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おじーちゃん、『姫プレイ』なう!?  作者: 堀〇
第二章 全プレイヤーに先駆けて最強PKを攻略せよ!
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クエスト23 おじーちゃん、武器屋で『師匠』を得る

 『山林を駆け抜ける風』の三人とともに向かった武器屋。そこは先日、美晴ちゃんや志保ちゃんとともに買い物をした武器屋であり、それ以前にも『山間の強き斧』の四人とも来ていたので店主とは完全に顔見知りで。


 儂が少女らと幾つかの武器を買ったのはおろか、『山間の強き斧』に鉈を1つ買ってもらったことも覚えており。それでいて、追加で5本も斧を買おうとした儂に店主が疑問を呈するのは当然で。お調子者の気がある狼青年ギーシャンが笑いながら「ミナセってば1日で10個以上の武器ぶっ壊してたんだぜ!」などと言うもんだから、店主はたまらず顔を真っ赤にして激怒。


「たった……、たった1日で武器を10以上ぶっ壊した、だと……!? お前、それでも鉄と火に愛された『ドワーフ』かッ!?」


 そう怒鳴り、拳骨一発。


 さらに蹲る儂の胸倉を掴んで立ち上がらせ、拳を振るおうとするのを『山林を駆け抜ける風』の三人が慌てて抑えようとするが――そこは筋力値に優れた『ドワーフ』。同じく筋力値に優れていそうな熊の『獣人』にして三人のリーダー格であるジングソーに羽交い絞めにされてなお腕を振り回し。ギーシャンと一緒に店主の腕を掴み止めようとする黒豹の女獣人――リュンシーの足を軽々と地から離すほどに力強く。


 そして、


「お前は! お前みたいな物を大事にせん奴なんぞに売れるもんなぞ無いッ!」


 帰れ! その面、二度と見せるなッ!! と、そんな怒号は誰にも止めるすべなど無く。おそらくは儂が壊してしまった武器の、そのほとんどの製作者でもあったのだろう彼の血走った瞳に対して儂に返せる言葉も無く。


 ゆえに、「……すまなかった」と、ただ膝をつき。ただただ、頭を下げる。


「い、いや! ちょっと待ってくれよ、おやっさん! お、俺が言ったのは、あれだ。し、仕方なかったんだって!」


 そう慌てて言い繕おうとするギーシャンに、しかし「『仕方なった』で武器を粗末にされてたまるか!」と店主は取り合わず。


「おやっさん。ミナセが武器を壊しながら戦い続けたのは、相手がモンスターを大量に沸かせて、それを仕向けてきたからだ。そうしなければ彼女の命が危うかったからなんだ!」


「ミナセ、悪くないと思う……!」


 次いで、そう店主に言ってくれるジングソーとリュンシー。儂とPKとの戦闘を見守り続けてくれたのだろう二人の気持ちは嬉しいが、


「……いや、儂の責じゃよ」


 と、儂自身で彼らの配慮に苦言を呈する。


「今回の件は、そもそも身内を傷つけられた腹いせの仕返し。言わば儂の『わがまま』から始まったもの。そして、武器を壊し続けたのは儂が弱かったがせいであり、それでも戦い続けたは儂の意志であり意地じゃ。ゆえに、店主が儂を責めるのは当然。彼が来店を拒否すると言うのであれば……残念じゃが儂はその意に否とは言えんよ」


 重ねて、申し訳なかった店主、と頭を深々と下げて謝罪する儂。……やれやれ、こうなっては美晴ちゃんたちにも迷惑をかけることになるやも――と、内心でもまた頭を下げたい気持ちになっていると、


「……おい、ちみっ子。お前、今から俺の仕事手伝え」


 頭上から、そう低い声がかけられて。


 それで儂がゆっくりと顔を上げれば、


「ったく。よく見りゃ、まだまだ髭も生えそうもねーガキに、俺としたことが……」


 彼は、どこかバツの悪そうな顔で。一瞬で激したことが嘘のように既に鎮火したような雰囲気で、店主は告げる。


「お前、『ミナセ』って言ったか? ……ミナセは今から俺の『弟子』な」


 …………は?


