クエスト46 おじーちゃん、対『フィッシャーマン』戦に慣れてきたと思ったら…
果たして、その2度目の戦闘も頼もしい相方の優れた索敵系【スキル】にて最少数である3体のところを選び。前回のレベルアップで『丈夫』と『器用』を増やしたぶん、物理的な防御力こそ上がったが、それでも盾のうえから無視しえないダメージをもらい。
体感時間の操作に緊急時の転職と回復こそ挟みはしたが、なんとか無事に乗り切り。〈戦士〉と【盾術】のレベルが上昇。これから先、儂からのダメージを少しでも早く入れられるように『器用』を上げ。そのあとの『修復』作業で〈鍛冶師〉と【鍛冶】が、HPの回復作業で〈治療師〉と【回復魔法】のレベルが上がり。
これに加えて、『総合レベル+スキルレベル』がようやく対象のレベルに届いたのだろう、【看破】で魚人のレベルをついに視ることができるようになり。ダイチくんたちの推測通り、この『蒼碧の水精遺跡』は『レベル35開始のダンジョン』だと断定できたので、その旨をさっそく志保ちゃんにメッセージで報せた。
そして、
「うーん……。なんか、思ったより面倒なことしてるね、ミナセちゃん」
戦闘終了後、再び台座のある広場に戻って。前回同様、儂が少女の装備も含めて『修復』し続けていたのじゃが……この『待ち時間』のお喋りにも飽きてきたらしい嘉穂ちゃん。水際に腰掛け、適当にバシャバシャとバタ足交じりに告げてきた言葉に苦笑を返す。
……まぁ、嘉穂ちゃんの場合、『スキル設定』も割と適当で。使う武装も気分次第。『強化』はするのに『修復』せず、耐久値が『0』になって壊れても違うのを使えばいいか、という程度じゃったようじゃからのぅ。いちいち『移動』や『休憩用』に適した『スキル設定』を考えたり、1戦ごとに耐久値を確認し、回復させる儂の行いは理解し難いものかも知れん。
が、だからと言って、今やっとる作業をやめるわけにもいかんし。かと言って、飽きっぽい子猫を放っておくわけにも――と考えている間に、ふと、現在時刻を見て。もしかしたらと『フレンドリスト』を確認すれば、志保ちゃんと美晴ちゃんがちょうどログイン状態だったこともあり、彼女らに『フレンドコール』をしてみてはどうか? と提案してみることに。
「うえ!? ふ、ふれ、『フレンドコール』ぅ!?」
対して、なにやら驚天動地のような驚き顔になる嘉穂ちゃん。その反応こそ予想外だったので、その理由を訊けば――曰く、これまで彼女は『フレンドコール』を使ったことが無かったそうで。今、自分の都合で話しかけて大丈夫か、いきなり『フレンドコール』なんてしたら怒られないか、と泣きそうな顔で訊いてくるので、ならば先に『メッセージ』で確認をとってみては? と提案すれば、メッセージを送った経験も無い、と。いっそう涙目に。
……いや、子供同士のメッセージじゃし、そうでなくても仲の良い双子間でそこまで真剣に文面を考える必要があるか? などと思いつつ、『あーでもない、こーでもない』とメッセージの内容を協議すること30分ほど。当初は少しの間、嘉穂ちゃんの相手を押し付けようと思っての提案だっただけに、逆に「まじめにミナセちゃんも考えて!」と作業に戻ろうとしようものなら叱責をうけるような事態になるとは、まさしく『策士、策に溺れる』というやつかのぅ……。
ともあれ。そんな緊急対策会議の甲斐あってか、嘉穂ちゃんは無事に妹との初『メッセージ』からの初『フレンドコール』体験を終え。今は初『パーティチャット』という『パーティ内全員でする、遠距離会話機能』を用いた、美晴ちゃんを混ぜた三人でのお話の最中である。
