得てレベルが増し、レベルの高さに応じて補正値が高まる、と言う。


「と、いうことは、じゃ。〈職〉と【スキル】の親和性が高ければ効率的なレベル上げが可能、ということなのかの?」


 たとえば、武器戦闘の〈職〉であるところの〈戦士〉に【剣術】、【強化:筋力】とかのぅ。【強化】系の【スキル】がどのような行動に合わせれば経験を蓄積させていくのかわからんが、少なくとも剣を持って戦闘していれば〈職〉と【剣術】の方はレベル上げが出来そうだの。


 あとは〈魔法使い〉という〈職〉に【属性魔法:火】、【強化:魔力】とかも良さそうだのぅ。……もっとも、【属性魔法】というのが具体的にどう作用されるのかが今一つわからんから個人的には選び難いが。


 ほかには〈治療師〉に【診察】、【回復魔法】とかの。初期装備に『練習用武器・弓』を選んで〈狩人〉に【弓術】、【強化:筋力】とかもありか?


「……まぁなんであれ、儂一人で行動するわけではないだろうしのぅ」


 このゲームがどういうものであれ、儂のやるべきことは孫の御守り。儂がどうするかは一緒に行動するだろう美晴ちゃんに合わせるべきで――




「うわぁぁぁぁぁぁああああああ!!」




 響く、少女の嬌声。


 振り向けばそこに、幼き日の小春を思わせる少女のアバターが――孫の水無瀬 美晴だろう娘が目を丸くしながら立っていた。


「うわ、うわ、うわー! なにこの子かわいい! 誰このかわいい子!?」


 ……ふむ、どうしたものか。


 さすがにこんな童女のなりで「祖父だぞ孫よ」とは言えんのじゃが――


「ふふん! なんと、この子がさっき言ったあなたのおじいちゃんよッ!!」


 ――さらり、と。それはそれは無駄に自信満々な笑みを浮かべて小春が真実を告げたのじゃった。

以降、主人公ミナセの一人称での語りで物語は進みます。


サブタイの『チュートリアル』は別視点での、いわゆる閑話や幕間。『クエスト』の

方がメインのおじーちゃんの物語になりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


感想、誤字脱字の報告、おかしな表現などのご指摘、その他気軽に書き込んでくだされば幸いです。

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