 いきなり何を、と。地面に座り込んだままに呆然と見上げる儂の視界に突如浮かぶ半透明のウィンドウ。そこに書かれた『〈鍛冶師〉に転職しますか? YES ・ NO』という、いきなりに過ぎる選択肢を告げるそれを見て、さきの『弟子』発言に納得と言うかAFOにおける本来の転職システムについて気づかされる。


 ……なるほど、本来はこうして〈職〉に就くのか。


 思い出すのは、『山間の強き斧』のうちの一人――リーダー格の重戦士、サモツによって行われた二度目の転職。あのときも冒険者ギルドでの転職とは違い、彼の任意で〈戦士〉への転職を可能にするウィンドウを出され、それを不思議に思い訊ねた儂に、パーティの解説役の青年曰く、どの〈職〉であれレベル30以上になれば『○○の勧め』という、その〈職〉に転職させられるアーツが手に入るそうで。そのときの儂は深く考えることなくアイギパンに着いてすぐサモツによって〈運び屋〉から〈戦士〉へと転職したのじゃが……なるほど。AFOにおける『狙った職に就く』というのは、本来、こうした高レベルの者に頼むなり、弟子入りするなどの必要があるのだろう。


 そして、冒険者ギルドの『転職1回100G』というのは、この点に留意しての『手間賃』のようなものなのかも知れない――が、それはさておき。


「要するに、ミナセは武器がどうやってできんのか、どんだけ手間暇かけてんのかを知らねーんだろ?」


 だから、そんなに簡単に武器を壊す。だから、俺が教えてやる、と。そんな論法でもって儂に弟子入りを勧め、「来い!」と。返事も聞かずに儂の腕を掴み、立ち上がらせる店主を困惑の色を濃くした表情で見上げつつ、


「……あ、いや。今日これからの予定は無いし、店主の厚意はありがたいが――しかし、儂はそこまで長い期間を拘束されるわけには!」


 だから、弟子入りはお断りを。そう告げようとする儂に「だーかーらぁ!」と、店主は再び大きな声で遮り、


「ガキがグダグダ言ってんじゃねーッ! お前は、今、これから俺の弟子だ!」


 おら、こっち来い、と。そう怒鳴るように言って儂の腕を掴んだままズンズンと店の奥へ。どうやら店の裏手に鍛冶をする区画があるのだろうが、それはともかく。


「あ、いや。だから、儂は――」


「べつに、明日っからはまた冒険者やったら良い」


 果たして、そんな投げやりにも思える店主の言葉に目を剥く。


「……ふんッ。お前みたいなチビが望んで冒険者やってんだ。当然、ワケありなんだろうし、そいつは訊かねーがな」


 いいか、ちみっ子。そう顔をまえに向けたまま、店主であるドワーフの男は告げる。


「冒険者みてーな命張らなくても手に職つけりゃ金は稼げるんだ。……だから、今日は黙って俺の弟子んなっとけ」


 その台詞、その態度で気づかされる。……なるほど、つまりは誤解。儂のような幼い童女が命の危険さえある冒険者になるのが見て居られない、と。だからそれ以外での収入手段を与えよう、という話なのだろう。


 ……あるいは、ここで「儂はプレイヤーで。好きで冒険者をしている」などと言ったところで意味は無い、か。この店主は本当に頑固そうで……本当に一途で。それでもって人の話をあまり聞かんようじゃしのぅ。