……ふむ。楽しそうで何よりじゃな。と、笑顔を咲かせて何やら口を動かしている少女を範囲知覚で眺めつつ、いよいよ儂の方も『クラブアーマー』ほか装備一式を『強化』すべきかを思案。これまでは嘉穂ちゃんの装備強化のために【漁】をセットしたうえで『死骸系』のドロップアイテムを狙っていたが、それを外せば普通に『魔石』が手に入るようになるわけで。
儂の場合、装備一式すべてがアキサカくんたちの『作品』であり。それゆえに、嘉穂ちゃんのように安易に素材アイテムを『強化』の素材にして外見を変化させるのは憚られ。外見上の変化無く『強化』できる『魔石』以外の『強化』はできない――のじゃが、魔石を用いた『強化』は10個消費して『+1』となる仕様のようで。
有り体に言って、いちいち貯めるのが面倒な数を一度の『強化』に必要とするのじゃが……そこはそれ、『魔石』はダンジョン内のモンスターを倒したとき限定のドロップアイテムで。それゆえか、意外と≪マーケット≫に出品されていることが多い。
ゆえに、いっそ『魔石』は≪マーケット≫にて買おう、と。【漁】で手に入るアイテムは嘉穂ちゃんの装備更新にすべて回すとして、現在、少女の死蔵し続けていた在庫を処分したことで得られた資金が儂の手元にあり。それを魔石購入にあてて良いかを訊ねれば「いいよー」と軽く返され、微妙な面持ちになったりもしたが……まぁ、今の儂らは一蓮托生の状態じゃし。儂の戦力強化は『カルマ』を減らそうとする作業の効率化を図るのなら必須だろう、と内心の葛藤は飲み込んで暇を見つけては魔石あさりもすることに。
もっとも、『強化』でまかり間違って現在の武装が持てなくなっては大惨事になってしまうので、儂の武装はSPを余らせた状態で『調節』しつつ『強化』する予定で。つまりは、すぐすぐの『強化』の予定は無かったりするのだが……まぁ、今は嘉穂ちゃんの『パーティチャット』の終了を待って、また『水泳教室』でもするか、あるいは外部リンクから『映画』ないし『歌劇』あたりのデータを引っ張りだして一緒に観ても良いし、勉強を教えるのも良いか、と。
……こう言ってはあれじゃが、儂はこの際、イベントに間に合わんでも嘉穂ちゃんがAFOを嫌いにならないで済むようなら良いとも思っておるし。VRMMOだからと言ってダイチくんたちのように、ダンジョンに潜ったらモンスターを倒してレベルを上げ、あわよくば走破する、なんてせずとも良い、と。ダンジョン内で遊び、学び、笑いあっていて良い。楽しんだもの勝ちで良いではないか、と考えている。
そして、それと同時に。やはり初めてのイベントなのだから、できれば美晴ちゃんたちと一緒に参加したい、とも。そのためにどうすれば良いか、どのように進めるのが効率的なのか、ということも真剣に考えているし。そのために――今まで一度も『水から出ていない』。
……【スキル】のレベル合計50以上で報酬が得られたように、〈職〉のレベル合計50以上で報酬が得られた。ならば、【スキル】のレベル合計100で報酬があったように、あるいは称号【水の妖精に好かれし者】にも100時間経過で上位の称号を得られる可能性がある。少なくともそれを確認するまでは下手に水から上がることはできない、と儂は徹底して水のなかに居るようにしているわけじゃが……はてさて、それが当たるかどうか。
