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おじーちゃん、『姫プレイ』なう!?  作者: 堀〇
第一章 制限時間内に目標を殲滅せよ!
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チュートリアル かくしてわたしは、思いのたけを叫んだ

 るんた、るんた。鼻歌きざんでスキップまじりに今日も教室の扉をバーン!


「ごっきげんよー!」


 元気いっぱい。笑顔まんてん!


 今日もごきげんでいくよ。今日は超ごきげんでいくよ!


 ちらほら見えるクラスメイトに笑顔で挨拶。


 ごきげんよー。


 ごきげんよー。


 誰かが言ってたけど、女の子しかいない学校とくゆーの挨拶ってへんだよねー。


 ごきげんだよー。


 ごっきげんだー!


「……テンション高いね、みはるん」


 そう呆れ顔で――わたし以外の子には無表情にしか見えないらしい顔で言うのは親友の鍵原かぎはら 志保しほちゃん。


 今年で12歳の、同じ小学6年生とは思えない落ち着きと夏場でも涼し気な空気を纏う美少女で。ほかの子に言わせるとクール系不思議ちゃん。みすてりあすびゅーてー。それが志保ちゃん!


「ごきげんよー、志保ちゃん」


「ごきげんよう、みはるん」


 挨拶を交わし、さっそく彼女のもとに近寄るわたし。


 対して、わずかに空いた窓から入り込むそよ風に肩までの長さで切り揃えられた髪をサラサラとゆらす彼女の視線が、びみょーにわたしとは違う方を向いているのは、きっと不可視のウィンドウをまえにネットサーフィンなう?


 よく見れば机のうえで小刻みに指先を動かしてるし。……でも、いつも思うけど、他人にウィンドウ自体を見えないように通信端末とか弄ってると、傍目には貧乏ゆすりしてる人みたいだよね。


 ――って、そんなことより!


「ねーねー、志保ちゃん! ついに! つ・い・に、今日だよー!?」


 うっひゃー! と叫びながら踊りだしたい今のわたしの思い、気づいて親友!


「ふふ、そんなに楽しみ? AFO」


 顔色一つ変えず――に、他の子には見えるんだろう、くんれんされた親友にしかわからない楽しげな顔で言う志保ちゃん。


 それにわたしは大いに頷き、彼女のまえの席に座ってグルっと椅子ごと反転。それで腰まで伸ばした長髪がひるがえったようだが、そんなことより! わたしは溢れんばかりの思いのたけを瞳をきらめかせて親友に伝える。


「そう、ついに! AFO――『星霊幻想記せいれいげんそうき~アイテールファンタジア・オンライン~』を帰ったらできるの!」


 それが楽しみで楽しみで! 思わず「うひひひ」という笑みがもれる。あらやだ、はしたない。


「……まあ、初めてのVRゲームだっていうし、仕方ないか」


 そう、そうなのです! わたし、じつは『VRデバイス』を使ったゲームはやったことないの! これが初めてなの!


 だから、っていうのももちろんだけど。わたしのテンションが高いのは、じつはそれだけが理由じゃないんだ~。


 じつはじつは、AFOはおかーさんが開発にかかわってるの! だから余計に楽しみなんだけど、これはオフレコ! 親友の志保ちゃんにも言っちゃだめなの。


 でも、こっちの理由は話して良いの。


「ふふん。じ・つ・は! あっちで『おじーちゃん』と合流して一緒に遊ぼうって約束したの!」


 昨日、おかーさんに呼ばれてね。はじめて、おじーちゃんに会ったの!


 そう笑って言うわたしに、志保ちゃんは驚愕の表情に――と言っても普段より気持ち目を大きく開いている程度だけど――なって動きを止めた。


「み、みはるんのお爺さんて……まさか、ミナセアゴー式『走馬燈体験システム』を組んだ、あの?」


 え、なにその縁起悪い名前のシステム……。


 それに『ミナセアゴー式』って……。いや、おじーちゃんもたしか『水無瀬みなせ』だけど。つまり『水無瀬 a Go』? ええー……。


「……うん、そっか。知らない人だと知らないのか」


 わたしの顔色から内心を察してか、志保ちゃんは苦笑したような雰囲気になって「これ見て」と、わたしでも見れるように空中に一つのウィンドウを表示させる。


「え、これ、AFOの仕様説明――って、ファッ!? み、『ミナセアゴー式』!?」


「ちなみに、今どきのVRデバイスには大抵は組み込まれてるよ『ミナセアゴー式』」


 みはるんの買ってもらったっていうVRデバイスの仕様書にも明記されてるんじゃない? と、首をわずかに傾げて言う志保ちゃんに目を白黒させる。


「え? え? うちのおじーちゃん、超すごい?」


 うわ、超びっくりだー。と、口に手を当て呟くわたしに「……むしろ知らなかったことに驚く」と返してウィンドウの表示を消す志保ちゃん。


「それで? みはるんのお爺さまが、なんでまたAFOに?」


「……おかーさんが『最近、おじーちゃんが暇そうだから遊んだげて』って。まぁ、たぶんVRゲーム初めてのわたしのお守りに、だろうけどー」


 いや、それにしても。『あの』おじーちゃんが、ねぇ。


「……娘のVRゲーデビューに脳波研究の第一人者を付けるとか、なにそのビックリ授業参観」


 ほへー、と。椅子の背もたれに顎を乗せて昨日あったおじーちゃんのことを思い返すわたし。うーん……まあ、たしかに? おにーちゃんたちもおじーちゃんには「よろしく言っといて」とか、一目おいてる風だったし? ……あ、「よろしく」言うの忘れた。


 って、そんなことはともかく。


「やっぱり、お爺さまは老人のアバター?」


「ううん、ちっちゃい女の子」


 たしか、ドワーフ? の女の子アバターだったかなー? と、昨晩おかーさんに連れられて会ったおじーちゃんの姿を思い出しつつ、なるべく詳細に話すわたし。


 なにせAFOでは志保ちゃんも一緒に遊ぶ予定だからね。合流のときとかにはぐれないようにも『おじーちゃんのアバターが如何にかわいらしかったか』をしっかりと教えねば!


「…………えーと。もしかして、なんだけど」


 果たして、わたしの微に入り細を穿つ説明に目を泳がせて、志保ちゃん。再びウィンドウを見えるようにしてわたしの眼前に表示し、そっと視線を逸らした。


「ん? ――あ、これ、AFOの情報スレ!? うわー、もうこんなに書き込みが……」


 って、あれ?


 あれあれあれー!?


「え、ちょっ、ええー!?」


 がばっ、と。顔を志保ちゃんに向け、わたしは信じられないという思いのまま、決して目を合わせようとしない親友に向かって叫んだ。


「ど、どうしよう志保ちゃん! な、なんか、おじーちゃんが初めてのMMOで――『姫プレイ』なんてしてるっぽいんだけど!?」


 え? いったい、どうしちゃったのおじーちゃん……!?


は、初めての投稿になります!(ガクガクブルブル)

誤字脱字、おかしな表現などありましたらお気軽にご指摘してくだされば幸いです。

よ、よろしくお願いしますm(_ _)m 

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