 ゆえに、眼前のウィンドウの『YES』の方へフォーカスを合わせ。その文字を叩くように思考――『クリック』する。


「……のぅ、店主よ。名前をうかがってもよろしいか?」


 彼の頭上にある緑の三角錐シンボルをクリックすれば名前を知れるのかも知れんが、ここは言葉で名を交わしたい。


「……フン。俺は『ザーガス』だ」


「儂は『ミナセ』じゃ。……よろしくの、ザーガス


 儂の言葉に「フン!」とまた鼻を鳴らし、ついには店の奥――店の裏手にある『鍛冶』のための施設に繋がる扉へと辿りつくザーガス。


 そこで一旦立ち止まり、顔だけ背後へと振り向けて、


「おい、ジングソー! 今日はもう店仕舞いだ、表の扉閉めてとっとと帰んな!」


 そう怒鳴り、それに対する応えを聞くことなく扉を開けて店をあとにする。


 そして、そんな彼に手を引かれるがままに向かったさきは、まるでどこかの廃材置き場のような場所で。棚には鉱石なのか何なのかはわからない、岩やインゴットのように固められた金属の塊のようなものがあったり、作りかけなのか直し途中なのかわからない武器が多数置かれていて。テーブルの上にも、これまた武器らしきものや工具が散乱しており、なんとも整理整頓とは無縁そうな印象を与える一室だった。


「で、だ。ミナセはもう〈鍛冶師〉に就いたか?」


 部屋に入るや儂の手を離し、振り向いて確認するザーガス。


 対して、「うむ」と儂が頷けば、彼もまた「よし」と頷いて返し、


「お前、今なんか武器とか持ってるか?」


 持ってんなら、とりあえず出せ、と。そう指示しつつ歩き出し、ザーガスは儂の目からは適当な棚から手あたり次第とばかりの様子でどんどんと武器を取り、それを儂の足下に種類や何かも気にせず無造作に置いていく。


「今からミナセには武器の耐久値を回復させる作業をさせるからな。ついでに、おまえの持ってる武器の耐久値も回復させちまおう」


 ああ、その鎧もかなり耐久値減ってるから脱ぎな、と。そう先ほどの指示を補足するように言われ、儂は納得とともに遅まきながら『師匠』の言葉に従うことに。


 ……さて。今着てる『小兎と森狐の毛皮鎧』やインベントリ内の『量産武器:手斧』や『量産武器:盾』はともかく、耐久値が回復してから使用していない『練習用武器:盾』は出す必要はないか。


 とりあえず≪ステータス≫を開き、装備の項にある『小兎と森狐の毛皮鎧』をクリックし。『装備を外しますか? YES ・ NO』というウィンドウを呼び出して、『YES』の方をクリック。


 それによって淡い輝きに包まれるのも一瞬。儂の着ているものが『見習い服』に代わり、


「おお……! プレイヤーってのは『着替え』一つとってもヘンテコな魔法使うのか」


 そうわずかに目を丸くして言うザーガスに、ふと気づかされる。なるほど、NPCから見ればこの『着替え』も不可思議なものに映るのか。


 つまりは、NPCとプレイヤーはその辺の仕様も違うということなのだろう。が、それはまぁ今はどうでも良いか。


「ほら、この桶もって店の裏行け。そこに井戸あっから水入れてこい」


 ふむ。井戸、か。


 ザーガスの指示に「了解した」と頷き、『井戸』という時代と世界観を感じさせるワードに密かに胸を高鳴らせつつ、言われた作業をなんとなく楽しみながらこなして再び彼のもとへ。


「よし。じゃあ、まずはそこの棚にある砥石と手拭いを持ってきな。で、この『修復薬』をその桶の水に溶かしこむ、と」


 師匠ザーガスに曰く、〈鍛冶師〉に就くことで取得可能な【鍛冶】という【スキル】の効果の1つ――『修復』は、対象の耐久値を『体力(TP)』を消費することで回復可能なのだそうで。本来なら『修復薬』などの『かけるだけである程度耐久値が回復する薬』などは必要ないのだが、それでも『修復』の依頼が多くなったときなどはこの薬を水で薄め、依頼品をつけたうえで砥石などを用いて『修復』を使用することでTP消費を抑えることが可能なんだとか。


 それが、今回で言えば『つけるだけでも僅かに耐久値が回復する』水と、『使用することで耐久値を回復させるアイテム』であるところの『砥石』を用い、『耐久値の回復作業』という経験値を貯めて儂に【鍛冶】を取得させるのが目的なんだとか。