これで『アバターを濡らし続ける』のではなく、『全身を浸けて50時間』という取得条件だったらアウトなんじゃが……なんにせよ、100時間経過せねばわからんか、と。そんなことを考えながら作業していた儂を子猫が手招きし。それと同時に[カホ@くろネ子さんからパーティに誘われました!]というインフォメーションが視界隅に流れ、[受諾しますか? YES ・ NO]という選択肢ウィンドウが現れるのを見て、苦笑。
……ふむ。けっきょく、大して相手を押し付けれんかったな。と、そんな内心を面に出さないよう気をつけながら『YES』とコマンドし。繋がった『フレンドチャット』越しに美晴ちゃんと志保ちゃんと会話して。範囲知覚で、猫耳幼女が楽し気に談笑している様子を『視ながら』、まぁ良いか、と。
歳の近い子供同士のなんでもない会話。仲の良い友人と、ただ笑いあっていられる時間。……思えば、こんなお喋りをするために子猫は孤独に戦い。こうして彼女たちが笑いあえる時間を守るためにダイチくんたちと戦ったのじゃから「……まぁ、いいか」と。
制限時間があり。無駄にして良い時間など無い状況でも……束の間の、ちょっとした休憩時間として儂も笑って過ごすことにして。
『――んじゃ、嘉穂ちゃん! おじーちゃん! またね!』
『ミナセさん。お姉ちゃんのこと、くれぐれもよろしくお願いします』
――そこからの流れは、さきの美晴ちゃん、志保ちゃんとの『パーティチャット』にて勧められた『映画』のデータを探してきて、嘉穂ちゃんと二人、一緒に観て。
また、魚人を狩りに行って。少女がログアウト休憩している間、薄ぼんやりとした意識レベルで水面に揺れて過ごして。
そんなこんなで、『蒼碧の水精遺跡』にて嘉穂ちゃんが目覚めてから約24時間が経過した。
この間、先述の通り、特筆すべき事柄や事件などは特に無く。ダンジョン内に出現するモンスターである『フィッシャーマン』に対しても安全第一で、出現する最低数の3体が居る通路を選んで挑み。戦闘終了後は毎回、転移結晶のあるダンジョン最初の広場まで後退し、『修復』や回復に努めていたのはもちろん、この時点では嘉穂ちゃんと知り合い、仲良くなることを目的として時間を潰していたゆえ、初日――という言い方が正しいのかは疑問じゃが、便宜上は『初日』ということで――は、3度の戦闘がせいぜいであった。
ゆえに、2日目からは本格的に嘉穂ちゃんの『カルマ』を減らすために魚人との戦闘を重視――することも特に無く。
この時点で、すでに相手のレベルが35というのは【看破】で視ることができてはいたが、それでもやはり、HP全損でキャラクターデータを失うということを踏まえて、最低出現数の3体のところへ向かい。戦闘は慎重に。安全第一で。
戦闘後はすぐに台座のある広場まで後退、といった感じであり。初日のそれと同じく、少女との交流にこそ注力するようにしていたわけじゃが――幾度目かの戦闘後に、嘉穂ちゃんが保有する【スキル】の合計レベルが200を越え。それで『達成報酬』が与えられたことで、いったん、志保ちゃんと相談することに。
……なお、この報告時に儂が呆れられたのは微妙に納得がいかんのじゃが。
まぁ、嘉穂ちゃんと出逢った時点で彼女の保有する【スキル】のレベル合計値が175で。レベル『50』以上、『100』以上で『達成報酬』があり、『150』以上となった時点では何も無かったということで『200』という合計値で何かあるかを確認してみたい、という思いが無かった、と言えば嘘になるが。そのために嘉穂ちゃんの『設定スキル』関係に口を出したりして、効率的な【スキル】のレベル上げをしてもらったりもしたが……それで儂が呆れられるのは違うんじゃないかのぅ?