 加えて、〈鍛冶師〉に就くことで物品や武器防具類の上に黒い三角錐シンボルが見えるようになり。その三角錐シンボルをクリックすることで、その武器防具などの耐久値が見えるようになるんだそうだが、この耐久値を探る作業をこなすことで【鑑定】という『物の価値を調べられるスキル』も得られるそうで。【鍛冶】を取得したうえで【鑑定】で武器防具を調べることで、【鍛冶】で行える『任意の武器防具を作り出す』ことのできる『創造』によって生み出せる武器や防具の幅が増えるのだとか。


 ゆえに、ザーガスはまずは【鍛冶】の取得を目指すように言い。それが済んだら【鑑定】の取得を。そのあとで、もし時間が余れば実際に【鍛冶】による武器の『創造』を体験させる、と言う。


「刃物は桶のなかの水に少し漬けて、砥石で研ぐことで耐久値を回復させる。で、それ以外は手ぬぐいを水に漬けて、それで何度も拭えば回復すっから、とりあえずやってみろ」


 そんで耐久値を回復させられなくなったり、桶のなかの水が汚れたら外に捨てて交換な、と。幾つかの『修復薬』をテーブルに置き、耐久値を回復させたあとで水分をふき取る用だろう綺麗な手ぬぐいの用意もして去っていくザーガス。


 ……ふむ。〈鍛冶師〉というから、てっきり炉で鉱石等を溶かしたり、熱した鉄塊を叩いたりといった作業を想像していたんじゃがのぅ。


 さっそく手の中の鉈の耐久値を見て、指示通りに桶の水に漬けてから砥石で研ぎ。あらためて軽く部屋を見回してみるが、ここには炉に類するものは無く。炉のなかの温度を上げるために必要そうな炭の類も見えない。加えて言うなら、今やっている作業や予定通りに【鍛冶】を得て武器の耐久値を『修復』によって回復させる作業にしても、おそらく特別な施設など要らない。


 ゆえに、ザーガスの言う通り、明日から儂は何処であれこの手の武装の耐久値を回復させることができるようになり。武器の耐久値を調べられるようになったことで早々耐久値をゼロにして破壊することも減る。加えて、ザーガスの意図したものかは知らないが……これからはこの手の耐久値を回復させる作業でちょっとした小遣い稼ぎができるようになった、と思われる。


 さらに、【鍛冶】の効果で武器ないし防具を作り出せるようになれば、本格的に、さきにザーガスの告げた通りの『冒険者のような命を賭けなくても収入を得られる』ようになるのだろうが……いやはや、なんとも面はゆい。彼の優しさと言うか、思いやりに、真剣に作業に取り組まねばならないのだがどうしても口もとが綻んでしまう。


「おう! ほれ、追加の修復用の武器やら金物だ。あと研ぐのが終わった刃物には最後にこの油を刃先に塗っとけ。錆び防止だ」


 バタン、と。勢いよく扉を開け、『ガッシャン、ガッシャン』鳴らして荷物を持ってきては儂の近くに置き。仕上げ用の油をテーブルに置いて去っていくザーガス。


 その背に軽く頭を下げ、再び黙々と作業に取り組む。


[ただいまの行動経験値により〈鍛冶師〉のレベルが上がりました]

[ただいまの行動経験値により【鍛冶】を得ました]


 果たして、おおよそ3時間ほどで、ついにレベルアップと【スキル】取得のインフォメーションが流れ。さっそくセットする【スキル】を変更。【強化:筋力】、【翻訳】、【鍛冶】にして、SPを消費して『器用』を上げた。


 ……志保ちゃん曰く、『器用』の高さによって生産系の〈職〉で作り出せるものの品質が変わるそうなので、おそらくこれで間違ってはいまい。


 ともかく、時折ザーガスが持ってくる修復が必要な武器や金物類も残りわずか。仕上げたものは彼が去り際に引き取っていくから、これまでどれだけの量をこなしたのかは一概にはわからんが、おそらくそれなりの量をこなせたと自負している。