と、それはさておき。この【スキル】のレベル合計200以上で与えられた『達成報酬』は、『スキル変換チケットC』という初期配布で貰えた『チケットA』 や、合計レベル50以上の達成報酬である『チケットB』と比べて、より取得可能な【スキル】がたくさんある消費アイテムだったわけじゃが……その内容はともかく。相談の結果、嘉穂ちゃんはこの『チケットC』の使用はイベント開始まで控えることに。
その理由としては、まず嘉穂ちゃんの戦闘時における『スキル設定』に何かを加える余裕が無く。……というより、1つでも新しい【スキル】を設定できる空きがあれば、【忍び足】や【潜伏】などの『戦闘時に敵意を集め難くするスキル』をセットしてほしかったからのぅ。
加えて、相方の儂が割と多芸というか器用貧乏というか……とにかく、必要最低限の【スキル】は揃えておったからの。ゆえに、どうせ後衛でMPの消費も無いのだから、いっそ【付与魔法】ないし【回復魔法】でも、という案も出てはいたが……今でさえ投擲武器の選択や攻撃タイミングの見極めなんかで忙しいのに魔法やMPの管理とか無理、という子猫の必死な抗弁によって頓挫。
先述の通り、嘉穂ちゃんの戦闘時の『スキル設定』に空きが無いこと。儂らが『水精遺跡』から出られるようになった暁には、ローズを含めて固定パーティを組もう、と。そして、イベントの内容が未だ不透明であり、今すぐ慌てて新しい【スキル】を得るよりイベント開始を待って、その内容と組むことになるパーティメンバーの保有【スキル】に合わせて選択した方が良いだろう、ということで彼女の『スキル変換チケットC』は保留されることが決定した。
……もっとも。じつのところ嘉穂ちゃんが今回、『チケットC』の消費を渋った本当の理由は――単純に、AFOの魔法の仕様が『面倒くさいもの』だと知っていたからで。『パーティチャット』での相談を終えた子猫に曰く、「意味わかんない言葉で何回も呪文を唱えないと使いにくいとか、めんどー!」と。……まぁ、その気持ちもわからんでもない。
AFOでは、TPを消費して使用する武技と違い、MPを消費して使用する魔法は、その武技や魔法の名前を強く声に出す行為――『ボイスアクション』によって発動する。が、武技の発動がほぼほぼその『ボイスアクション』だけで発動するのに対し、魔法の場合は、ほとんどすべてが『最初は遺失言語によって記された呪文を詠唱することで発動する』タイプのもので。これを通称『スペルマジック』と言い、≪メニュー≫にある≪マジック≫の項を開けば≪スペルマジック≫の項目があり。そこに『呪文』が載っているわけじゃが、この呪文を何度か読み上げて魔法を発動し続けることで武技と同じく名称だけを唱えて発動できるようになるんじゃが……これら『ボイスアクション』だけで発動する魔法を『コマンドマジック』と称する。
そして、この『スペルマジック』を『コマンドマジック』に変化させる回数はプレイヤーごとに違うようで。呪文の詠唱時に【感知】をセットしておくとその回数を減らすことができるそうじゃが……当然、嘉穂ちゃんは持っておらず。〈魔法使い〉に就いて何かしら魔法を使用していれば【感知】など取得できるらしいが……それはさておき。
要するに嘉穂ちゃんは、この『遺失言語を無理やり共通語の読みにして記した呪文』を何度も何度も唱えて使うのが嫌なのだそうで……。儂などはNPCの使う言語とも違う遺失言語ということで興味深くはあるのだが……まぁ、馴染みのない言語を正しい発音で幾度も音読しなければならない面倒さというのもわからんでもない。実際、儂も【回復魔法】レベル3で使えるようになった、『状態異常を直す魔法』であるところの『キュア』などは、おそらくしばらくの間『コマンドマジック』化はせんじゃろうしの。
ちなみに、『ほとんどすべてが最初は「スペルマジック」』と言うのは、実際のところ最初から『コマンドマジック』となっている場合もあり。『スキル変換チケット』を消費することで取得できる【付与魔法】や【属性魔法】、【回復魔法】が最初からレベル1だからなのか、これで使えるようになる『ブースト』や『ヒール』などのレベル1で使えるようになる魔法だけは最初期から『コマンドマジック』となっているようで。