 ゆえに、さぁ残りもさっさとやってしまおう、と。気合を入れて作業すること数分――ザーガスに作業を止めて手を洗ってこい、と突然言われて部屋を追い出された。


「ふむ。儂らプレイヤーは数分ごとにアバターや装備が清潔なものになるのじゃが……」


 指示通り井戸の水で手を洗いつつ、この作業が果たして必要なのかに首を傾げる儂。やはり一度、ザーガスにプレイヤーに関しての情報をある程度話しておこう、と考えながら店内に戻れば、彼は「ほら、昼飯だ。食え」と。やはりプレイヤーには不要なことを準備しているようだった。


「あー……あの、師匠。言うのが遅れてしまったが、儂らプレイヤーは食事を必要とせんのじゃ」


 思わず、そう申し訳ない気持ちのまま上目遣いで告げれば「は?」とザーガスは怪訝顔になり、


「なに言ってやがる。プレイヤーだって買い食いしてんのを見たぞ、俺は」


「……いや、それは、おそらく娯楽目的じゃろう」


 ため息を一つ。儂らプレイヤーは本来、食事を必要とせず、どれだけ寝食を省いたところで死なず、外見も変わらないと告げる。


 加えて、プレイヤーの身や装備品は一定時間ごとに綺麗になることも教えるや「フン!」とザーガスは不機嫌そうに鼻を鳴らし、


「いいから、黙って食え! 弟子を働かせたまま師匠の俺だけが食ったり、休んだりできるかバカ!」


 ゴン、と。振り下ろされる拳骨と不器用な優しさのこもった台詞。


 それに思わず蹲るようにして頭を抱え、痛みを我慢している体で伏せた顔に嬉しさから浮かんでしまった笑みを隠す儂。……ああ、まったく、この師匠ひとは本当に。


「……それで? もうミナセは【鍛冶】は取得できたか?」


 いただきます、と。ザーガスの用意してくれた昼食に手を付ける儂にかかる問いかけ。


 それに「うむ」と頷き、しかしまだ【鑑定】は取得できていないし、任された修復作業も終わっていないことを教える。


「そうか。なら、飯食ったあとは【鍛冶】の『修復』で耐久値を回復させるようにもしろ」


 曰く、【鍛冶】の『修復』は、【鍛冶】をセットしたままで耐久値を見るときと同じように物品のうえに浮かぶシンボルをクリックすれば、『修復しますか?』というウィンドウが出てくるようで。これが鉱石などの素材アイテムなら『創造しますか?』というウィンドウが現れ、予め【鑑定】で調べたことのある武器防具なら『それ』が選択肢として現れ、『創造』できると言うが……それはさておき。


 対象が武器防具の場合、『修復』以外にも『強化』の項目もあるようで。手持ちに何か強化するのに必要なアイテムがあればそれを消費して対象を強くすることができるのだそうだ。


「ミナセが最初に着てた『小兎と森狐の毛皮鎧』は、『革鎧』に『小兎』や『森狐』なんかの素材アイテムを使って強化したもんだな」


 ほほぅ。


「ならば、もしかして海辺のモンスターの素材アイテムを消費して『強化』を使えば水場での戦闘に対応したものができるのかのぅ?」


「うん? そりゃ一概には言えんが、少なからずモンスターの素材アイテムを消費したもんなら、そのモンスターの特徴をある程度受け継ぐからな。魚とかの素材なんかなら、少なくとも濡れて重くなったりはしなくなるんじゃないか?」


 ほほぅ! それは良いことを聞いた!


「なんであれ、『創造』にしろ『強化』にしても、まずは【鑑定】でいろんな武器防具を調べて先人が生み出した作品を知っておくことだな」


 そうすることで造れる武器防具の幅を広げるのも〈鍛冶師〉の仕事だ、と語る師匠の言葉に「なるほど」と返しつつ。これでずっと悩んでいた水場での戦闘に対応した装備に一種の光明が差した面持ちとなり、突発的にとは言え彼に師事できたことをあらためて感謝しながら歓談を続けるのだった。

AFOのドワーフの成人女性は髭もじゃ樽体型を採用しておりますw


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