志保ちゃんがよく使っている敏捷値の補正強化の付与魔法――『ブーステッド・ウィンド』などは、【付与魔法Lv.1】と【属性魔法:風Lv.1】を取得してる段階で『コマンドマジック』化しており。彼女の場合は、これに『ブースト』と【属性魔法:風】のレベル1で使用できる魔法の3つが出逢った当初から『コマンドマジック』だったもので。〈魔法使い〉のレベルに応じて使えるようになる魔法に関しては、レベル0の段階でも1つだけ『スペルマジック』があるのだそうだが――とりあえず、閑話休題。
結論から言って嘉穂ちゃんが新たな【スキル】を得ることはなく。
この時点で、儂が『蒼碧の洞窟』へと持ち込んだ回復アイテムこそ使いきってしまっていたが、代わりに嘉穂ちゃんがいろいろと貯め込んでいたので、途中からはそれを貰ったり。休憩時に≪マーケット≫で買ったりして。とにかく、一戦一戦に気が抜けないことに変わりはないが、数度の戦闘を経ておおよそ魚人の動作や思考パターンを把握できたので、さすがに初戦のように戦闘後、疲労困憊とまではならないようになり。
消費したTPやMPの回復の間を嘉穂ちゃんの水泳教室や映画の鑑賞などで過ごし。彼女のログアウト休憩時には思考レベルを落としたぼんやり状態で水面を漂って過ごしたり、と。イベント開始となる時刻までという制限時間こそ無ければ、まぁ『なんとかなりそうだ』と思えるようになってきて。
けっきょく、2日目も『何も特筆すべきことは無かった』と。そう後述することになるのだと思っていた、そんなタイミングで――
嘉穂ちゃんの【投擲術】が、消えた。
否。正確には――『進化』した。
「――あ。ミナセちゃん、ミナセちゃん、なんか【投擲術】がレベル30に上がったらね、[【投擲術】のレベルが上限に達しました]ってインフォメーションと一緒に、なんか選択肢ウィンドウがでてきた」
きっかけは、幾度目かの戦闘のあと。そんな嘉穂ちゃんの報告で、儂らは知った。
どうやら【スキル】は、最大30レベルだったようで。嘉穂ちゃんの【投擲術】のレベルが30に達するのと同時に、少女の眼前に3つの選択肢が現れた。
まず、【投擲術】を経験値に還元するか、と。……これに関しては意味こそわかるが、選ぶわけにはいかないものだったので早々に除外し。儂らが悩んだのは、残る2つの選択肢――【投擲術】を『上位化』するか。あるいは、『固有技能化』するか。
……当然、この時点での儂らに『上位化』と『固有技能化』なんてした場合、どうなるのかの情報は無くて。ちょうど戦闘終了後のタイミングだったこともあり、とりあえず台座のある広場まで後退して志保ちゃんにメッセージを送ったが……ほかのプレイヤーが嘉穂ちゃんより早く【スキル】のレベルを30まで持っていくのは至難じゃろうし、≪掲示板≫に情報があがっとるとも思えんかったが。
とにかく、情報通の少女からの返信を待つとして。現状、経験値に還元という選択肢は無いにしても、どうしたものか?
……安牌なのは、選択肢を無視しての現状維持。【投擲術Lv.30】をそのままに、≪掲示板≫にて『上位化』と『固有技能化』の情報が公開され次第、志保ちゃんに報せてもらう、というものじゃが……と悩み、結論を出せない儂に対して、嘉穂ちゃんも嘉穂ちゃんで考えてはいたようじゃが、
「あ、あのね、ミナセちゃん。これってさ、『どっち』の効果もわかんないなら――それって悩むんじゃなくて、『とりあえず』どっちかにすれば解決、なんじゃないのかな?」
話し合いのすえに、少女は選択した。
「ミナセちゃん、ミナセちゃん! わたし、『上位化』にした! そしたら【投擲術】が【投擲術・弐】に変わってね、レベルが――」
『字面からして弱体化は無いだろう』として『上位化』を。
その結果、
「ど、どうしよう……。【投擲術・弐】になったら、レベルが0になっちゃった……」
…………いやはや、まったく。このゲームは、本当に退屈だけはさせてくれんのぅ。




